パンに甘みがあり肉はサクサク…マクドナルド一強に風穴「ハンバーガーチェーン戦争」ゼッテリアの勝機
ひと口食べた瞬間「おっ!」と驚いた。
ふわふわのパンは甘みがあり、揚げられたチキンはサクサク。440円という値段を考えると、お得感のあるぜいたくな美味さだからだ。
記者が口にしたのはハンバーガーチェーン・ゼッテリアのタルタルチキンバーガー。大型のタブレットでポテト(ふるポテ)やドリンク(まろやか緑茶Mサイズ)とともに注文すると(3品で1060円)、5分ほどで店員が紙袋に包み渡してくれた――。
庶民の胃袋を満たすハンバーガーチェーン戦争が激化している。全店舗数は国内で6000店を大幅に上回り、’25年度の市場規模は過去最高の1兆300億円に達する見通しだ。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が解説する。
「最大手は国内3000以上の店を持つ世界的な大企業マクドナルドです。2位グループを形成する1300店ほどのモスバーガー、約300店のバーガーキング、約270店のゼッテリアと比較すると、マクドナルドの巨大さがわかるでしょう。
しかしマクドナルドの一強状態も、盤石ではありません。原材料費やエネルギーコストなどの高騰で、マクドナルドの長所である『安さ』が失われつつあるからです。マクドナルドは今年2月に、ダブルチーズバーガーを450円から480円に、ビッグマックを480円から500円にするなど、約6割の商品を10円から50円値上げすると発表しました。もはや『安くて旨い』をウリにできなくなりつつあります」
「安い価格で高級感」
“ガリバー”マクドナルドの脅威となりそうなのが、冒頭で紹介したゼッテリアだ。外食チェーンの『ゼンショーホールディングス』が、大手菓子メーカー『ロッテホールディングス』からロッテリアの全株式を取得したのは’23年4月。今年4月いっぱいで、ロッテリアからゼッテリアへブランドの刷新をはかる。
ゼッテリアには勝機があるようだ。前出の松崎氏が続ける。
「菓子メーカーのロッテには外食のノウハウがあまりなく、ロッテリアの経営状態は良くありませんでした。一方、国内最大の外食チェーンで、牛丼チェーン・すき家やうどん店・なか卯などを展開するゼンショーには大きな実績があります。
長年の経験から構築したサプライチェーン(材料調達から消費にいたる一連の流れ)があり、高品質の肉なども比較的安く入手できるでしょう。マクドナルドよりも安い価格で、高級感のある商品を提供できるんです」
品揃えにも、こだわりを感じると松崎氏は話す。
「てりやきバーガーや竜田揚げ風のチキンなど、和風のメニューに力を入れているようです。いくら勢いがあっても、世界的な巨大企業マクドナルドの牙城をいきなり崩すことはできません。米国風のマクドナルドと和風バーガーで差別化し、日本市場でのシェア拡大を狙っているのではないでしょうか」
ロッテリアから生まれ変わった新星ゼッテリア。ゼンショー傘下でゼッテリアを運営するバーガー・ワン社長の井上卓士社長は、2月の記者会見で「何年かかるかわからないがナンバー1を目指したい」と語るなど鼻息が荒い。メイン商品である「絶品バーガー」と「カフェテリア」を合わせた勢いある名前で、熾烈化するハンバーガーチェーン戦争の台風の目となりそうだ。
