東京の声とシンクロするTOKYO FMの番組「シンクロのシティ」。ボイス収集隊が東京の街に繰り出し、様々な人々に声をかけ、1つのテーマについてその人の意見や思いを聞き出します。その声を聴き、リスナーと共に考えるのはパーソナリティの堀内貴之。4月27日のテーマは「バーテンダーに聞きました! “東京”でカクテル作って下さい」でした。

皆さんは普段カクテルを飲みますか? 赤提灯や横丁ブームに押され、お酒といえば生ビール、ハイボール!という方も多いのでは。なかなか行きつけのバーでカクテルを飲む、という習慣はないかもしれませんね。ですが、カクテルの世界は実はとても深いもの。最近ヨーロッパなどでは「ミクソロジー」と呼ばれる新鮮なフルーツや野菜、ハーブやスパイスをスピリッツと呼ばれる蒸留酒と組み合わせて作るカクテルが主流となっています。今回は東京のバーで、バーテンダーの皆さんに「東京」というテーマでカクテルを作ってもらいました。

「バーテンダーに突然お願い! “東京”でカクテル作って下さい」

◆赤坂見附「Bar Tiare(バー・ティアレ)」水澤泰彦さん

全国バーテンダー技能競技大会で総合優勝に輝いた、というすごい経歴の持ち主。バーテンダー歴 25 年。



「まずは、コレ。日本のウイスキーの『響 ジャパニーズハーモニー』といいます。響きあうというところからできているウイスキーで、多種多様な人が暮らしている“東京”というテーマに合わせてお作りします。

日本には柑橘がたくさんあるので、その中から今の時期にある黄金柑というさっぱりとした柑橘を使用します。ちょうど良い酸味と、その中にも甘さがあるので日本の蜜柑みたいな感じですね。そしてこちら、和菓子に使う和三盆を。上品な甘さになるので使います。日本の柑橘なので、日本のお砂糖を合わせて。

ここで、自家製のザクロのシロップを入れていきます。ウイスキーだけだと飲みづらい方もいるので、フレッシュ感を出したいので。で、最後、炭酸で、今の季節に合うように飲みやすいカクテルに。最後に花を一輪。

(完成ですか? グラスが陶器ですね!)

湯呑みを使って。日本のカクテルを作る時は、できるだけこちらを使ってます。お客様に喜んでいただけるかな、と。

(いただきます! ……飲みやすいですね!)

ウイスキーのソーダ割り、ハイボールに、フレッシュな果物を入れたカクテルと思っていただければ。

(赤坂見附のお店から見る東京って?)

いい意味でも悪い意味でも、日本の中心なんだなって感じがします。どうしても東京にいると仕事ばかりだと思うので、そういうところにふるさとを感じていただける一杯になれば、と思います。それで、日本の果物、お砂糖、器だったり、そういうものを使ってみました。東京で揉まれて頑張っている人の想いを表現したカクテルです」

◆銀座「Bar GASLIGHT(バー・ガスライト)」井口法之さん



(突然なんですけど「東京」をテーマに一杯お願いします!)

「かしこまりました。せっかくの銀座で近くに歌舞伎座もございますので、“和”っぽいカクテルをお作りさせていただきます。では、注いでいきます……。歌舞伎の緞帳ですね、上から3色で表現して完成です。

(けっこう甘めといいますか……美味しい〜!)

やっぱりここは銀座なのでシンボルマークの歌舞伎座、そういったのをイメージして、夜というより昼間の楽しみ方をグラスに表現しました。ジャパニーズウイスキーをベースに抹茶リキュール、巨峰の葡萄リキュール、そちらにレモンジュースを少し酸味で味わいのバランスを取る為に入れてます。わざと3層にしているんです。味わいの変化も楽しみながらお飲みいただけるとよろしいかと思います。

(今回みたいにオーダーでの注文もあるんですか?)

そうですね、メニューのご用意もあるんですがやっぱりお客様のお好みを聞いて、とくに銀座のバーは多いかもしれないですね。本当にお客様のその時の気分を考えて私達はお作りさせていただいています。一生懸命その人を観察しながら会話も交えながら……。

(あんまり相手が喋らない方だと難しいですね)

そうですね、お召しになっている洋服とか、指に付けている物だったり。飲み方や目の置き場でもなんとなく分かります。私達も見てないようで見てるので、“二杯目はもうちょっとこうしてみようかな”と、お客様とだんだん距離を詰めてお好みを……って感じです。そこがバーの醍醐味だと思います。

(人間観察のプロでもありますね)

まだまだなんですが、そうですね。それこそ必要かもしれないですね! 難しいですけど、そういう事を心掛けて日々精進しております。」

◆銀座「Bar OPA(バー・オーパ)」田畑道崇さん



(さっそくなんですけど「東京」をテーマに一杯お願いできますか?)

「はい、分かりました。ベースをウイスキー30ml、葡萄リキュール10ml、それに杏子のお酒10ml、そこに絞りたての生のレモンジュースを10ml、自家製のグレナディンシロップで少し赤みをつけます。これはカリフォルニア産のザクロです。一番良い時期に一年分絞って冷凍しています。

(完成でしょうか?)

はい、どうぞお召し上がり下さい。

(ではさっそく頂きます……わりと甘めな感じもしつつ、奥にアマレットがホワ〜ッと! どんな東京が込められていますか?)

東京って私のイメージなんですが、やはり、“人、モノ、情報”が集まる場所だと思うんですよね。実際私も九州の鹿児島でバーテンダーをしていまして東京に憧れて出てきました。ベースに使っているのは日本のウイスキー『岩井』ってものなんですが、何か自分が生まれた所のお酒を関連して作りたいな〜ってことがありました。あとはやはり銀座の街ですね。夜になるとネオンがいっぱいあって人も多くて、そういう所をイメージしてこの色合いにしました!

(甘い感じにしたのにはポイントが?)

良い時もあり、悪い時もあり……そのような意味を込めて、こうしました。

(こちら名付けるならどんな?)

集まると言う意味の“Meet up”。言いやすさとか語呂の響きもいいなと思って今回の為に作りました!

(「東京」って頼まれてどうでしたか?)

正直最初は難しいな〜と。東京っていっぱい事がありすぎて、何かひとつってなかなか難しかったです。作るにあたってスカイツリーだったり、東京タワー、江戸だったりイメージが出ると思うんですけど、ひとつに絞れなくて。アバウトですけど“集まる”ということにテーマを置いて作ってみました。

実際、地方出身のバーテンダーってすごく多いんですよ。バーテンダーとして美味しいものを作るっていうのは、大事であってとても難しいことでもあるんですけど、同じ味をずっと作り続けることももっと難しくて、同じように調合していても微妙に違ったりして。そこら辺がカクテルの魅力のひとつだと思います!」

◆人形町「Bar 内藤」内藤茂敏さん



(今日は「東京」というテーマでカクテルを作っていただきたいと思ってます)

クラッシュアイスと言いまして、氷を細かく砕いたアイスを使いますね。グラスはロックグラスをお使いいたします。今、ミキシンググラスにアンゴスチュラ・ビターズという苦味酒を少しだけ入れて氷となじませてます。オレンジというか紫というか深い色になりますね。

(続いては)

今回メインとなる『響 ジャパニーズハーモニー』というお酒をお入れします。今回ミキシンググラスを使ってステアという技法でカクテルを作ってます。

(今、入れたのは何ですか?)

これは、ジンジャエールですね。そして、軽く『響』とジンジャエールをなじませまして、香り付けにオレンジピールも中に入れてしまいます。これで完成になります。今回、“東京”というテーマをいただいて、私がまず浮かんだのが、“多様性”。英語で言うと“Diversity”ですかね。そういうイメージを持ったので、それを表現する時に、多様性が響き合うということで、『響』という材料、ジャパニーズハーモニーですね。こちらが頭に思いついて、これを活かすようなカクテルに仕上げました。クラッシュアイスを使ったのが上空から見た東京のキラキラした街並みをイメージして、作ってみました。

(早速、いただきます。……わ、結構強めで!)

そうですね。ウイスキーを活かすようなレシピを考えて作りましたね。クラッシュアイスで飲むとカクテルの温度もぎゅっと下がるので、ちょっと強くて、甘いカクテルでもスッキリめな口ざわりになりますね。洗練された大人のイメージのカクテルになると思います。

(アンゴスチュラ・ビターズ。こちらはなぜ入れようと思われたんですか?)

こちらは、よくカクテルにアクセントで使われる苦味酒なんですけども、ウイスキーのコクを出してくれますし、街の中の苦い部分とオレンジの香りのやわらかい部分、街の優しい部分を表現したつもりです。

(こちらのカクテルは、どういう名前になりますか?)

“diversity of TOKYO”です!」

【ちょっと背伸びして味わう、奥深い一流のカクテル】

今回出てきたバーテンダーの方は、もちろんお互いの打ち合わせなどは一切ナシ。にも関わらず、なんと全てのカクテルがウイスキーベース。しかも日本のウイスキー、そのうちのふたつが「響」でした。見た目は全く違うものの、どこか共通点がある一流バーテンダーたちの「東京」。カクテルの世界の深さを感じるオンエアとなりました。

堀内貴之は「日本のバーは世界の中でもレベルが高くて、日本にわざわざ世界から飲みに来る人もいるくらい。でも、日本ではそこまでバーカルチャーは盛り上がっていないんですよね。敷居が高いというか、自分なんかが行っていいのかなとか入りづらいなというのがあって。でも本来バーは少しだけそういう要素があったほうがいい。ちょっと背伸びしないと開かない扉くらいのほうが、馴染みの客になれた時に嬉しく感じますからね」とコメント。いつもとは違った空間で味わうとびきりのカクテルは、自分の格をひとつあげてくれるように感じるはずです。

<番組概要>

番組名:「シンクロのシティ」

放送日時 :毎週月〜木曜15:00〜16:50

パーソナリティ:堀内貴之、MIO

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/city/