29日、ロンドン五輪柔道男子66kg級準々決勝で海老沼匡は延長戦の末、旗判定で一度は0−3で敗れながら、その後ジュリーの助言で判定がやり直され結果3−0の勝ちとなり準決勝に進んだ。判定が完全に覆るという前代未聞の出来事だったが、2007年から導入されたこの「審判委員制度」(通称ジュリー制度)については規定に曖昧さが多く、その問題点がロンドン五輪で噴出する形になっている。

 そもそもこのジュリー制度は未熟な審判を補い判定をより正確なものにするために、ビデオ機器の導入を考えて決められたものだった。その規定には「投げ技の高低については言及しない」(つまり一本を技ありにしたり技ありを有効にしたりなど)とある一方で、試合を中断しても審判に助言する義務が与えられていてその運用は非常に玉虫色だ。現にロンドン五輪でも技判定の変更は随所に行われていて審判の判定の軽さばかりが目立ち、誰が試合をコントロールしているのかが明確ではない。

 日本にとっては良い結果となったが、今回、会場の大ブーイングも判定に影響を与えた一因となればこれは手放しでは喜べない。柔道におけるアウェーの笛は、明確なゴールで決まらない優勢勝ちのあるこの競技では、根本的かつ致命的な問題となってしまう。

 未熟な審判と未熟なジュリー制度に振り回されるのは、血のにじむ努力で五輪に臨んでいる選手にとっては非常に不幸なことと言える。審判の質の向上と共に制度の早急な改善が必要とされるだろう。(編集担当:田村和彦)