パチスロ機は「1時間当たりの投資額」が圧倒的に高い…タイパを重視する“20〜30代の若者”がハマるワケ

パチンコ市場の低迷が鮮明になっている一方、パチスロは回復の兆しが見えてきました。実は遊技者にとって時間単位の効率で見るとパチスロが圧倒的に優れています。タイムパフォーマンスを重視するタイパ時代にフィットしているのです。
◆パチンコ総粗利が減少する一方で…
遊技機などの開発を行うSANKYOは、2025年3月期上半期におけるパチスロ機関連事業の売上高が前年の1.8倍となる392億円でした。
パチスロ機の新作「戦姫絶唱シンフォギア 正義の歌」「パチスロ 炎炎ノ消防隊」が好調だったことに加え、2022年11月に販売した「パチスロ ⾰命機ヴァルヴレイヴ」、2023年7月の「パチスロ からくりサーカス」を増産するなど、過去に投入したパチスロ機の根強い人気も業績を下支えしています。
◆平和はパチスロ機の販売台数がパチンコ機を上回る
2023年4月以降はパチンコ玉が内部で循環する「スパートパチンコ(スマパチ)」が導入されており、SANKYOは2023年12月に「スマパチ シン・エヴァンゲリオン Type カヲル」を第1弾として開発しました。
その後、スマパチは2024年3月にラッキートリガーと呼ばれる新機能を搭載するようになり、SANKYOは「eフィーバー機動戦士ガンダムユニコーン 再来-白き一角獣と黒き獅子」を開発。しかし、2025年3月期上半期におけるパチンコ関連事業の売上高は前年同期間の半分以下となる379億円でした。
SANKYOは前期の通期パチンコ機関連事業の売上高が1.2倍に増加していたものの、パチスロ人気に押され、稼働は低調気味に推移していました。総販売台数は前期を下回っていたのです。
同じく遊技機を開発する平和は、2024年3月期のパチスロ機の販売台数が6万5000台を超え、パチンコ機の2万8000台を大幅に上回りました。2020年3月期から振り返って、パチスロ機の販売数がパチンコ機を超えたのは初めて。「戦国乙女4 戦乱に閃く炯眼の軍師」や「パチスロガールズ&パンツァー 最終章」が台数増をけん引しています。
◆「1時間当たりの投資額」が圧倒的に高いパチスロ機
ダイコク電機はパチンコ機・パチスロ機の稼働状況を調査しています(「DK-SISデータから読み取る市場の現状と今後」)。それによると、2024年9月における20円パチスロのアウト(遊技機1台あたり1日に投入されたメダルの枚数・発射された玉数の平均)は8470枚。4円パチンコは1万900個。つまり、パチスロは1日平均で16万9000円、パチンコは4万3000円あまりが投じられていることになります。
1台当たりの遊技時間はパチンコが2時間50分、パチスロが3時間50分ほど。この数字をもとに、1時間当たりの平均利用金額を計算すると、パチスロは4万5000円、パチンコが1万5000円となります。
◆還元率はほぼ同じではあるものの…
次に台粗利を見ると、20円パチスロは2890円で、4円パチンコは3350円。台粗利とは、1台の遊技機が1日で稼ぐ粗利。つまり、遊技者に還元した後の利益を表します。この数字だけを見ると、台粗利が低いパチスロは還元率が高いように錯覚します。
しかし、実際は異なります。パチスロのコイン1枚当たりの粗利は0.34円。パチンコは0.31円。ほとんど変わらないのです。つまり、還元率はほぼ同じだということになります(パチンコ・パチスロの還元率は85%程度だと言われています)。台粗利に違いが生じるのは、パチスロの方が稼働しやすい(遊技者が1日あたり使う金額の総量が多い)ためでしょう。