何かのアピール?ファッション感覚で「ヘルプマーク」を付ける若者たちの“驚きの理由”

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ライフハックツールではない

赤色に白い十字とハートが施されたデザインのヘルプマークは、援助や配慮を必要としている人が、周囲に知らせるために作製されたマークだ。

だが、このヘルプマークを悪用する人もいる。中国の旅行代理店が中国人観光客向けにヘルプマークを配布し、旅行用のハックツールとして活用しているという噂もあり、本来の利用方法以外の使われ方をしていることが話題になった。

ヘルプマークは特別な許可は不要で、誰でも身に着けることができる。だが、ファッション感覚や、病みアピールのツールとして安易に活用している人もいるようだ。彼らはヘルプマークの本来の意味について知っているのだろうか。

新宿近辺で遊んでいるというAさん(10代女性)はいわゆる“ぴえん系”と呼ばれる属性の女性。多少の区別はあるが、地雷系や量産型とも呼ばれ、彼女らの多くは『病んでいる』ことをステータスとして扱う傾向にある。「常に不安なことがある」と悩みがあるため、着用しているそうだ。

「学校には友達がいませんし、家族も仲がいいわけではなく、自分の居場所がないのでどこで遊んでいても疎外感があります。そうするとヘラってしまい(メンタルが不調になって)、いつも『私が悪い』って感じで自分を責めて気分が落ち込みます。そういったときに、ヘルプマークを付けていたら、誰かが助けてくれると友達に教えてもらって、付けるようになりました」(Aさん)

そしてこのヘルプマークを付けている者同士で助け合おうという仲間意識があるとのことだ。

「友達もヘルプマークを付けていて、困ったら助け合います。辛いことがあっても同じ悩みを相談できますし、力になれる。それに同じような悩みがある人同士で繋がれるので、私も友達も1人じゃないです。助けられています。今では仲のいい友達同士で識別票みたいに付けています」(同前)

周囲に馴染めず、孤独になる人たち同士がつながれる場所や環境というのは大事だが、仲間意識を共有するためだけに、ヘルプマークを使用することは本来の用途とは違うのではないだろうか。

「不安な人」が付けるのは間違いではない

Bさん(10代女性)も同じようにヘルプマークを身に着けているが、何かしらの障害があるわけではない。しかし、身に着けることでメリットがあると話す。

「これを付けていると、いろいろな人が優しくしてくれます。つらかったり困っていたりすると『大丈夫?』って助けてくれますし、普段よりも周りの人が親切です。『私が頑張るんじゃなくて、甘えてもいいんだ』って思えてきます。

私に対して『変なクスリなんかやめなさい』、『地面で寝ないほうがいい』みたいに怒ってくる大人も、『(ヘルプマークを見せて)私これなんですけど』って言えば、諦めた感じでいなくなります。お守りみたいな感じで使っているのでないと困ります」(Bさん)

ヘルプマークを免罪符のように使用している人もいる。「自称ADHD」や「自称発達障害」など、病院からの診断書が出ていないにもかかわらず、人から劣っている部分を自虐的にアピールするのにも使われている。

街中で見かけるヘルプマークは一般的には、「障害がある人」、「助けが必要な人」が着用するものといった漠然とした認識だ。本当はどういう人が付けるべきなのだろうか。東京都福祉局に聞くと「配慮が必要であれば、どなたが着用しても問題ありません」という。

「ヘルプマークは東京都が’12年に考案したものになります。都営地下鉄(一部駅を除く)や都営バス、都立病院、市区町村の福祉担当窓口等で配布しており、誰でも受け取ることができます。外見からはわかりにくい障害や病気を抱え、周囲の援助や配慮が必要な人に着用していただくことを想定しています。医師の診断がなければ着用できないといった制限はありません」(東京都福祉局)

不正利用については、「現時点で具体的な事案は把握していませんが、事実であれば非常に残念です」と話す。

「例えば、突発的な出来事で混乱してしまう、1人でいると不安になってしまうというような症状をお持ちの方であっても、配布の対象です。しかし、周囲から優しくされたいといった理由での利用、仲間内でファッションとして着用するといったことは、本当に援助が必要な人に対して、支障が生じるため、そのような行為はやめてほしいです」(同前)

ヘルプマークの使用に関しては明確な制限はなかった。診断書のない「生きづらさ」を抱えている人が付けるのは間違いではないようだ。しかし、それ以外の不正利用者が増えてしまうと、本来手助けが必要な人に配慮が届かないといった問題がある。こうしたモラルハザードは深刻な問題だ。自分の勝手な都合のために、他の人からの親切を無駄遣いさせてはならない。

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取材・文・写真(2枚目):白紙緑