『ガンニバル』シーズン2 ©2025 Disney

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 柳楽優弥主演のディズニープラス スター オリジナルシリーズ『ガンニバル』のシーズン2がついにスタートした。シーズン1が配信されたのは2022年末から2023年前半にかけてなので、およそ2年ぶりの続編にして完結編だ。3月19日に配信された第1話と第2話は、冒頭にシーズン1の簡単な振り返りはあったものの、すぐに本筋――というよりも、いきなりクライマックスのような怒涛の展開が待ち受けるので、まずはそこに入るまでのおさらいからしていこう。

参考:“大悟”柳楽優弥の命を懸けた熾烈な戦いが始まる 『ガンニバル』S2、第1話&第2話場面写真

 ある事件をきっかけに、山奥にある供花村という閉鎖的な村の駐在として左遷された阿川大悟(柳楽優弥)。彼は妻の有希(吉岡里帆)と娘のましろ(志水心音)と3人で新たな生活を始めようとしていたのだが、赴任早々、山のなかで村を支配する“後藤家”の当主である後藤銀(倍賞美津子)が遺体となって発見される。それをきっかけに村の異質さを目の当たりにしていく大悟は、やがて“村で人が喰われている”という噂を耳にし、真相を確かめようと動きだす。そして銀の孫である恵介(笠松将)ら後藤家と真っ向から対決することとなるのだ。

 シーズン1の終盤、村に代々伝わる奉納祭の日に子どもたちが“生贄”として奉納されることを知った大悟が、子どもたちの監禁されている場所を見つけ出そうと所轄の諸辺署の刑事たちと計画を立て、ついにその場所を特定。1人でその洞窟に足を踏み入れたところに、後藤家の“あの人”が襲いかかってくるというところで幕を下ろすこととなった。その直後から、シーズン2はスタートする。

 暗闇のなかで“あの人”と格闘を繰り広げる大悟。安全な場所に避難していた有希とましろのもとに後藤家の人間が忍び寄り、諸辺署の署長(利重剛)と金丸(赤堀雅秋)のところには供花村の村長である清(六角精児)が現れる。原作コミックスの6巻のあたりからが描かれていくわけだが、この第1話と第2話では驚くほど主人公である大悟の出番は少ない。その分、シーズン1の後半でたっぷり描かれた後藤家の不穏さ、そして彼らに血脈として流れる忌まわしき歴史が深掘りされていく印象だ。

 それを象徴するのは、清や、清の妻であり恵介の母――シーズン1で登場した“顔を喰われた男”京介(高杉真宙)を18年前の祭りの夜に助けだし、いまは京介とともに後藤家から隠れるように暮らしている藍(河合青葉)の口から語られる、恵介の出生の秘密であろう。清にとって恵介は実の息子ではなく、後藤家の血を絶やさぬためにと銀が仕向け、藍と“あの人”のあいだにもうけられた子どもであるという事実。さらに藍もかつては生贄になるはずだった子どもであったということ。いよいよ後藤家の歴史が、少しずつ紐解かれようとしている。

 亡き後も圧倒的な支配力を有する後藤銀という存在に従いっぱなしの後藤家の連中と、供花村で生活していくために彼らに従うことしかできない村人たち。それに真っ向から立ち向かっていく大悟と、彼の背後には国家権力である警察がついている。このシンプルな村vs国(こう書くと、後者の方が圧倒的有利に見えるが、それが通用しないのが村社会というやつであろう)の対立構図の狭間に立っているのが、後藤家の新当主となった恵介であるということを忘れてはならない。

 本来であれば後藤家のど真ん中にいて旗振り役となるはずの存在である彼は、後藤家の、ないしは供花村の因習を壊すために内面に多くの葛藤を秘めている。しかもかつて後藤家によって殺された元駐在の狩野(矢柴俊博)の娘すみれ(北香那)と恋仲にあり、彼女が子を授かったことによって、ますますその葛藤が大きくなっていると窺える。巨大で根深い悪しきものを打ち崩すには、内側から、しかもその中心から崩していかなければならない。そういった意味でも、この第1話と第2話を観る限り、シーズン2は恵介というキャラクターの比重が大きくなるはずだ。

 第2話のハイライトともいえる、後藤家と警官隊との衝突。金丸率いる警察が機動隊を引き連れて後藤家にやってきて、猟銃の検査を行う(折檻部屋を見つけるたばこの煙の一連は、実に優れた脚色だ)。それは、どこかに隠されている子どもたちを救出するための作戦の一環だったのだが、後藤家の連中はすぐに勘付き、“あの人”の襲撃を合図にまさに戦争と呼ぶに足る凄惨な様相に。来乃神神社の宗近(田中俊介)を通し、子どもたちを救出するよう大悟に協力を求めたのは恵介であったとわかるのだが、それが戦争を焚き付けることになるのは予想外だったのだろう。惨状を見つめる彼の生気を失った視線は、まさしく“恵介の物語”の始まりを告げるものといえよう。

 そして新たな登場人物として、後藤家の理(さだむ/中島歩)が登場し、彼は大胆にも有希とましろが乗った車にトラックで突っ込み2人を拉致する。彼女たち――というか、ましろは祭りで奉納される子どもたちの“代わり”となるであろうことが、第2話のクライマックスで触れられる。娘が危険に晒された時、大悟が最も凶暴になるということは、シーズン1の第3話で大悟の過去が明らかになったことからも明白だ。それを踏まえると、ここから供花村で起こりうる展開は、“戦争”以上の壮絶なものとなるに違いない。

(文=久保田和馬)