ネットの画像の元ネタはどこに? ネット検索でたどり着けるか調べてみた
インターネットには、たくさんの画像が出回っている。
出典元は不明だが、SNSやブログなどネット上でよく見かける画像は、実にたくさんある。
とくにTwitterでバズったエントリーに含まれる画像は、ネットニュースだけでなくテレビなどでも取り上げられ、瞬く間に広まってしまう。
さらに、パクツイによって過去にバズったツイートが、再び何度もバズるというケースも多い。数年前に見た画像を、最近のツイートでまた見てしまった、なんて経験をしたTwitterユーザーも多いだろう。
そんなよく見る画像の中には、誰が作った画像なのか? 出典元はどこ? など、オリジナリティが不明なものが多い。
とくにTwitterやブログなどの個人アカウントで発信している場合は、ネットで見つけた画像、いわゆる「拾い画」を使っていることが多い。
ツイートしてバズった本人ですら、画像の出どころを知らないことも珍しくない。
そこで今回は、そんなネットでよく見る画像をネット検索だけで元ネタにたどり着けるかどうかを試してみた。
まずひとつめの画像はこちらだ。
カメラが真実を映していない風刺画
It's Mediaと書かれた画像だ。
一部を切り取り真実とは真逆の映像を撮るカメラが印象的な画像だ。
メディアの偏向報道の指摘や、我々が見ている映像は必ずしも真実ではないことを指摘していると受け取れるような風刺画像である。
この画像は、いつ作られた画像で、本当は何を訴えようとしている画像なのか?
とても気になったので、この画像について調べてみた。
まず、Googleの画像検索で調べてみた。
該当する画像をChromeで表示してPCなら右クリック、スマートフォンなら長押しで表示されるメニュー「この画像をGoogleで検索」を選択する。
PC版のGoogleトップでは画像のURLや画像データのアップロードで検索することも可能だ。
PC版Googleトップの画像検索画面
検索してみると、大量の同じ画像がヒットした。
それらをよく見てみると、赤い丸印や「It's Media」という文字がないものがある。
どうやら、赤い丸印や「It's Media」という文字は、オリジナル画像に後から追加されたもので、元画像は赤い丸印や文字はなかったようだ。
元画像と思われる画像には丸印や文字は入っていなかった
この辺りまでは、簡単に分かった。
ところが、この画像の作者や出典元までには、たどり着くことができなかった。
数時間を要して、画像検索だけでなくキーワードによる検索も試みてみたが、有力な情報は得られなかった。
そこで複数のサイトを巡って調べてみた情報をまとめると、どうやら数十年程度前に描かれたであろうイラストとのこと。
アメリカのある雑誌に掲載されたのが初出となるらしい。
しかし、それも確実な情報とは言いきれないレベルだった。
結局、作者はもちろん、このイラストのオリジナルが意味する内容を明確に理解することは叶わなかった。
なお、インターネットが普及する以前の情報や画像は、ネット上では見つけ出すのは難しいといわれている。インターネット以前の出典データや情報は、誰かがインターネットにアップしたわけで、アップされた画像がオリジナルである確証、証明がないからだ。
そういう意味では、インターネット普及以前の出典元不明の画像を追跡するのは非常に困難な作業といえるだろう。
検索しても思った以上の情報が見つからないとテンションがとても下がってしまうが、気を取り直して、もうひとつの画像について調べてみた。
次はこちらの画像だ。
崖で手をつなぐ男女のイラスト
崖で岩に押しつぶされている男性が崖から落ちている女性の手を握っているが、女性の腕をヘビが襲いかけているというなんとも痛ましいイラストだ。
Twitterでは、昨年の上旬頃に日本人が投稿したツイートがバズった。
その投稿には、互いの詳しい状況が分からず、男性は「なぜ女性がもっとよじ登ろうとしないのか?」、女性は「なぜ男性がもっと引き上げてくれないのか?」という男女の心理を綴った投稿で大きな反響を呼んでいた。
この画像を画像検索したところ、まず気になったのはカラーのイラストがあることだった。
ツイートで見た画像はセピア風な色合いだったが、元の画像ではハッキリとした色がついていたようだ。
カラーイラストで女性には吹き出しが
さらに調べると、どうやら女性側に中国語でなにか言っている吹き出しもあった。
このことから中国の風刺画であることが推測できた。
なんと書かれているのかが気になったので、できるだけ解像度の高い画像をダウンロードして、スマートフォンのカメラ翻訳で翻訳してみた。
スマホのGoogle Lensの翻訳機能
吹き出しには「放手吧 我活不成了」と書かれており、これをGoogle翻訳すると「手放せ、生きられない」という意味だと分かった。
女性は男性に手を離すことを求めていたのだ。
そう、日本人が投稿してバズったツイートとはまったく逆の意味だ。
実はこの画像を調べている中で、元ネタとまったく違う意味でバズっていたことをニュースにしていた当時のサイトも複数見つけることができた。
しかし、詳細ページは削除されており、これより詳しい内容を見つけることはできなかった。
この画像についても、出典元やイラストの作者の情報にたどり着くことはできなかったが、それでもバズった画像よりは色々なことが分かった。
しかし、確信的な情報ではないため、あくまでも推測の域は脱していない。
今回の画像の出典を調べる作業を通して思ったのが、
こうした出典が不明な画像を簡単に調べられて、オリジナルを見つけられるサービスが欲しいということ。さらなるシステムやテクノロジーの発展に期待したい。
とはいえ現状の画像検索や翻訳機能の向上は、以前の検索機能より遙かに優秀で、様々なことが検索で調べられるようになっていることもわかった。
一方で、TwitterやFacebookなどのSNSで見かけた出典不明の画像の説明文が必ずしも正確ではないという認識を持っておくことも必要だと改めて感じた。
パッと見た画像や説明文を鵜呑みにして、反射的にリツイートやシェアをするのは「誤った情報の拡散を助長する可能性」があるのは明らかだ。
さらに、今回2枚の画像を検索することで分かったのは、解釈によって画像の意味合いも大きく変わってしまうということだった。
画像を見る方向によっても見え方が変わり、感じ方も大きく変わってしまう可能性もある。
まさに「見えているものがすべてではない」という意識はとても重要だと感じた。
執筆:S-MAX編集部 2106bpm
出典元は不明だが、SNSやブログなどネット上でよく見かける画像は、実にたくさんある。
とくにTwitterでバズったエントリーに含まれる画像は、ネットニュースだけでなくテレビなどでも取り上げられ、瞬く間に広まってしまう。
さらに、パクツイによって過去にバズったツイートが、再び何度もバズるというケースも多い。数年前に見た画像を、最近のツイートでまた見てしまった、なんて経験をしたTwitterユーザーも多いだろう。
そんなよく見る画像の中には、誰が作った画像なのか? 出典元はどこ? など、オリジナリティが不明なものが多い。
とくにTwitterやブログなどの個人アカウントで発信している場合は、ネットで見つけた画像、いわゆる「拾い画」を使っていることが多い。
ツイートしてバズった本人ですら、画像の出どころを知らないことも珍しくない。
そこで今回は、そんなネットでよく見る画像をネット検索だけで元ネタにたどり着けるかどうかを試してみた。
まずひとつめの画像はこちらだ。
カメラが真実を映していない風刺画
It's Mediaと書かれた画像だ。
一部を切り取り真実とは真逆の映像を撮るカメラが印象的な画像だ。
メディアの偏向報道の指摘や、我々が見ている映像は必ずしも真実ではないことを指摘していると受け取れるような風刺画像である。
この画像は、いつ作られた画像で、本当は何を訴えようとしている画像なのか?
とても気になったので、この画像について調べてみた。
まず、Googleの画像検索で調べてみた。
該当する画像をChromeで表示してPCなら右クリック、スマートフォンなら長押しで表示されるメニュー「この画像をGoogleで検索」を選択する。
PC版のGoogleトップでは画像のURLや画像データのアップロードで検索することも可能だ。
PC版Googleトップの画像検索画面
検索してみると、大量の同じ画像がヒットした。
それらをよく見てみると、赤い丸印や「It's Media」という文字がないものがある。
どうやら、赤い丸印や「It's Media」という文字は、オリジナル画像に後から追加されたもので、元画像は赤い丸印や文字はなかったようだ。
元画像と思われる画像には丸印や文字は入っていなかった
この辺りまでは、簡単に分かった。
ところが、この画像の作者や出典元までには、たどり着くことができなかった。
数時間を要して、画像検索だけでなくキーワードによる検索も試みてみたが、有力な情報は得られなかった。
そこで複数のサイトを巡って調べてみた情報をまとめると、どうやら数十年程度前に描かれたであろうイラストとのこと。
アメリカのある雑誌に掲載されたのが初出となるらしい。
しかし、それも確実な情報とは言いきれないレベルだった。
結局、作者はもちろん、このイラストのオリジナルが意味する内容を明確に理解することは叶わなかった。
なお、インターネットが普及する以前の情報や画像は、ネット上では見つけ出すのは難しいといわれている。インターネット以前の出典データや情報は、誰かがインターネットにアップしたわけで、アップされた画像がオリジナルである確証、証明がないからだ。
そういう意味では、インターネット普及以前の出典元不明の画像を追跡するのは非常に困難な作業といえるだろう。
検索しても思った以上の情報が見つからないとテンションがとても下がってしまうが、気を取り直して、もうひとつの画像について調べてみた。
次はこちらの画像だ。
崖で手をつなぐ男女のイラスト
崖で岩に押しつぶされている男性が崖から落ちている女性の手を握っているが、女性の腕をヘビが襲いかけているというなんとも痛ましいイラストだ。
Twitterでは、昨年の上旬頃に日本人が投稿したツイートがバズった。
その投稿には、互いの詳しい状況が分からず、男性は「なぜ女性がもっとよじ登ろうとしないのか?」、女性は「なぜ男性がもっと引き上げてくれないのか?」という男女の心理を綴った投稿で大きな反響を呼んでいた。
この画像を画像検索したところ、まず気になったのはカラーのイラストがあることだった。
ツイートで見た画像はセピア風な色合いだったが、元の画像ではハッキリとした色がついていたようだ。
カラーイラストで女性には吹き出しが
さらに調べると、どうやら女性側に中国語でなにか言っている吹き出しもあった。
このことから中国の風刺画であることが推測できた。
なんと書かれているのかが気になったので、できるだけ解像度の高い画像をダウンロードして、スマートフォンのカメラ翻訳で翻訳してみた。
スマホのGoogle Lensの翻訳機能
吹き出しには「放手吧 我活不成了」と書かれており、これをGoogle翻訳すると「手放せ、生きられない」という意味だと分かった。
女性は男性に手を離すことを求めていたのだ。
そう、日本人が投稿してバズったツイートとはまったく逆の意味だ。
実はこの画像を調べている中で、元ネタとまったく違う意味でバズっていたことをニュースにしていた当時のサイトも複数見つけることができた。
しかし、詳細ページは削除されており、これより詳しい内容を見つけることはできなかった。
この画像についても、出典元やイラストの作者の情報にたどり着くことはできなかったが、それでもバズった画像よりは色々なことが分かった。
しかし、確信的な情報ではないため、あくまでも推測の域は脱していない。
今回の画像の出典を調べる作業を通して思ったのが、
こうした出典が不明な画像を簡単に調べられて、オリジナルを見つけられるサービスが欲しいということ。さらなるシステムやテクノロジーの発展に期待したい。
とはいえ現状の画像検索や翻訳機能の向上は、以前の検索機能より遙かに優秀で、様々なことが検索で調べられるようになっていることもわかった。
一方で、TwitterやFacebookなどのSNSで見かけた出典不明の画像の説明文が必ずしも正確ではないという認識を持っておくことも必要だと改めて感じた。
パッと見た画像や説明文を鵜呑みにして、反射的にリツイートやシェアをするのは「誤った情報の拡散を助長する可能性」があるのは明らかだ。
さらに、今回2枚の画像を検索することで分かったのは、解釈によって画像の意味合いも大きく変わってしまうということだった。
画像を見る方向によっても見え方が変わり、感じ方も大きく変わってしまう可能性もある。
まさに「見えているものがすべてではない」という意識はとても重要だと感じた。
執筆:S-MAX編集部 2106bpm