鶏肉の仕入れ価格が高騰している弁当店(10日、大阪市西淀川区で)=久保有生撮影

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 牛肉や豚肉に比べて割安で「家計の味方」とされる鶏肉の価格が高騰している。

 物価高による節約志向で、鶏肉人気が高まったことで需給が逼迫(ひっぱく)し、5月の鶏もも肉の店頭価格は、過去最高を更新した。鶏肉を使う外食チェーンも値上げに動いており、家計に影を落としている。(経済部 相間美菜子)

過去最高値

 農林水産省の「食品価格動向調査」によると、5月の全国の量販店の鶏もも肉100グラムの平均小売価格は、前年同月比6・9%増の154円で、過去最高値となった。価格の伸び率は国産牛肉(2・8%増の847円)、豚肉(3・6%増の285円)を大きく上回り、輸入牛肉(7・7%増の420円)と同水準だ。

 週1、2度、スーパーで鶏肉を購入するという大阪市内の会社員女性(30)は「最近は割引シールが貼られたものを買いだめして、冷凍して使うようになった」と節約術を明かした。

 価格高騰は、インフレが進展する中、家計にやさしい食材として鶏肉の需要が拡大したことが大きい。今月2日の閣議後記者会見で鈴木農相は「物価高による消費者の節約志向で、牛肉や豚肉から需要がシフトした」との見方を示した。

 鶏肉の消費量の約4割が輸入で、輸入価格の上昇も響いた。2025年に主要生産国のブラジルで鳥インフルエンザが流行。円安の日本は世界的な争奪戦で買い負け「外食事業者が国産に振り替えていることも相場を押し上げた」(鈴木農相)という。

対応に苦慮

 外食チェーンでは、日本ケンタッキー・フライド・チキンが今年5月、「オリジナルチキン」や「骨なしケンタッキー」など店頭メニュー14商品を20〜200円値上げした。崎陽軒(横浜市)は6月から人気弁当「横浜チャーハン」(税込み890円)のおかずの「鶏のチリソース」を「小海老のチリソース」に変更した。

 大阪市西淀川区の弁当店「虎大朗(こたろう) 総本店」は2月、唐揚げ弁当(税込み734円)など各商品を数十円値上げした。だが、鶏肉の仕入れ価格の上昇が続いているうえ、中東情勢の影響で6月から弁当トレーやポリ袋などの資材価格も3割上がった。運営会社の代表を務める島本一樹さん(40)は「唐揚げは、安くておいしいイメージがあり簡単に再値上げはできないが、気持ちとしてはさらに数百円値上げしたい」と嘆いた。

 家計の味方の地位は維持できるのか。鶏肉の小売業者らでつくる「日本食鳥協会」の浅木仁志専務理事は「鶏もも肉の価格は、他の肉に比べるとまだ安く、需要の高止まりは続くだろう。飼料の大半は輸入で生産費も上がっており、当面価格が下がる気配はない」と指摘している。

値上げ1万品目超…肉類にとどまらず

 暮らしに欠かせない飲食料品の値上げは肉類にとどまらない。帝国データバンクが国内の主要な食品メーカー195社を対象に行った調査によると、今年1〜10月の値上げを公表している飲食料品は1万1157品目(6月1日現在)にのぼる。

 分野別では、冷凍食品やパック米飯など「加工食品」が4179品目と最多で、しょう油製品など「調味料」が2784品目で続いた。

 中東情勢の悪化を背景に、「包装・資材」由来の値上げが全食品の7割を超え、帝国データバンクは「引き続き価格改定に踏み切る飲食料品が表面化する」として、26年の値上げは、最大で2万品目に到達すると予想する。