超大質量のブラックホールが大質量の恒星を引きちぎる現象のイメージ図/R. Hurt/Caltech

(CNN)天文学者たちが、超大質量ブラックホールから発生したフレアの中で、これまでで最大かつ最も遠くからのフレアを観測した――。昨年11月、そんな研究結果が発表された。「スーパーマン」の愛称を持つこのフレアは、地球から100億光年離れた場所で発生し、ピーク時には太陽10兆個分の明るさを放った。

フレアの源は活動銀河核(AGN)だ。AGNは銀河中心にある明るくコンパクトな領域で、物質を活発に吸収する超大質量ブラックホールによってエネルギーが供給されている。ガスと塵(ちり)がブラックホールの周りを回転する円盤に落ち込み、その破片が高速で回転するにつれて、ブラックホールは超高温になり、強烈な放射線を放出する。

研究者たちは、この巨大なブラックホールがこれほど強力なフレアを発生させるために何を消費したのかを考察。巨大な恒星を取り込んだ公算が大きいとの結論に至った。この恒星はそのままいけば、爆発してその生涯を終える運命にあったとみられる。

「AGNの1万個に1個程度は何らかのフレア活動を示すが、今回の現象は非常に極端なため、独自のカテゴリー(約100万個に1個という確率)に分類される」と、カリフォルニア工科大学の天文学研究教授であるマシュー・グレアム氏は電子メールで述べた。同氏が筆頭著者を務めたこの前例にない現象に関する論文は昨年11月、ネイチャー・アストロノミー誌に掲載された。

このフレアの観測から、巨大銀河の中心付近に未知の巨大恒星のグループが存在することが示唆される。そこには超大質量のブラックホールも存在しており、研究は二つの巨大な天体の間で起こる複雑な相互作用に光を当てるものとなっている。

スーパーマンは、2018年11月に南カリフォルニアのパロマー天文台にあるCRTSサーベイとツビッキー掃天観測システムによって初めて発見された。

グレアム氏によると、当初この天体は異常ではなく、単に明るいように見えた。天文学者チームは、これがブレーザー、つまり宇宙全体に高エネルギーの物質ジェットを放出する超大質量ブラックホールだと考えた。

5年後、彼らは収集した初期データを再検証し、以前はブレーザーと考えられていた一つの信号が、明るさを着実に変化させていることに気付いた。研究チームはハワイのW・M・ケック天文台など他の望遠鏡で追跡観測を行い、光源が当初考えられていたよりも明るく高エネルギーであることを突き止めた。

その結果、当該の光が太陽の5億倍の質量があると推定されるAGNから来ていることが分かった。

天文学者たちは、このフレアがなぜこれほど明るくなっているのか、いくつかの可能性を検討した。例えば、ブラックホールを取り囲む物質円盤内で大質量の恒星が爆発した可能性などだ。最終的に、最も可能性の高い原因は潮汐(ちょうせき)破壊現象、つまり恒星がブラックホールに近づきすぎて引き裂かれる現象だと結論付けた。

このフレアは現在も継続しており、ブラックホールは依然として恒星を活発に飲み込んでいるとグレアム氏は述べた。恒星は「鯨の食道の途中まで入った魚」のようなものだという。

本記事は2025年11月7日初出の記事を再編集して掲載したものです。