アパートの火事で偶然発覚→逮捕…50代のタクシー運転手が大麻を育てていた“理由”
アパート火災で事件が発覚
2月19日の朝9時過ぎ、警視庁小平署から姿を現したのは丸坊主の中年男だった。タクシーの運転手だったという男は、ぼんやりと前方だけを見つめながら警官に先導されて歩いていた。それは逮捕が青天の霹靂だったからかもしれない──。
警視庁東村山署が、久保田直樹容疑者(54)を大麻草栽培規制法違反の疑いで逮捕したのは17日のことだった。昨年3月〜9月下旬ごろ、当時住んでいた東村山市のアパートの一室で、大麻草5鉢を栽培した疑いだ。事件が発覚したのは偶然の出来事だった。
「昨年の9月下旬、久保田容疑者宅の洗濯機のコンセント付近から出火し火災が発生。火災報知機の音に気づいた人から119番があったそうです。出火原因は漏電とみられました。
当時、久保田容疑者は仕事のため外出していましたが、消火のために駆けつけた消防隊員が室内の居間に不審な鉢植えがあるのを発見し、警察に通報。鉢植えは大麻草で、乾燥大麻にして25gぶんありました。久保田容疑者は『自宅で大麻草を栽培していたことは間違いありません』と容疑を認めていますが、本人が使用していた形跡はなく、警察は栽培目的や入手経路について調べています」(全国紙社会部記者)
元麻薬取締官の高濱良次氏は今回の事件については、「営利目的の栽培の可能性もあるが、それを証明するのは難しい」と話す。
「25gという量は乾燥して巻きタバコにすると50本ぐらいの量。ライトが押収されていますが、本格的な栽培器具は見つかっていません。自分が使用する目的で栽培していたと言い張れば、不自然ではない。実際、自分で使うためにベランダや押し入れで2〜3鉢栽培していた例はよくあります。
ただ、過去にはタクシー運転手が客に麻薬を売っていたというケースもあり、木村容疑者も今回以前には栽培していて売ったこともあるかもしれません。しかし、今回は偶然に発覚したケースで情報がないために憶測の域は出ないでしょう」
大麻草を栽培して検挙された事件は、10年前と比べると近年は2倍以上になっている。今回の事件以外にも、今年に入ってから少なくとも、以下の3件が報じられている。
「大麻は儲かる」
・1月13日、茨城県つくばみらい市のベトナム国籍の無職の男(36)が常総市内の住宅で大麻草122本を、同国籍の溶接工の男(27)が坂東市内の住宅で大麻草128本を栽培した大麻草栽培規制法違反(営利目的)容疑で茨城県警に逮捕された。
無職の男は、一戸建ての自宅で大麻草76本を営利目的で栽培し、大麻約413.8g(約200万円相当)を所持した疑いで2月2日に再逮捕されている。
・1月21日、大阪府警が大阪市東淀川区の居酒屋経営者の男(51)と京田辺市の無職の男(68)を逮捕。2人は共謀して無職の男の自宅で大麻草の鉢植え75個を営利目的で栽培した容疑。居酒屋経営者の男の店で客に1g4000円で販売していた。2人の自宅からは鉢植えを含む大麻計約975g(約490万円相当)が押収された。
・2月12日に茨城県警に逮捕されたベトナム国籍の無職の男(32)は、他人名義で借りたつくば市内の住宅で大麻草208本を営利目的で栽培した容疑だった。男は今年1月に同じ住宅で乾燥大麻約9.2gを所持した疑いで、麻薬及び向精神薬取締法違反(所持)容疑で逮捕されていた。
なぜ、大麻草栽培事件は増えているのか。前出の高濱氏はその背景について次のように指摘する。
「昭和の時代、すべての麻薬を暴力団が扱っていた頃は覚せい剤が主流でしたが、約30年前にイラン人が売買するようになってからは、大麻が爆発的に広まりました。大麻は解禁されている国もあるので、若者には罪悪感のない者も多い。さらに通信機器やSNSの発達で、現在は使用者が簡単に売人になれてしまう時代になっています。大麻の需要が増えていることに目をつけた反社組織が『大麻は儲かる』と、一軒家や倉庫などで大々的に栽培を始めたために、摘発が増えているのでしょう」
木村容疑者は自身で吸うために大麻を育てていたのか、それとも小遣い稼ぎだったのか。いずれにせよ、うかつに育ててしまうと取り返しのつかない事態を招くのは間違いない。
