【レッドブル・エアレース千葉】エアレース飛行機の秘密──エアレースの楽しみ方・その2
5月16日(土)、17日(日)に、千葉県の幕張海浜公園で開催されるRed Bull Air Race Chiba 2015。この世界最速のモータースポーツ・シリーズで使われる機体について紹介します。
実は一般の旅客機や飛行機、旧世代のジェット戦闘機などは通常飛行では地面に対して90度の垂直上昇を維持するのは難しいのですが、レースに出場する機体は非常に軽量で、2014年に統一されたエンジンとプロペラでも垂直上昇が可能なほど強力です。
旋回Gについても負荷が10G(体重の10倍の負荷。F-1マシンのコーナリング時の2倍位)を超えるとペナルティが課せられますが、勿論それ以上の負荷に耐える様設計・製造されています。主翼は各機カーボンファイバーを使用し、軽量高剛性ですが「しなり」具合などもセッティングで変更出来るようです。セッティングでは舵の効き等も、各会場に最適化してタイムを稼ぐ・ミスを減らす様に調整されます。
現在競技に参加している機体は3機種に大別されます。今回はこの3機種の詳細についてご紹介します。
EDGE 540: ZIVKO AERONAUTICS
Zivko Aeronautics製のEdge 540はアグレッシブかつ精度の高い操縦が可能な機体で、最も多くのRed Bull Air Raceパイロットがこの単座機を愛用しています。
スティールチューブフレームのEdge 540は非常に軽量で耐久性が高く、保守も容易な様です。
特殊なストレートエッジの主翼を持つEDGE 540の機体は、最新のテクノロジーでリファインが重ねられており、そのユニークな主翼と共にデザイン性を重視した機体の先駆けとして知られています。
全長:6.3 m 翼長:7.44 m
ロールレート:420°/sec
クライムレート:1.1278 km/min
最高速度:425.97km/h (230kts)
最大G:+/-10G
主翼:カーボンファイバー製対称翼
V2搭乗パイロット:ボノム、グーリアン、イワノフ、ルボット、ベラルデ
V3搭乗パイロット:アルヒ、チャンブリス、ドルダラー、マクロード、ソンカ、室屋
※ロールレート:1秒間にどれだけ横回転できるかを表した値 曲がり易さを表す。420°は1周+60°
※クライムレート:1分間にどれだけ高度を上げられるかを表した値
2014シーズンから多くパイロットがレース専用機のV3に乗り換えています。V3はG耐性が向上し、空力性能がチューニングされ、より抵抗が軽減されました。
また、キャノピーも形状も更に滑らかになり、最高速向上に寄与した他、翼の付け根と後輪フェアリング(カバー)の改良、ウィングレットの大型化、着陸装置の小型化、エンジンカバーの改良…と様々な見直しが全体に渡って行われています。
MXS-R:MX Aircraft
全長:6.51m 翼長:7.32 m
ロールレート:420°/sec
クライムレート:1.0668 km/min
最高速度:425.97km/h (230kts)
最大G:+/-12G
主翼:カーボンファイバー製対称翼
搭乗パイロット:ホール、ラム
MX Aircraft社製のMXS-Rは最新のデザインとテクノロジーを誇る機体です。
EDGE 540に匹敵する性能を持つことから「EDGE Beater」と呼ばれているMXS-Rは、空力性能の向上を主目的としたデザインをされており、その結果、既にレースシーンでは高評価を得ています。また、その美しいデザインからパイロットからは芸術品として扱われています。
MXS-Rのユニークな特徴は、機体が宇宙用カーボンファイバーで組まれている点で、他の機体よりも高剛性で高い耐久性を誇っています。一方で使用選手が少ない為に開発が進まないと云う問題がありましたが、昨年の年間王者をラム選手が獲得した事で、互角以上の成果を上げています。
CORVUS RACER 540
全長:6.57 m 翼長:7.4 m
ロールレート:440°/sec
クライムレート:1.3107 km/min
最高速度:444km/h (240kts)
最大G:+12G/-10G
主翼:カーボンファイバー製対称翼
搭乗パイロット:ベネゼイ
Corvus Aircraft Ltdでピーター・ベネゼイ専用機として開発されたCorvus Racer 540は、比較的新しい機体です。
2010年に専用機として生まれましたが、EDGE 540V2を使用するチームからも注目されています。クロームモリブデン鋼製チューブを使用した機体は「高性能ロケット」と言われ、主翼、尾翼、胴体カバーには、カーボンファイバーを主成分とする高強度を誇る複合材が使用されています。
F1マシンほどの開発速度はないですが、正に「進化を続ける空力マシン」であるエアレーサー。千葉大会より室谷選手がEDGE 540V3に乗り換え、最新のチューニングを施しました。室谷選手自身が「V3.5」と呼ぶこのマシン、母国での活躍が期待されています。




photo:Predrag Vuckovic/Andreas Langreiter / Red Bull Content Pool
text:川崎BASE
【レッドブル・エアレース千葉】エアレース飛行機の秘密──エアレースの楽しみ方・その2(http://clicccar.com/2015/05/14/306561/)





