なぜMagSafeは、アップル以外に広がらないのか? マグネット貼り付けは便利なハズなのに

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MagSafeは、iPhone 12シリーズ以降で登場し、いまではすっかりアップルの特徴として定着している。
MagSafeは、iPhoneの背面にマグネットでワイヤレス充電台やモバイルバッテリー、おサイフなどを貼り付けることができる。

今ではアップルのMagSafeに対応した様々なアクセサリが多くの企業から登場している。MacのPCを持っている人なら「macOS Ventura」でiPhoneをWEBカメラとして使うことができるようになるが、その際にiPhoneをMacのディスプレイの上に固定するアダプターもMagSafeを使いワンタッチで取り付けできる。

MagSafeはスマートフォンの外部アクセサリの拡張性を広げただけではなく、PCとの接続という新たな用途も実現したのだ。


MagSafeを使ったカメラグリップも販売されている


この便利なMagSafeと同様の機能がAndroidメーカーにも広まりつつある。
身近なところでは日本でもゲーミングスマートフォンを販売しているBlack Sharkが、MagSafe互換のスマホクーラーを販売中だ。

「Black Shark Magnetic Cooler」はiPhone用の背面に貼り付けるクーラーで、スマートフォンとの接触面には通電で冷却効果のあるペルチェ素子を採用、7200RPMで回転するファンが効率的に熱の放出も行ってくれる。
iPhoneで長時間ゲームをする人には便利なアイテムだ。

Black Shark Magnetic CoolerはBlack Sharkのスマートフォン「Black Shark 4」にも専用ケースを取り付けることで利用できる。つまりBlack SharkはMagSafeの規格をそのまま自社で利用できるようにしているのだ。なお同クーラー以外のMagSafe機器への対応は不明だ。


iPhoneで利用できるBlack Shark Magnetic Cooler


一方、ZTEの関連会社Nubiaの「nubia Z40 Pro Gravity Edition」も背面にマグネットを内蔵し、ワイヤレス充電台を貼り付けることができる。
こちらは自社設計規格を採用しているため、MagSafe機器の取り付けには対応していない。現在販売されているアクセサリはこのワイヤレス充電台のみで、ゲームプレイ中などスマートフォンを使っている最中でもワンタッチで充電を可能にしてくれる。
マグネットで正しい位置に貼り付けられるためワイヤレス充電も確実に行えるというわけだ。


nubia Z40 Pro Gravity Editionは自社開発のマグネットシステムを搭載


Nubiaはゲーミングスマートフォンを展開しているため、マグネットを利用して固定できるゲームパッドなどの販売も期待されている。
しかしマグネットを使った脱着システムを採用するとなると、背面をフラットな構造にする必要がある。
Nubiaのゲーミングスマートフォンは持ちやすさを考え背面はカーブを描いた断面形状となっており、マグネットを内蔵するためには本体デザインの根本的な見直しが必要だ。

またNubiaより先にRealmeも独自の「MagDart」を発表したが、まだ製品化はされていない。MagDartではワイヤレス充電台も50Wのクーラー内蔵タイプを提供予定で、ゲームプレイをより快適にできるようになるという。またアップルのようにワイヤレス給電可能なモバイルバッテリー、貼り付け式のおサイフも予定されている。なおOPPOも「MagVOOC」を発表しているが、両者は関連会社でありおそらく同じ規格だろう。


RealmeのMagDart


MagDartに対応するスマートフォンとしてコンセプトモデル「realme Flash」を発表したほか、既存のRealmeのスマートフォンに装着しMagDartを利用できるケースも販売予定だ。
この対応方法は一見すると便利に見えるが、ケースを装着しなくてはMagDartを利用することができないのが難点だ。
自分のお気に入りのケースをつけたいこともあるだろうし、最近のスマートフォンは本体デザインも美しいので透明なケースを好む人もいる。ケース方式による対応ではMagDartの普及も進みにくいだろう。

アップルは少数モデルで大量生産という戦略でiPhoneを展開している。またiPhone 12とiPhone 13でほぼデザインが変わっていない。SEを除く4機種は実質3つのサイズに分かれているだけで、MagSafe周りの設計も共通化できる。そのためMagSafeの導入コストも低く抑えられる。

これに対してAndroidメーカーは多品種展開を行っており、低価格モデルにまでマグネット機能を搭載することはコスト的に難しい。
そして一部のハイエンドモデルだけの導入ではコストも上がる上に普及も進まない。製品デザインも毎年変えており、そのたびに設計やテストの時間もかかるだろう。

MagSafeのような規格を導入できるのはアップルのように機種のデザインが一定もしくは少ないラインナップで、しかも大量に販売できるメーカーでなくては難しいといえる。

少数展開という点ではNothingの「Nothing Phone (1)」が似ており、透明な背面から見える内部にはLEDライトが円形に配置されていることからMagSafe類似の機能を次期モデルで搭載してくるかもしれない。ユーザーにとって使いやすいMagSafeだが、iPhone以外への類似規格の採用はすぐには広がりそうもなさそうだ。


Nothing Phone (1)の次期モデルならMagSafeライクな機能搭載があるかもしれない





執筆 山根康宏