海外製「太陽光発電パネル」からの脱却 国産フィルム型【ペロブスカイト太陽電池】の実力:ガイアの夜明け

写真拡大 (全14枚)

3月27日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「太陽光は切り札か。エネルギー危機の今…」。

イラン情勢の長期化は、家庭の電気代を直撃するとみられている。原油高が続けば、この夏の電気代上昇はやむを得ないと電気各社も視野に入れているのだ。
日本の発電は東日本大震災後、原発から再生可能エネルギーへと転換を図り、全体の2割を超える。中でも最大を占めるのが太陽光発電だ。
政府の後押しもあり、大規模太陽光発電=メガソーラーや、オフィスや住宅での太陽光発電と右肩上がりで推移している。
しかし、環境や景観の問題、法令違反などから一部のメガソーラーに問題が浮上。そしてこれまでのメガソーラー、太陽光発電政策の見直しを掲げる高市政権。
日本の太陽光発電の行方を緊急取材した。

【動画】海外製「太陽光発電パネル」からの脱却 国産フィルム型【ペロブスカイト太陽電池】の実力

電気は“地産地消”の時代へ 東京都の太陽光発電普及大戦略




東京・練馬区の住宅街。この日、桐原智美さんの家に、1枚20kgほどの太陽光発電用のパネルが運び込まれた。パネルは合計10枚で、その重さは約200kg。作った電気をためる蓄電池も設置された。

数年前から太陽光発電の導入を考えていた桐原さんは、「補助金があるうちに」と決断。
「去年2月の電気代は3万円くらいだった。1年の電気代で試算すると、6年で(費用は)ペイできる」。
かかった費用は377万円で、そのうち234万円が東京都からの補助金で賄えた。
施工責任者の「スマートエンジニアリング」本田 新さんは、「1カ月で(設置するパネルの数は)1000枚を超える。私たちのチームではさばききれない」と現状を明かす。
東京都の太陽光発電の補助金の申請が3月末で締切りになるため、駆け込み需要が起きていた。


翌日、桐原さんの家で太陽光発電がスタートするが、どれほどの実力なのか。
天候によるが、この日は10枚のパネルで最大4.6kWh発電。それを蓄電池に約15kWhまでためることができる。
一般的な4人家族の1日の電力消費量は12〜16kWh。停電しても、1日分の電気は賄える計算だ。

東京都の住宅向け補助金は、過去最高水準の約1500億円(2025年度)。
東京都環境局の大野公治さんは「来年度の予算要求は議会に提出した。(補助金を)継続していきたい」と話す。
補助金の効果もあり、住宅での設置は広がる一方だが、建物全体で見ると、都内の太陽光発電の設置率は約6%(2023年度)。理由の一つが重さで、この加重に耐えられない屋根の家や工場は少なくない。耐震性の問題で設置できない場合も。
さらに、現在のパネルの多くは海外製で、中国が約8割を占めている。


そんな状況に待ったをかけたのが、高市早苗総理大臣だ。
「太陽光発電パネルは外国製。日本が発明したペロブスカイト太陽電池がある」。
国の戦略として打ち出したのが、「ペロブスカイト太陽電池」。日本が生み出した、薄くてやわらかい黒いフィルムだ。
フィルム型の重さは従来のシリコン型の10分の1ほどで、どこにでも貼り付けられる。
日本が誇る新技術だ。

イラン情勢で、この夏の値上げが予想される電気代。国産の次世代太陽電池は、資源の乏しい日本にとって救世主になるのか――。

歴史を繰り返すな…日本発「次世代太陽電池」の挑戦




大阪・島本町にある「積水化学工業」の研究所。その屋上に設置されているのが、太陽のエネルギーを最大限に引き出す装置だ。ここで、ペロブスカイト太陽電池の実証実験をしている。
薄くて軽くて曲げられるペロブスカイト太陽電池は、発電能力も従来の太陽光パネルに匹敵する。


この開発を推進してきたのが、「積水化学工業」入社34年の森田健晴さん(59)だ。
積水化学工業は、売上高1兆2997億円(2024年度)。住宅をメインに、建材や高性能プラスチック、車のガラスに使われる保護フィルムなど、幅広く手掛けている。

次世代太陽電池の開発が始まったのは13年前で、メンバーは森田さんを含めて3人。
当初は懐疑的な意見も多かったというが、社運をかけた一大プロジェクトへと成長した。
「いろいろな期待に応えられる可能性がある。日本の材料の技術、日本の技術、オールジャパンで勝っていけたら」(森田さん)。

ペロブスカイト太陽電池はいくつもの層が重なってできており、「ペロブスカイト」と呼ばれる微細な結晶が、1ミクロンの薄い膜の中で光を電気に変える。
ペロブスカイトの主な原料は、「ヨウ素」だ。


千葉・長生村にあるヨウ素を生産する工場。この日は量産に向け、森田さんとペロブスカイト太陽電池研究の第一人者、東京大学 大学院の瀬川浩司教授が、工場を視察する。
2人は10年ほど前から共に、太陽電池の性能を上げる研究を行ってきた。


この地域の地下、500〜2000mに眠っている太古の海水「かん水」は、ヨウ素を豊富に含んでいる。1934年、日本で初めて、千葉県の地下にあるかん水からヨウ素を生産することに成功。以来、国内外の需要に応えてきた。
ここで採れるヨウ素は、うがい薬などの医療や食品、工業向けへと幅広く利用されている。


日本はヨウ素埋蔵量が世界一。800年分のヨウ素のほとんどが、千葉の地中に眠っている。
ペロブスカイトはヨウ素を基に作ったいくつかの化合物で作られるため、日本は次世代太陽電池では、原材料で困ることがない。
「全部国内で総じて、原料から製品まで作れるのは非常にありがたい」(瀬川教授)。


積水化学工業は、2027年度からペロブスカイト太陽電池の量産を開始。大阪・堺市にある生産拠点はかつてシャープの工場で、十数年前に太陽電池を生産していた。
海外との価格競争に敗れたシャープは、2019年に太陽電池工場の一部を稼働停止。積水化学工業は国と共同で900億円を投じ、この場所に量産ラインを作ると決めた。

さらに東京では、ペロブスカイト太陽電池の“国内最大規模となるプロジェクト”が動きだそうとしていた――。

再エネ「先駆けの地」福島で メガソーラーの光と影




福島・沿岸部。巨大な風力発電と一面に広がるソーラーパネルが目に飛び込んでくる。
福島は2011年3月に起きた福島第一原発事故により、原発に依存しないエネルギーへの転換を進めることになった。


福島第一原発から約10kmに位置する浪江町。現在も立ち入りが制限される「帰還困難区域」が、町の約8割を占めている。
町を車で走ると、出力1000kW以上の大規模太陽光発電施設「メガソーラー」が出現。
渡部茂之さん(86)はメガソーラーに敷地を貸す地権者の一人で、家の目の前にも無数のソーラーパネルが設置されている。

震災前までは、この場所でコメ農家を営んでいた渡部さん。この地区の避難指示が解除されたのは2017年で、住民にメガソーラー計画が持ち込まれたのもその時だ。
「風評被害があり、コメを作っても売れない。誰も反対する人はいなかった。みんな賛成してこうなった」。


浪江町に住む人は、震災前の10分の1にまで減少。管理する人がいなくなり、荒れ放題の農地が、次々とメガソーラーへ姿を変えていった。
福島県は2040年までに、再生可能エネルギー率100%を掲げている。そのため県内には、メガソーラーが一気に増え、発電量は全国トップを誇る。


しかし今、そのメガソーラーによって、住民に新たな問題が起きていた――。

この放送が見たい方は「テレ東BIZ」へ!