NCT YUTAやSixTONESら手掛ける作詞家へ ELVYN(上原潤)、『日プ』ファイナリストを経て見つけた新しい道
『PRODUCE X 101』(Mnet)に出演し、『PRODUCE 101 JAPAN』(TBS系/GYAO!)ではファイナリストとなった上原潤がELVYNの名義で作詞家として活躍している。オーディション終了後はORβITのメンバーとして活動しながら多くの楽曲で作詞を担当し、作家として現在はNCT 127・YUTAやWayV・TEN、SixTONES、Travis Japanといったアーティストの楽曲を手がけている。
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作家に専念するためのグループの卒業から半年足らずで数々のビッグアーティストの作詞を手がける作家となったELVYN。この活躍の裏側にはアーティストとしての活動を経て得たものが確かに存在する。『PRODUCE X 101』日本人練習生、『PRODUCE 101 JAPAN』のファイナリスト、そしてORβITのラッパー――。ELVYNが作詞家として歩み始めるまでの歴史をたどった。(編集部)
■ラップとの出会いと『PRODUCE X 101』での挫折――まずは音楽との出会いを教えてください。
ELVYN:インターナショナルスクールに通っていたのですが、年上の友達がラップを聴いていて、エミネムが流行っていたんです。10歳くらいの時に初めて聴いて衝撃を受けて、そこから音楽、ラップっていいなと思い始めました。J-POPは全く聴いていなかったかもしれないです。学校で流行っている音楽も洋楽の方が多かったですし。
――その後、韓国の芸能事務所に練習生として所属することになります。K-POPに興味を持ったのは、何がきっかけでしたか?
ELVYN:中学生の時に世間でBIGBANGが流行っていて、すごくかっこいいなと思いました。音楽番組でパフォーマンスを見たりして、そこから韓国で活躍するアイドルも好きになっていきました。
――リスナーからアーティストを目指したのは何がきっかけだったのでしょうか。
ELVYN:兄が芸能スクールに入っていて、当時高校生だった僕のことを誘ってくれたんです。最初は自発的というより、流されるようにステージに立っていたような感じで。音楽は好きでしたけど、ものすごく意欲があったわけではなかったです。そこからステージに立ってみると、やっぱり楽しいし、歌って踊るキラキラした世界で生きていけるのって素敵だなと思って、だんだんしっかりと取り組むようになりました。
――そこから、上原潤名義でとして韓国のオーディション番組『PRODUCE X 101』と日本で放送された『PRODUCE 101 JAPAN』に出演します。『PRODUCE 101 JAPAN』では、初登場の時に『PRODUCE X 101』の脱落順位である91位の椅子に座っている姿が印象的でした。
ELVYN:『PRODUCE X 101』は芸能をやっていて、初めて「悔しい」と思った瞬間でした。自分が持っているものを見せられなくて、もどかしくて、それまで落ち込むことはあっても、「悔しい」と思ったのはなかったので、『PRODUCE 101 JAPAN』では全部見せようと思っていました。出演歴があったから視聴者の方にも色眼鏡で見られるだろうなと思っていたし、「出演するらしい」という噂が先立っていたことも知っていたから、知名度ではなく自分の持っているもので上に進みたいと思っていました。
――『PRODUCE 101 JAPAN』ではファイナルに進出しました。当時からラップのスキルが話題になっていた印象です。
ELVYN:自分のラップが上手いか下手かというより、純粋に「ラップが好き」という感覚でした。あまり人前でやることがなかったので、それを褒めていただいて嬉しかったですね。
■アーティスト活動と並行して歌詞を書き続けた日々――オーディション内でも自分でリリックを書く場面がありましたが、前から歌詞やリリックを書くようなことがあったのでしょうか。
ELVYN:初めて書いたのは大学生の時だったと思います。今は恥ずかしくて聴けないですけど(笑)。
ORβIT「UNIVERSE」M/V (full ver.)――(笑)。オーディション終了後はORβITのメンバーとして活躍します。ORβITではグループの楽曲の歌詞もよく書いていましたよね。
ELVYN:最初はまさか自分が書いたものをメンバーが歌ってくれるとは思わなかったし、しかもそれが世に出てみんなに聴いてもらう感覚は不思議でした。最初は「僕でいいのかな?」というような気持ちも大きかったと思います。そこから「いいじゃん」と言ってもらえることも増えて、モチベーションになっていました。
――グループではかなり多くの曲を手がけていたように感じます。
ELVYN:別の作家さんに頼むことが選択肢からなくなり始めて、僕が作詞をするのが当たり前になってきたことは嬉しかったです。信頼してくれているのかなと思いました。メンバーもクオリティに厳しかったので、しっかりしたものを出したいという意識があるなかで僕に頼んでくれたのは、嬉しかったです。
――グループ在籍中にThe Wind「ISLAND (Japanese Ver)」の作詞も手がけています。
ELVYN:僕がORβITのソロ曲の作詞を担当した時に携わってくださった作曲家さんが僕の歌詞を気に入ってくれて、その方が書いた楽曲の日本語バージョンの歌詞を書かせていただきました。自分のグループ以外にも提供できるようになったことは本当に嬉しかったです。
NCT 127 YUTAソロ楽曲に反映させたイメージとは?――その後、個人としてはNCT 127のYUTAさんの「TWISTED PARADISE」の作詞に参加します。
ELVYN:いきなりこんなに注目されている方の作品に参加できるとは思わなくて、とにかくいい作品にしないとと必死でした。
――この楽曲にはYUTAさん自身も作詞に参加しています。どのように制作が進んだのでしょうか。
ELVYN:YUTAさんの持つイメージを一緒に作詞をしたKENTZさんと僕で整えて、歌詞にしました。YUTAさんが曲に対して持っていたイメージが、“負の感情”だったんです。YUTAさんが持つイメージを聞いて、「これまでものすごい苦労があったんだろうな」と素直に思いましたね。僕も規模は違えど近いものを見てきて、想像することはできたので、それを歌詞にできればと取り掛かりました。
――歌詞が完成してYUTAさんが歌っている「TWISTED PARADISE」を聴いて、どのように感じましたか?
ELVYN:この作品に限らず、僕が作詞させていただいたものは自分で歌った音源を作成してお渡ししています。完成した楽曲は僕が歌ったバージョンのものと比べてかなり言葉に重みがあって、“負の感情”が強くなっているように感じました。
――この楽曲は蜷川実花さんが監督を務めたMVも話題となりました。
ELVYN:映像もあることでネガティブな感情をより美しく表現していますよね。暗い感情かもしれないけど、むしろそれがきれいで美しい側面もあるんだというようなイメージが視覚的に伝わってきます。
――NCTで言うとWayVのTENさんの「All Good」も手がけています。
ELVYN:YUTAさんに続いて有名な方の曲を担当できて嬉しかったです。TENさんの繊細な声で歌詞の儚さが表現されているように感じました。
――おふたりとも世界中にファンがいるグローバルアーティストです。楽曲の反響はどのように感じていますか?
ELVYN:評判が良いならそれは嬉しいですが、どちらかというと、作品が完成する瞬間の方が嬉しいかもしれないです。もちろん、僕のことを元から知ってくださる人がチェックしてくれているのは嬉しいです。
――「TWISTED PARADISE」、「All Good」の歌詞を改めて読むと、ご自身のアーティスト活動の経験も歌詞に反映されているように感じるのですが……。
ELVYN:よくそう言ってもらうことがあるのですが、実は自分では意識していないんです(笑)。この2曲に限らず、歌詞を書く時は自分ではなく、歌ってくださるアーティストのことを考えて歌詞を書いています。もしかしたら、ステージに立ったからこその視点も潜在意識として入っているかもしれないですが、基本的には自分の考えや経験とは別のものとして書いています。
――そうだったんですね。先ほどもお話がありましたが、歌詞を書く時に自分でも歌ったデータを作成するということでした。そういうふうに自分で歌ってみることにこそ、アーティストとしての経験が活きているのかもしれないですね。
ELVYN:歌詞を書き終えてから、実際に自分で歌ってみて歌詞を変更することもあります。歌いながら違和感があるものはすぐに変えたり。歌ってみないとわからないことも多いんですよ。
――確かに、ELVYNさんの歌詞は言葉としてキャッチーというよりも、曲として耳心地のよい言葉が紡がれているイメージです。
ELVYN:英語でちょうどいい言葉を当てはめて、そこから歌詞を組み立てていくのが得意かもしれないですね。女性アイドルの楽曲のようなキャッチーな言葉も書けるようになったらいいなとも思うんですけど。
――インターナショナルスクールで学生時代を過ごしたからこそですね。
ELVYN:親に感謝ですね。作家として英語の大切さを実感する場面も多いです。
■SixTONES・Travis Japanら、日本のリスナーに向けた作詞術
――最近ではSixTONES「Tear Train」やTravis Japan「Precious」の歌詞も担当していました。これまでの楽曲と比べてリスナー層が大きく変わると思いますが、違いはありますか?
ELVYN:求められるものにも違いはあると思います。特に英語詞についてはよりストレートな言い回しを意識しました。「Precious」は楽曲もストレートなものだったので、複雑な言い回しではなく、まっすぐ想いの伝わる歌詞を意識しました。「Tear Train」は逆にちょっと英語多めにして。ジェシーさんが英語が得意ということもあり、難しめの英語表現になっています。
――あくまで書くのは提供先のアーティストが求めている歌詞ということですよね。
ELVYN:そうですね。自分が歌うわけではないので、求められているものを書くのは作家として必要なものだと思います。
――ここまでお話を聞いて、想像以上に現実的な考え方をしてらっしゃるんだなと思いました。
ELVYN:(笑)。でも、昔から感覚的に取り組むよりも、しっかり準備をして挑む方が合っているなと思っていて。だから、仕事として割り切って、粛々と進めていくタイプかもしれません。周りの作家さんは自由なタイプの方も多くて、自分とは違うタイプだなと思うこともあります。僕はこのスタイルでここまでたくさんの作品を作らせていただいたので、これからもこの形でいければと思います。
――真面目なんですね。
ELVYN:仕事ではそういうタイプかもしれないです。作詞の仕事が自分に合っているなとも感じますし。自分の歌詞が採用されると嬉しいですし、逆にボツばかりだと楽しくなかったかもしれないです(笑)。
――ここまでものすごいペースでお仕事が決まっているように見えます。
ELVYN:どうなんでしょう……。あまり基準がわからないのでなんとも言えないですが、もちろん採用されないこともありますし、自信があって出したものがボツになると落ち込みます。先ほども話した通り、自分の歌詞を自分で歌ったデータを作っているのですが、そこで上手く歌えたなと思ったものが採用されないとやっぱり落ち込みますね。移動中に自分で聴くこともあるくらい気に入ってるものも中にはあったりするんですけど(笑)。
――では、世の中に出ているもので特に気に入っている楽曲はありますか?
ELVYN:もちろん全部に思い入れがあるのですが、NEXZの「One Day」は印象的です。作曲は韓国のクリエイターであるKZさんが担当していて、すごくいい曲ですよね。僕が好きなタイプの曲でもあったので、この曲を手がけることができたのは嬉しかったです。
――ありがとうございます。今後はご自身の楽曲も発表する予定があるのでしょうか。
ELVYN:そうですね。こういう作家活動が自分に与える影響も大きいですし、自分の楽曲も発表できればと思っています。
――最後に、作家としての目標を教えてください。
ELVYN:なるべくこのペースを維持して、いろいろなアーティストさんの楽曲を手がけていきたいです。その過程で自分もアーティストとして確立していきたいと思っています。
(文=佐々木翠)
