テレビ金沢NEWS

写真拡大 (全17枚)

市川 栞 キャスター:
北國新聞論説委員の野口強さんとお伝えします。よろしくお願いします。きょうはどんな話題でしょうか。

北國新聞・野口 強 論説委員:
地方に移住して地域振興に取り組む地域おこし協力隊員が、2025年度、初めて全国で年間8000人を超え、6年連続で過去最多となりました。

野口さん:
皆さんの地域でも、精力的に活動している方を見かけることもあると思いますが、移住に関心が高まったこともあって志願者が増え、任期終了後も住み続ける人も多いそうです。

そこできょうのテーマは、こちら。

野口さん:
「地域おこし協力隊初の8000人超え」。この協力隊の制度は2009年度に創設され、去年までおおむね1年~3年の任期に、地域PRの情報発信、移住の呼びかけ、特産品の開発など、多角的に地域活性化に取り組みます。隊員になると、国から1人550万円を上限として自治体に活動費が支援されます。

野口さん:
2025年度に全国各地で活動した隊員数は、前の年度より286人増えて8196人。石川県内では、25年度に82人を受け入れ、住民の生活支援や観光、農林水産業などに従事しています。

市川:
こうした実績を残した隊員たちが、そのまま定住してくれることが、受け入れ側としては理想ですよね。

野口さん:
2020年度から5年間のデータでは、任期を終えた全国の隊員8762人のうち、赴任先か近くの市町村に定住した人は70・3%でした。石川では、5年で89人が任期を終え、62・9%の56人が定住しています。国では、今年度から、伝統産業や農業などに従事して、任期を終えた後に継続して事業を続ける場合に、特例で任期を最大5年に延長できるようにしました。

市川:
こうしたことも、定着の後押しにしたいですね。

野口さん:
では、1つ目の目からウロコです。「来たれ若者、よそ者『バカ者』も大歓迎」。

野口さん:
地域を変革するには、若者、よそ者、そしてバカ者が必要と言われますが、思いきった行動をする若者、客観的な目で地域を見るよそ者、そしてバカ者は比喩的な言葉ですが、思いもよらない発想力で地域に刺激を与える、ということなんですね。

市川:
こうした要素を持った人が地域を盛り上げるんですね。

野口さん:
これまで石川で活動した隊員もそれぞれユニークな取り組みをしてきましたが、今年も各地から一味違った活動を発信しています。羽咋市では、おととしやってきた東京出身の元バンドマンが、羽咋工業高の生徒と古民家を改装して音楽スタジオを作り、軽音楽部の練習に活用しています。古民家を改装して地元の遺産を再生することで建築の学びにもつながるので、一石三鳥の成果を生んでいるんですね。

野口さん:
七尾では、青柏祭の盛り上げに深くかかわっていて、山車のでか山を住民と一緒に曳くプレミアムな体験プランを金沢大学ОBの隊員が企画して、お客さんを募りました。今後も能登の祭り体験を全国に発信していくそうです。また、東京から金沢市の山間地の東原町にやってきた夫妻は、茶席で湯を沸かす時に使う炭の高級品「菊炭」、火持ちが良く、切った断面が菊の花の文様をしているんですが、その生産を目指して専用の窯を作っています。

市川:
茶道の盛んな土地柄らしい取り組みですね。

野口さん:
いずれも地域の伝統や遺産を今に生かすという視点が光っています。

では、もう一ついきましょう目からウロコです。「人口減少跳ね返す 石川“盛り上げ隊”に」。

野口さん:
去年の国勢調査の集計速報が先日出ましたが、地震や豪雨に見舞われた石川県内の人口は、奥能登を中心に4万4305人減りました。

市川:
災害ボランティアとして被災地で活動したことが切っ掛けで、協力隊を志願した人もいますよね。

野口さん:
復興の力として人手がほしい中、移住の呼び掛けも含めて活動の役割は一段と重くなると思います。石川県内に協力隊を受け入れて10年以上たちますが、活動した人は、豊かな発想と行動力のある人がほとんどです。ただ、そんな人たちの横のつながりは、これまであまりありませんでした。

野口さん:
1年前ですが、金沢市内の協力隊員たちがОB、ОGの方も含めて森本駅前に集結して、マルシェ(市場)を開いて、能登の復興に向けてにぎわいの舞台を作りました。これからは、退任して県内を離れた人にも呼び掛けて、分厚い関係人口のネットワークをつくって、「石川盛り上げ隊」にバージョンアップして活躍してくれることも期待したいですね。

市川:
ありがとうございました。野口さんの目からウロコでした。