久保建英がさらに輝くために必要な、ある「ポジション」
17歳の選手について評価を確定させることは、一般論で言えば無理がある。騒がれながら失速していった選手、消えていった選手は過去にごまんといる。その数の方が圧倒的に多い。サッカー競技のこれは特性と言うべき現象だ。
久保建英についても思わず懐疑的になる。しかし一方で、その心配が日ごとに解消されていることも事実。日本代表級になるのは時間の問題だと思う。
問題は日本代表級の程度だ。チャンピオンズリーグへどれほど出場できる選手になるか、という物差しのあて方もできるが、その期待と密接な関係にあるのがポジションだ。
中盤でプレーするゲームメーカーっぽい選手になるのか。それとも前線でプレーするアタッカーになるのか。選手としての価値が高いのはチームの成績に直接、影響を及ぼすことができる後者だ。
しかし所属のFC東京では、開幕から4-4-2の右サイドハーフで起用されてきた。アタッカーというより役割はゲームメーカーに近く、技巧を全面に押し出しながらプレーしていた。
先の浦和戦はU−22のミャンマー遠征から帰国したばかりということもあり、ベンチスタートとなった。出場したのは後半17分。ベンチに下がったのは、それまで2トップの一角としてプレーしていた永井謙佑で、久保はそのポジションにアタッカーとしてそのまま収まることになった。
中盤より相手のマークが厳しいポジションだ。身体の小さな技巧派は概して相手との接触を嫌う。ボールを失う確率も高くなる。そこで必要となるのは闘争心だが、このあたりが選手にとって大きな壁で、淡泊な選手ほど意欲を失いやすい。それが成長が止まる要因になる。
居心地のよさを求め、下がってプレーしようとする選手もいる。さしずめ香川真司はその典型と言えるが、久保はどうなのか。浦和戦では、その高い位置でのプレーぶりが注目された。
だが、心配は杞憂に終わった。久保は要求されたとおりの高い位置をキープした。後半30分には、ディエゴ・オリベイラが挙げたFC東京の先制ゴールに深く関与した。浦和の左ウイング、マルティノスが中央に折り返したボールのこぼれを、青木拓矢と競り合いマイボールにしたその瞬間の身体の使い方がまず秀逸だった。青木を置き去りにしつつ、ターンして正面を向くやドリブルを開始。
細やかさに力強さが加わったステップで20〜30m真っ直ぐ突き進み、右サイドを走るディエゴ・オリベイラにパスを送った。
トラップとランニングのタイミングが合わず、ボールが跳ね返り、大きく弾むと、久保は再び反応。今度は左サイドを走る東慶悟の鼻先に、タイミングのいいパスを送った。ディエゴ・オリベイラの先制点は、その東のアシストプレーによってもたらされたが、久保あってのゴールであることは間違いなかった。
その後も、久保はこれに似たプレーを披露。それはメッシっぽくもあり、グリーズマンぽくもあった。お世辞ではなく、いまの時代を代表する左利きの世界的アタッカーとイメージが重なるのだった。
だが、左利きはそれほどキツくない。左利きの選手は往々にして柔道や相撲で言うところの左半身の体勢でプレーしがちだ。かつての名波浩や中村俊輔がそうだったように、左利きであることを主張するような独得のボールの持ち方をする。本田圭佑はそれほどでもなかったが、この半身の体勢がキツいと相手に進行方向を読まれやすい。
メッシはそのまま強引に突き進むが、グリーズマンはメッシほどキツくない。かつてレアル・マドリーで主役を張ったラウールも左半身の体勢は緩かった。
右も左も真ん中もできるという点で、ラウールとグリーズマンは共通する。本田圭佑もしかり。どこでもできる多機能型選手の方が活躍の機会は多く与えられるので、そうした意味でも久保の今後には楽観したくなる。
浦和戦でプレーした場所は2トップの一角。1トップ、ディエゴ・オリベイラの「脇」と言ってもいい。真ん中の選手としてプレーしたが、欲を言えば、ゴールが欲しかった。先述のメッシ、グリーズマン、ラウールがそうであるように、得点ランキングでも上位に顔を出す選手でないと大物感は生まれない。
また、あるレベルの選手を目指すなら同時に、ウイングプレーを得意としなければならない。不可欠なのは、対峙するサイドバックを縦に抜いて出るドリブル&フェイントだ。もっともこれは、どんな天才でも10回トライすれば何回かは不成功に終わる。失敗はつきもののプレーになる。抜けなければ、スタンドは大きな溜息に包まれる。だが、その技術はトライしなければ向上していかない。失敗なくして成功はない類の話だ。失敗を怖がらない勇気が必要になる。
サイドアタッカーとしての魅力をいかに向上させるか。これはFC東京の4-4-2のサイドハーフでは磨きにくい。プレーが中盤化する危険がある。4-3-3のウイング、4-2-3-1の3の両サイドの方が適している。通常よりもう半列高い位置で、縦に抜くテクニックを磨いて欲しい。選手としての将来は、ポジションの適性が広い選手の方に開けている。
17歳ながら、近い将来、日本代表の中心になることが見えている日本サッカー期待の星。これからどこでプレーするのか、定かではないが、くれぐれも、チームの事情のために小さく育つことがないようにして欲しいものだ。
久保建英についても思わず懐疑的になる。しかし一方で、その心配が日ごとに解消されていることも事実。日本代表級になるのは時間の問題だと思う。
問題は日本代表級の程度だ。チャンピオンズリーグへどれほど出場できる選手になるか、という物差しのあて方もできるが、その期待と密接な関係にあるのがポジションだ。
しかし所属のFC東京では、開幕から4-4-2の右サイドハーフで起用されてきた。アタッカーというより役割はゲームメーカーに近く、技巧を全面に押し出しながらプレーしていた。
先の浦和戦はU−22のミャンマー遠征から帰国したばかりということもあり、ベンチスタートとなった。出場したのは後半17分。ベンチに下がったのは、それまで2トップの一角としてプレーしていた永井謙佑で、久保はそのポジションにアタッカーとしてそのまま収まることになった。
中盤より相手のマークが厳しいポジションだ。身体の小さな技巧派は概して相手との接触を嫌う。ボールを失う確率も高くなる。そこで必要となるのは闘争心だが、このあたりが選手にとって大きな壁で、淡泊な選手ほど意欲を失いやすい。それが成長が止まる要因になる。
居心地のよさを求め、下がってプレーしようとする選手もいる。さしずめ香川真司はその典型と言えるが、久保はどうなのか。浦和戦では、その高い位置でのプレーぶりが注目された。
だが、心配は杞憂に終わった。久保は要求されたとおりの高い位置をキープした。後半30分には、ディエゴ・オリベイラが挙げたFC東京の先制ゴールに深く関与した。浦和の左ウイング、マルティノスが中央に折り返したボールのこぼれを、青木拓矢と競り合いマイボールにしたその瞬間の身体の使い方がまず秀逸だった。青木を置き去りにしつつ、ターンして正面を向くやドリブルを開始。
細やかさに力強さが加わったステップで20〜30m真っ直ぐ突き進み、右サイドを走るディエゴ・オリベイラにパスを送った。
トラップとランニングのタイミングが合わず、ボールが跳ね返り、大きく弾むと、久保は再び反応。今度は左サイドを走る東慶悟の鼻先に、タイミングのいいパスを送った。ディエゴ・オリベイラの先制点は、その東のアシストプレーによってもたらされたが、久保あってのゴールであることは間違いなかった。
その後も、久保はこれに似たプレーを披露。それはメッシっぽくもあり、グリーズマンぽくもあった。お世辞ではなく、いまの時代を代表する左利きの世界的アタッカーとイメージが重なるのだった。
だが、左利きはそれほどキツくない。左利きの選手は往々にして柔道や相撲で言うところの左半身の体勢でプレーしがちだ。かつての名波浩や中村俊輔がそうだったように、左利きであることを主張するような独得のボールの持ち方をする。本田圭佑はそれほどでもなかったが、この半身の体勢がキツいと相手に進行方向を読まれやすい。
メッシはそのまま強引に突き進むが、グリーズマンはメッシほどキツくない。かつてレアル・マドリーで主役を張ったラウールも左半身の体勢は緩かった。
右も左も真ん中もできるという点で、ラウールとグリーズマンは共通する。本田圭佑もしかり。どこでもできる多機能型選手の方が活躍の機会は多く与えられるので、そうした意味でも久保の今後には楽観したくなる。
浦和戦でプレーした場所は2トップの一角。1トップ、ディエゴ・オリベイラの「脇」と言ってもいい。真ん中の選手としてプレーしたが、欲を言えば、ゴールが欲しかった。先述のメッシ、グリーズマン、ラウールがそうであるように、得点ランキングでも上位に顔を出す選手でないと大物感は生まれない。
また、あるレベルの選手を目指すなら同時に、ウイングプレーを得意としなければならない。不可欠なのは、対峙するサイドバックを縦に抜いて出るドリブル&フェイントだ。もっともこれは、どんな天才でも10回トライすれば何回かは不成功に終わる。失敗はつきもののプレーになる。抜けなければ、スタンドは大きな溜息に包まれる。だが、その技術はトライしなければ向上していかない。失敗なくして成功はない類の話だ。失敗を怖がらない勇気が必要になる。
サイドアタッカーとしての魅力をいかに向上させるか。これはFC東京の4-4-2のサイドハーフでは磨きにくい。プレーが中盤化する危険がある。4-3-3のウイング、4-2-3-1の3の両サイドの方が適している。通常よりもう半列高い位置で、縦に抜くテクニックを磨いて欲しい。選手としての将来は、ポジションの適性が広い選手の方に開けている。
17歳ながら、近い将来、日本代表の中心になることが見えている日本サッカー期待の星。これからどこでプレーするのか、定かではないが、くれぐれも、チームの事情のために小さく育つことがないようにして欲しいものだ。
外部サイト
関連情報(BiZ PAGE+)
スポーツライター杉山茂樹氏の本音コラム。
