新卒入社で「基本給10.5万円」、深夜の正座説教…5年で辞めた30代男性、地獄の労働環境を激白【前編】
リーマンショック直後の就職難を経験した世代にとっては、たとえ過酷な職場であっても「しがみつくしかない」という切実な事情があった。しかし、東京都の30代後半の男性(技能工・設備・交通・運輸/年収450万円)は、大学卒業後に新卒入社した会社で5年勤務したのち「平社員で退職」したという。
入社当時は「求人が少なく何とか入社した」という会社だったが、辞めた理由は絵に描いたようなブラック企業だったからだ。(文:湊真智人)
二代目の横暴「とりあえず罵声」
男性が何より閉口したのは、取締役専務を務める「社長の息子」の人格だった。ある雪の日、男性は2時間以上かけて徒歩で出勤したものの、専務は電話で「除雪しておいて」と指示を出すだけだった。
「(専務は)昼頃来て『終わってねぇじゃん』と言い、定時前に帰っていった。スタックの脱出を手伝っても何のリアクション無し」
労いの言葉はなく、文句だけを残してその場を去った専務。普段から「挨拶しても基本返事なし」と男性は言う。しかし他人の態度には人一倍厳しく、返事がなくても「しないと怒られる」という理不尽さを見せていた。
また専務の言動は、指導の域を完全に超えることもあった。
「『てめえ』『バカか』『言い訳にしか聞こえない』『大学出たのか』と罵声。わからないこと聞いても、とりあえず罵声」
手当たり次第暴言を吐き散らす様子を見て、男性も反論する気が削がれたことだろう。専務の理不尽エピソードは他にもある。
「(専務の)机の上が大量の書類で散乱。別の社員が回覧の書類が見当たらず捜索」
その一方で、「僕の机のPC電源つけっぱなしや書類出しっぱなしがあると説教」という理不尽さだった。時間にもルーズだったようだ。
「遠方のお客様同行で定時後出発と言われて準備したが、(専務は)1時間以上遅れて到着しタバコを吸ってから出発。『100キロ出せば○時間か』と言われた」
さらには「1泊2日の社員旅行」という逃げ場のない空間でも悲劇は起きた。専務は2次会終わりに新卒3人を部屋に呼び出し、なんと2時間にわたって「正座をさせて」説教を続けたのだ。男性たちが解放されたのは「23時ごろ」だったという。
基本給は「10.5万円」、過積載と無免許作業が横行する現場
男性を追い詰めたのは、専務の人格だけではなかった。入社当時の給与体系は目を疑うような内容だった。
「基本給10.5万、作業手当8万、精勤手当0.5万」
住宅手当はなく、昇給も年に1000円程度。生活を支えるにはあまりに心もとない金額だ。また残業は「30分未満切り捨て」で翌々月まで支給がない、定時前の朝礼、昼休み中の電話対応など、労働搾取ともいえる環境を強いられていた。
さらに現場では法令遵守など微塵も感じられない指示が飛び交っていた。
「2トン車で配送中、積みきれないのに『昔はやっていた』との理由で過積載を指示。フォークリフトは無免許」
会社の利益を優先し、社員の安全や尊厳を二の次にする体質。男性はついにこの環境に見切りをつけ、密かに「大型免許」を取得。地獄からの脱出を計画し始めるのだった。【後編に続く】
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