【私の雑記帳】『財界』主幹・村田博文
科学技術には光と影が…
「科学技術にはLights and Shadows、つまり光と影があるけれども、やはり光をうまく出していくことが、逆にShadows(影)をマスクする一番いい方法であるわけです。パンデミックの克服という課題に直面している中で、例えばAI(人工知能)をどういうふうに使っていくか。この辺は一番重要な問題だと思います」
こう語るのは三菱総合研究所理事長の小宮山宏さん(トップレポート参照)。
光と影──。物事には、常にこの問題がつきまとう。プラスになると思っていた事が、同時にマイナス面を引き起こしているという現実の認識から出発、解決策を導いていくほかないということ。
「グローバルな競争と言うんだけれども、やはりスピードが速すぎるのだと思うんですよ。こんな早いスピードで社会が変化していくことは想定されてないですよね」と小宮山さん。
デジタル革命がその変化のスピードをさらに加速させる。そこで格差も生まれ、生き残れないと思う人々との間で摩擦も生ずる。
課題先進国・日本として
物事には二面性がつきまとう。その中で、どう〝解〟を見出していくか?
「だから、グローバリゼーションのいい点もあるし、国連もつぶしていいとは思わないけれども、やはり国家というものがあって、国境を守って、人の移動などもある程度コントロールしながら、自分の国の中のことを考えていく体制でないと持たないのじゃないか」と小宮山さんは語る。
『「課題先進国」日本』や『〝多様なナンバーワン〟作り』といった著書のある小宮山さんは、必ず課題解決の方法はあるという信念の下、いろいろな提言をしておられる。
本号では、その視点で情報発信していただいた。こうした課題を、『財界』誌は読者の皆さまと共に考えていきたいと思う。
平井卓也さんの『つなぐ』
デジタル社会の本質とは何かと言えば、「それは、つなぐこと」とズバリ語るのはデジタル改革担当大臣の平井卓也さん(1958年=昭和33年生まれ)。
メディア関連の民間企業の出身者らしく、政府と地方自治体、自治体と地域住民をつなぐ、もっと言えば政府と国民との対話のパイプを太く、そして密にする──という意味での『つなぐ』であろう。
昨年9月に菅義偉内閣が発足し、日本の最大課題の1つ、デジタル化の遅れを挽回すべく、その旗振り役にと菅首相から指名されたのがこの人。
いま、デジタル庁設置のための〝準備室〟には約100人の職員が働いているが、すでに民間から30数人が入り、民間の知恵を使って働いている。
2001年、IT基本法がスタートしているのに、IT戦略は遅々として進まなかったと言ってもいい。
切り札のマイナンバーカードもその必要性がいわれながら、なかなか浸透しない。
国民の側が、個人情報が抜き取られるのではないかという懸念を持ったりしたのも、遅れを取る理由になった。
「マイナンバーカードのICチップに入っているのは、基本4情報だけ。氏名、性別、住所、生年月日の4つです。マイナンバーカードは健康保険証や運転免許証などのデータベースにアクセスするための鍵です」
マイナンバーカードそのものには何も情報は入っておらず、アクセスのための『鍵』だという平井さんの説明。こうした分かりやすい話は国民にとっても浸透しやすい。
コロナ危機では、ワクチン接種の遅れなど、いろいろな課題も浮き彫りにされた。デジタル庁設置で、『つなぐ』機能が加速されることを期待したい。
