JRT四国放送

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フォーカス徳島では、2025年お伝えした米の新たな農法「再生二期作」について、米を取り巻く環境も併せて2026年の一年間、シリーズでお伝えします。

第1回目は、徳島の農家の現状と米の価格についてです。

再生二期作とは茨城県の農研機構が発表した技術で、温暖化を活かして1回の田植えで2回収穫する栽培技術です。

通常の2期作のように田植えや育苗を1年に2回するのではなく、1回目の収穫時に株を長く残し、その後、新たに育った穂を収穫します。

そのため、2期目は1期目よりも短期間で収穫することができます。

県内でこの再生二期作に取り組む、樫山農園の米担当・堀江佑輔さんです。

堀江さんは3年前から再生二期作に挑戦。

最初は失敗もありましたが、今では安定して作れるようになりました。

堀江さんは、この再生二期作が今後、徳島での米の生産には欠かせなくなるのではと考えています。

(樫山農園・堀江佑輔さん)
「ここ(再生二期作)にかかる人のコストだったりとか、資材のコストっていうのは一期作と比べるとかなり低いので」
「そういった意味では、今出ているお米よりもリーズナブルな価格帯で出荷できる」

県によりますと、現在県内で農業経営を行っているのは約1万1000。

その約40%が稲作です。

この数は10年前と比べると約40%減少していて、農業従事者の約70%が60歳以上、さらにはその多くが後継者不足となっています。

こうした状況の中、堀江さんの元には、後継者のいない高齢者から田んぼの管理を依頼される連絡が、年々増えているといいます。

(樫山農園・堀江佑輔さん)
「青、緑、オレンジのほ場に色がついている所がすべて、今受けている所です」
「黄色は今年から受けている所、黄色多いですよ」
「一人が(田んぼを)一枚以上持ってますから、増える時は一気に増えますね」
「例えばこれ一人の方から受けました。引退されるってことで、その人が受けていたほ場を全部引き継ぎました。高齢者78歳の方」

堀江さんに農地の管理を任せている、阿南市羽ノ浦町の笹田文明さん83歳と、トシ子さん79歳のご夫婦。

5年ほど前から所有している田んぼのうち、数か所を堀江さんにお願いし、残りは2人で管理していました。

しかし、2026年3月に文明さんが体調を崩して手術が必要になり、急きょ残りの田んぼ全てを堀江さんに任せることになりました。

(樫山農園・堀江佑輔さん)
「今年は結構キレイに管理もしてくれてる」

(笹田文明さん)
「するつもりだったから、溝も付けてきちんとしている」

4月末、田植えの準備に取り掛かります。

手術を終えた文明さんも、その様子を見守ります。

(笹田文明さん)
「樫山農園がしてくれるから本当に喜んでいる。しなかったらこんな風に(荒れる)こんなになったらもう…」

年齢を重ねるにつれ、徐々に米作りが体力的に大変になってきたという笹田さん。

子どもは県外にいるため、後継者がいないという状況でした。

(樫山農園・堀江佑輔さん)
「結構同じような感じでやめられて、息子さん娘さんが地元にいなくて、もしくは機械が壊れてしまってとか、いろんな理由があって」
「ここの周辺の地域っていうのは、意外と引き受けしていってる」

米を巡る問題はほかにも…。

令和の米騒動で増産体制に入った米ですが、備蓄米の放出などにより、現在は市場に米が余り、農林水産省は「需要に応じた生産」を呼びかけています。

(樫山農園・堀江佑輔さん)
「今年の売り上げが分からない状況で田植えをしているので、すごく不安ですし」
「一年ぐらい前はすごくお米を作ってくれと、大増産をしてほしいという話が」
「いきなり、直接的ではないですけど、作ったらいけないみたいな捉え方を僕はしているし」
「モチベーションはニュースを見るたびに下がります」

米余りにより、米の価格の下落が予想されますが、原油価格の高騰などにより米を作るコストは上昇しています。

農家の利益が守られなければ今後、米農家の減少はさらに加速し、結局は米不足に陥るため、適正な価格に落ち着くのか懸念されています。

(樫山農園・堀江佑輔さん)
「作るにしても肥料代も掛かってますし、苗代、除草剤、人件費も掛かっています。その中で原油価格も上がってきています」
「マーケットにお米がたくさんある状態で、米の価格が急落しそうだなっていうのは何となく肌感で感じています」
「買ってくれるんだろうかっていう所の物を作っているので、出費はあれども売上の目途が立っていないのですごく不安です」

後継者不足、米不足、米余り、そのほか様々な問題に振り回される米農家。

低コストで収穫量を増やすことができる再生二期作は救世主となれるのか、今後に注目です。