『Hirogami (ひろがみ)』プレイレポ 折り紙調の心地よさと驚きに満ちた世界を冒険できる秀逸プラットフォーマー
『Hirogami』をプレイした。
(関連:【画像】折り紙でできた世界を冒険するアクションADV『Hirogami』)
本作はバンダイナムコスタジオ内のインディーゲームレーベルであるギャースタジオ(代表作は『DORONKO WANKO』など)が制作したゲームだ。いわゆる社内インディーという枠組みの企画であり、バンダイナムコが今までに作ってきたタイトルに比べると小粒ではあるが、たしかな手応えを感じる秀逸なプラットフォーマーだった。
作中世界はすべてが折り紙でできた立体絵本の形をしている。しかし、ある日デジタル世界からグリッチ(一般的にはシステムエラーやバグのことを指すが、本作では世界に現れた邪悪な亀裂を指している)が浸食してきて、住人たちの理性を奪ってしまった。主人公の「尋(ひろ)」はさまざまな折り紙の力を借りながら、世界の浸食を止める冒険に出るのだった。
本作はオーソドックスなプラットフォーマーゲームだ。ジャンプや折り紙の力を駆使してエリアを進み、グリッチや敵を排除しつつ、ステージを踏破したりボスを倒したりするのが目的である。2Dと3Dを掛け合わせたデザインで、似たようなタイトルだと「クラッシュ・バンディクー」シリーズや「風のクロノア」シリーズなどが挙げられる。
(Xboxコントローラー基準で)RTボタンで一枚の紙になって滑空し、Aボタンでジャンプ、Xボタンで攻撃、Yボタンでステージギミックを解除するための「神扇の舞」を踊ることができる。
これに加えて、RTボタンと各種フェイスボタンを組み合わせることで、アルマジロ折り、カエル折り、エイプ折りとさまざまな折り紙に変身することも可能だ。これらの操作感は可もなく不可もなくといったところで、レスポンスは悪くないが、気持ちいいというほどでもなかった。
各動物への変身ギミックはなかなか楽しい。アルマジロは回転しながら突進して板を割ることができたり、カエルは高くジャンプしたり麻痺液を飛ばしたり、エイプはパンチで障害物を壊したりツルに捕まったりすることができる。これらの能力はゲーム進行とともに少しずつアンロックされていき、これによって序盤の隠しステージにも行けるようになることがある。パタパタと折り紙が折り畳まれ、中から別の動物が出てくるアニメーションも可愛らしい。
右スティックのカメラは上下左右に少し画角を広げるだけで、ほとんどの場合触らなくてもクリアすることができるのは、初心者にも遊んでもらおうという意図が感じられて良い。同時に、道中には動く足場や棘の付いた柱などのベタなギミックがたくさん用意されており、アクションゲーマーでもしっかり満足できるレベルデザインになっていた。
なんといっても本作の魅力はアートワークだ。
森、洞窟、水辺、大木など、いくつものステージは用意されているが、そのどれもが折り紙で作られている。似通ったテクスチャはあるものの、手作り感が損なわれているポイントはない。どこも温かみを感じられ、長居したくなるような魅力がある。アートとしての美しさは保ちながらも、順路がわからなくなることはほぼなかったので、ゲームらしさとの両立も図られていた。
音楽も素敵で、プレイの邪魔をしない。これらステージの設定資料やBGMは、ステージ攻略中の目標(「全ての宝箱をゲット」など)を達成することでアンロックされるので、ゲームプレイのモチベーションにもなっていた。
かなりウェルメイドなプラットフォーマーではあるが、気になった点もいくつかある。
まず、ステージ内の壁や天井の判定が甘く、ちょっとした拍子にすぐ行ってはいけないところに行けてしまうのが問題だと感じた。回転する足場に最後まで乗ったら隠しエリアでもあるかと思いきや、その先には特に何も用意されておらず、そこからさらにステージの裏側に行けてしまった(もちろん落下扱いである)。
ここだけでなく、ちょっとしたアクションで登ったり飛び移れたりするわりに、何も用意されていなかったり、ミス扱いにされたりする箇所が多く見受けられたのが残念だった。もちろん、バグっぽい挙動がゲームを面白くすることもあるだろうが、本作についてはもう少し厳密にステージの境界線を設けるべきだと感じた。
他には、ステージ内の目標設定も、数が多い割に面白くないものが多かった。特に「ノーダメージでクリア」は全てのステージに存在する目標だが、あまりに難易度が高いうえに、注意を払ったところで、敵のふとした攻撃やギミックに引っかかって台無しになるので、納得感もない。いたずらに難しい目標を用意するよりも、隠しエリアや宝箱を探す楽しさにフォーカスしたほうが良かったのではないだろうか。
とはいえ、メインゲームは常に新鮮な驚きがあり、心地よいアートとサウンドにずっと浸っていられる良質な作品だった。9月は大小問わず注目作が多数発売されるが、そのなかに埋もれてしまうには少しもったいないと思えるほど丁寧に作り上げられた一本だ。
(文=各務都心)

