モーターショーの目玉はカッコいいコンセプトカー

 今年は残念ながら中止が決まってしまった東京モーターショー。そんなモーターショーの醍醐味は数あれど、やはり多くの人が注目するのは、各メーカーが出展するコンセプトカーではないだろうか?

 ただコンセプトカーと一口にいっても、発売が目前に迫っているような現実的なモデルから、数年から十数年先を見据えたモデルまでそのクオリティはさまざまだ。

 現代の技術では実現が難しい、もしくは市販化するにはハードルが高いようなコンセプトカーであれば、あくまで未来のコンセプトを具現化したものとわかるが、なかにはかなり現実的な姿かたちをしたものが展示されたが、結局その後音沙汰がないというものも存在している。

 たとえば、2013年の東京モーターショーに展示された日産 IDxシリーズや、2015年のトヨタ S-FRなどが最たるものだろう。

 どちらも発表と同時にミニカーもリリースされ、IDxは海外で実車が走行するシーンも公開されていたし、S-FRに関してもゲーム「グランツーリスモ」に登場するなど、実車の発売も確実視されていた。

 しかし、2021年現在、どちらも発売はおろか開発されているという噂すら聞かなくなった。一説にはどちらも発売に向けての動きは凍結されてしまったという話もあるくらいなのだ。

 ではなぜ、発売しないようなモデルをコンセプトカーとしてモーターショーで発表したのだろうか?

市販する予定だったがその後計画が頓挫するケースもある

 まず1つの理由として、発売に向けて動いていたものの、さまざまな事象によって計画が白紙となったというケースがある。

 前述のS-FRなどは、2016年4月にトヨタが社内カンパニー製を導入したことで社内の仕組みが変わり、単体で利益を出すのが難しいと判断されたために開発が凍結されたとも言われている。

 また昨今のコロナ禍においては世界的に経済の情勢が大きく変化してきているため、新型車の開発やリリースを見直しているメーカーもあると言われているのだ。

 そのほかの理由としては、市場の反応を見るためにコンセプトカーをリリースした、というもの。日産のIDxなどは、モーターショーではコアなユーザーからの大きな反応を集めたが、それ以外の一般ユーザーの反応を考えると、専用のFRプラットフォームを作ってまでリリースするほどの需要はないと判断されたのかもしれない。

 どちらにしても、自動車メーカーもクルマが売れてくれなければ事業を存続させることができないので、いくら一部のマニアが大きな声で歓迎しても、利益を生み出してくれる可能性の低いモデルは実際にリリースするには至らないというのが現実、ということなのだろう。