小泉進次郎氏悩ます育休問題 取っても批判、取らなくても批判

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「ニュージーランドなら(育児休暇取得は)当たり前。早くああなればいい」

9月20日、記者会見でこう述べた小泉進次郎環境大臣(38)。世界で初めて首相在任中に産休と育休取得したニュージーランドのジャシンダ・アーダーン大統領と会談したことを受けての発言だった。

8月に滝川クリステル(41)と結婚した小泉氏。2020年初めに、第一子が誕生予定であることでも世間を驚かしたが、9月11日にはご祝儀とばかりに環境大臣として初入閣。以来、福島第一原発の汚染水放出問題での発言や、台風15号の被害を受けた千葉県への訪問など、その一挙手一投足が報じられて注目を集めてきた。だが、そんな小泉氏をもっとも悩ましているのは原発でも台風でもなく、「育児休暇」問題なのかもしれない。

結婚発表後時から小泉氏は育児休暇の取得を検討していることを明言してきたが、直後から賛否が別れた。

たとえば小池百合子知事は9月13日に「堂々と取るべきだ」と賛意を表明。「男性の育休『義務化』を目指す議員連盟」会長の松野博一元文科大臣も「社会意識変革の大きな推進になる」と歓迎した。さらに作家の乙武洋匡さんはTwitterで《制度は整っているのに空気的に取れないという方も多くいるなか、小泉議員のような方が取得することで、そうした“空気”の打破につながる》とその意義を説明している。

一方で、批判の声も多い。9月9日には国民民主党の泉健太政調会長が「育休を取りたくても取れない人がたくさんいる。国民が先」と語れば、日本維新の会の代表で大阪市の松井一郎市長も、育休中に議員報酬が満額でることを問題視。9月11日、小泉氏の入閣直後に「もう内閣の一員になったんだから、育休を言っている場合じゃなくなった」と語った。

問題が問題なだけに表立って批判する者は少ないが、9月14日の朝日新聞では「大臣の仕事はそんなに甘くない。国家の仕事が最優先でしょう。それができないなら、大臣をうけちゃだめだ」という自民の閣僚経験者の声も紹介されている。

Twitterでも《税金で奉仕させてもらってる身なんだから、国民に対する裏切りなんじゃ?》《議員になった以上、自分の事や家族は三の次》《一般の仕事じゃなく、任期があるんやから一旦政治家を辞めるべき》など育休取得を批判する声は多い。また作家の百田尚樹氏の《子供が成人するまで、休んどけ》と揶揄する声も……。

取得しても、取得しなくても批判を受けそうな小泉氏の育休問題。じつは国会議員には育児休暇の規定がないことが問題を複雑にしている。

政治部記者からは「現実的には数日から1週間程度休んで、“育児休暇を取った”とするのが落としどころ」という声も上がっている。

仮に小泉氏が育休取得を断念したり“かりそめ”の育休に終わったりした場合に懸念されるのが、世の中への影響だ。小泉氏と同様、来年度に育児休暇の取得を予定している男性はこう懸念を示す。

「もし小泉さんが職責を理由に育休取得を断念するとしたら、“職責が重い人は育休を取るべきではない”というメッセージを世に発することになります。また“育休を取れる人間は楽な仕事をしている”というイメージも生みかねない。仮に数日や数週の休みで“育休を取った”とした場合でも、男性の育児休暇はそういうものという印象を世に広めることになる。育児において女性と同等の責任を負おうとするなら、数日や数週の休みでは足りませんよね。“小泉進次郎は〇日だったけど、お前はそんなにとるのか”と言われるような男性も出ると思います。断念したり中途半端に取ったりするなら、男性の育児参加を阻害したことになる。そんなことをするくらいなら、初めから育休なんて言い出さないでほしい」

批判も多い国務大臣の育休取得。だが世の男性のためにも、小泉大臣には長期間の育児休暇を堂々と取得してほしいものだ。