“使い回し”減らず、院内感染発生も
 再製造SUDが制度化された背景には、厚労省が再三にわたり医療機関にSUDの適正使用を求めているにもかかわらず、病院内でSUDの“使い回し”が後を絶たないことがある。SUDの再使用が判明するたびに、厚生労働省は再使用禁止の通達を出しているが、「実質的に大きな改善を見ていない」(佐伯社長)状況だ。

 院内で洗浄・滅菌したSUDは、医療機器メーカーによる安全性や性能の保証もない。そのため、感染や製品の劣化リスクが指摘されている。実際、過去にSUDの再使用で院内感染が発生するなど健康被害につながったケースも少なくない。

 それでもSUDの使い回しがなくならないのは、SUDが高価なことが影響している。SUDは1本数十万円とも言われ、手術のたびに複数本使用する。

 「医療関係者から高価なSUDを1回で使い捨てするのはもったいないという声はよく聞く」(関係者)。表面化していないが、多くの医療機関で使い回しの実態が残っているとの指摘もある。

 松本理事長は「(再製造SUDは)医療機関からの“問題提起”でもある」と問いかける。武藤教授も「再製造SUDは第3の道。院内での再滅菌、再使用が減るのではないか」と期待している。
(文=村上毅)
【単回使用医療機器の再製造】
安全確保のため、使い捨てとしている単回使用医療機器(SUD)を収集し、分解、洗浄、部品交換、滅菌など適切に再製造し、再使用を認める制度。2017年7月に厚生労働省が省令を改正し、導入した。主なSUDには、EP(電気生理用)カテーテルや腹腔(ふくくう)鏡用血管シーリングデバイスなどがあり、米国では先行導入され、医療現場で使用されている。今回の制度では再製造SUDの製造・販売には製造販売業の許可を必要とするほか、オリジナル品とは別の品目として承認を必要とする。再生部品や製造、流通のトレーサビリティー(履歴管理)を確保し、安全対策や回収など医薬品医療機器法上の責任は、再製造した製造販売業者が担う。