建築士のHimiさん(36歳)は、パートナーのトマさんとフランス・パリで暮らすライフスタイルをYouTubeで発信中。異国の地での暮らしや、トマさんとの愛情あふれる日常、そして生後8か月の愛息子の育児の様子が、多くの視聴者に人気です。今回は、パリで育児をして気づいた、フランス流の子育てについて紹介してくれました。

※ この記事は『“ちゃんとしなきゃ”を手放せる心地いい毎日 パリ暮らし始めました』(KADOKAWA刊)より一部抜粋、再構成の上作成しています

【写真】父と子のお昼寝風景

フランス赤ちゃん育児の今昔

フランスのフェミニズム運動が盛んだった頃、「母乳信仰は母性崇拝に当たる」という理由で、粉ミルク推奨派が主流でした。彼の周りの人たちも最初からミルクで育った人が多かったようです。

それが今では「もっと選択肢を」という流れで、「母乳で育てたい」という人も多くなってきています。とはいえ生後2か月半で仕事復帰するのが一般的なこともあり、その頃に断乳する人が多いのだとか。

また義母の頃は、「4時間ごとにミルクをあげて、それ以外は泣いてもあげない」、という厳格すぎる方法が常識だったそうですが、今は「As you feel」や「Comme tu veux」の精神が浸透していて、「赤ちゃんが欲しいときに欲しいだけあげましょう」という感じ。泣かせたまま放っておくのはよくない、というのが今のフランスの常識です。

別室就寝はもう古い!?

今と昔の育児事情が異なるのは、就寝スタイルも同じ。昔は生まれたときから別室就寝が当たり前で、義母は赤ちゃんと同じ部屋で寝たことがないそう。でも、最近出産した私の周りのフランス人カップルたちは「仕事に復帰するまでは同室就寝」ばかり。

夜中の授乳やお世話がしやすかったり、やっぱり母親の心理として近くで寝たいですし、男性の産後休暇が1か月あるのも理由のようです。

昔はひとりで寝かせていたので、吐き戻したときに危なくないよううつぶせ寝が推奨されていたけれど、近年はあおむけ寝の方がいいとされていて、義母世代の育児法とはまったく逆になっていることもたくさんあるようです。

「そのときはそれが自分にできる最良だった」と思えればいい

助産院はフランスでは最新の出産スタイルなのですが、そこで教えてもらった就寝方法は、なんと裸での添い寝! 生後1か月間は、私も赤ちゃんも裸のまま、窒息しないように胸骨のあたりに赤ちゃんの顔をのせて、落ちないように腹巻きのようなバンドでひっつけて眠りました。

生後5か月頃までは一緒にベッドで寝ていたのですが、動き始めてからは落下が怖くなり、ベビーベッドへ。布団だったらもっと一緒に寝られたのに…と悔しかったのを覚えています。

時代によっても、その親と子どもによっても、なにがいいかはわかりません。それなら、フランス人のように「そのときはそれが自分にできる最良だった」と信じて、自分をラクにしてあげたいと思います。

ミルクに離乳食、とにかくラクに!がフランス流

フランスで育児をしていて思うのは、とにかくラクな方法を選ぶ、ということです。たとえば、こちらでは赤ちゃんが泣いているのをあまり見かけません。泣き始めたらすぐにおしゃぶりをくわえさせるのが普通で、保育園のもちものの必需品にもなっています。薬局のおしゃぶりコーナーが広くて充実しているのも、それだけ需要があるからですね。

初めての育児だったら、「おしゃぶりデメリット」と検索して、少しでも短所があればやめておこうなんて考える人もいそうですが、こちらではあまり気にしていないよう。とても大きな子たち(3歳くらいまでは一般的らしい)もくわえています。わかります、本当にラクなんです!

ミルクはお水で、離乳食はミキサーで混ぜるだけ

ミルクのつくり方もフランス流で、お湯ではなくお水で溶かすのが普通です。粉ミルクにも、「水で溶かしてください。お湯を使う場合は…」という注意書きがあるくらい。私たちも、フィルターに通した水道水を使っています。

哺乳瓶(ほにゅうびん)の消毒もしないし、食器と一緒に食洗機で洗うだけの人がほとんどです。最近、私が知ったのは、哺乳瓶のミルクのなかに溶かすシリアル。おなかにたまって、朝までぐっすり眠れるようになるらしく、職場復帰する頃に与え始めるんだとか。

離乳食は、ミキサーですべての材料を入れて混ぜるだけ。日本なら、舌の感覚を養うために、いろいろな素材を個別に調理した献立になっていますが、こちらは全部の素材を混ぜてポタージュにするのがデフォルトです。素材ごとに調理して小さな定食をつくるのってすごいことです。

手をかけた育児がいい! という風潮も感じられず、どれだけストレスなく育児をして自分を保っているかが重要視されている気がします。だれもが最初から自分のラクな方法で(それでももちろんラクではないけれど!)育児をするので、仕事を続けながら2人目、3人目を産むことに日本ほど抵抗がないのかもしれません。