【マネー現代編集部】不穏つづきのサイゼリヤ「不味くなった論争&株価大暴落」そのウラで”宿敵”カプリチョーザが下剋上か
ここ1ヵ月あまり、人気イタリアンチェーン「サイゼリヤ」の周りがやたらザワついている。
時系列順に言えば、まず4月9日の出来事として、同チェーンを運営する株式会社サイゼリヤの株価が大暴落したことが注目を集めた。前日8日の取引時間終了後、同社が2026年8月期(今期)の連結営業利益を190億円から182億円に、純利益を124億円から118億円へと下方修正したことが引き金となった形だ。
理由は食材価格の高騰による採算悪化によるものだが、これに対して市場関係者は「値上げをしないと宣言しているサイゼリヤも、今後どうなるかは分からない」と指摘。嫌気による売りが膨らみ、株価は1月上旬以来の安値をつけた。
打って変わって、市場が休場となるゴールデンウィークを迎えると、今度は舞台をSNSへ移し、新たな火種が燃え上がる形となっていく――。
GW中に「サイゼ劣化した論争」が勃発
発端となったのは、GWの真っ只中の5月3日、X上に投稿された以下のツイートだ。
〈サイゼ普通に味劣化しててしんどい 特にパスタやばくね〉
一見すると、サイゼ=サイゼリヤを評した何気ないツイートだったが、これが思わぬ反響を呼ぶことに。当該ツイートは現在、1565万インプレッション(5月8日時点)に達している。
〈値上げしてもよいからクオリティ保って欲しい〉、〈明らかに昔と麺が変わりました〉、〈オペレーションが劣化しているのが原因〉といった共感の意見が並ぶ一方、〈そうは言っても安いから問題ない〉〈そもそも外食で500円のパスタに文句つけるのがやばい〉といった、サイゼリヤを擁護する反対意見も噴出した。
一連の、いわゆる“サイゼ不味くなった論争”は今に始まったことではない。振り返れば2024年2月、グランドメニューが改定され、長年の定番商品「ペンネアラビアータ」に使われるパスタが全粒粉ペンネに変わった際にも話題となった。
一般的に全粒粉の風味は、人によって好みが大きく分かれると言われる。よってこの投稿も個人の受け取り方にすぎないのだが、仕様変更が賛否分かれる形となったのは事実。一部では「味が落ちたのでは?」と受け取られることになったのである(2026年2月のメニュー改定で廃止)。
また、このタイミングでサイゼリヤがある種、ネガティブな意味で話題になった背景には、同チェーンが都心部を中心に“閉店ラッシュ”であると各メディアで取り上げられたことも関係しているのかもしれない。
すすむサイゼの都心離れ…付け入る隙が
現在判明しているものでも、4月13日に「イトーヨーカドー八王子店」が閉店になったことを皮切りに「恵比寿駅東口店」が5月11日、「新中野店」が同月25日、6月30日には「TAIRAYA志木店」(埼玉県)がそれぞれ閉店予定となっている。
もちろん局所的、一時的な閉店と言えばそれまでだが、サイゼリヤの最近の出店動向を見ると、たしかに“都心離れ”の傾向はあるようだ。
編集部調べによれば、4月以降の新規開店(予定含む)は、「ゆめタウン呉レクレ館店」(広島県)、「そよら古川橋駅前店」(大阪府門真市)、「イオン江釣子パル店」(岩手県)、「大分オーパ店」(大分県)、「イオン笠間店」(茨城県)、「イオン海浜幕張店」(千葉県)など。「恵比寿駅東口店」のような、都市部の主要駅近くの出店は無く、郊外がメインといった様相だ。
サイゼリヤの業績自体が悪いわけではない。4月8日に発表された今期の中間期決算(2025年9月〜2026年2月)にしても、売上高は前年同期比17.5%増の1428億5400万円、営業利益は同39.9%増の86億5400万円と増収増益を維持している。
だが、冒頭でも触れた株価の大暴落、さらにサイゼリヤのネガティブな話題が今後も広がりを見せるようなら――それがイタリアンチェーン“不動の人気ナンバーワン”だとしても、付け入る隙は出てくるかもしれない。
王者サイゼリヤを脅かす存在はどこになるのか。ここ最近、外食関係者の間で候補に挙がっているのが、同じくイタリアンチェーンの“宿敵”、「カプリチョーザ」だ。1978年創業の古株ながら、実は直近の業績の好調ぶりが際立っているという。
収益力が大幅アップ、都心部にも出店攻勢
外食業界に詳しい中村コンサルタント代表の中村清志氏はこう語る。
「カプリチョーザを運営する株式会社WDIは4月16日、2026年3月期の通期業績予想を大きく引き上げました。売上高は前期比8%増の345億1000万円、営業利益は同66.2%増の12億4500万円となる見込みです。前期の増収減益から、ここへきて増収増益を達成することからも、収益力の強化を強く感じます」
WDI社は和食から中華、カフェまで多種多様な業態を抱えているが、業績を牽引しているのは、やはりグループ全店の約6割を占めるカプリチョーザだろう。店舗数は国内90店舗(直営36店舗、フランチャイズ54店舗)ほか海外3店舗を展開している。
その勢いは業績だけに留まらない。前述した通り、サイゼリヤが都心部の出店を避ける一方、カプリチョーザは昨年6月に「KITTE大阪店」、この4月に「池袋IT tower TOKYO店」をオープンさせるなど、都心部への出店を積極的に進めており、その“存在感”を高めている。
では、この勢いそのままに、カプリチョーザによるサイゼリヤへの“下剋上”はありえるのだろうか。中村氏が続ける。
「カプリチョーザの特筆すべきは、原価率が低く安定(28.9%)していながら、高い顧客満足度を得ているという点です。二等立地での出店でも集客して採算が取れるブランド力があり、それは都心部でも十分通用するはずです。
社の方針として性急な出店拡大はしないでしょうから、一気にサイゼリヤを超えることは現実的ではありません。それでも、このまま確実路線で順調に店舗網を構築していけば、いずれは熾烈を極めるイタリアンチェーンの世界で“両雄並び立つ”構図になる日が来るかもしれません」
【後編記事】『“サイゼよりお高い”カプリチョーザ、業績まさかの絶好調「値上げしても客が逃げ出さない」ファン戦略とは』へつづく。

