母に「この恩知らず!」と罵られ衝撃…兄は“実家の建て替え費用”を「500万円」出したそうですが、私は“30代・手取り21万円”で奨学金の返済中。援助できないのは“親不孝”ですか?

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大人になると、実家の建て替えや親の入院などで、親のためにまとまったお金を出す場面も出てくるでしょう。しかし、きょうだいのうち兄だけが数百万円を援助し、自分は援助できなかった場合、心苦しく感じる人もいるかもしれません。   本記事では、手取り21万円で奨学金返済中の30代単身世帯の家計を、総務省の家計調査のデータで試算し、親への金銭的援助の考え方を解説します。

単身世帯の1ヶ月の支出はどれくらい?

単身世帯がひと月にどれだけお金を使っているか、総務省「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」のデータで確認しましょう。2025年の単身世帯(平均年齢58.6歳)の消費支出は、1世帯あたり1ヶ月平均で17万3042円でした。
費目別の内訳は図表1のとおりです。ここで注意したいのは、住居費の平均2万1667円には持ち家世帯の数字が含まれる点です。家賃を毎月支払って賃貸に住んでいる人の場合、実際の住居費は平均より高くなる傾向があり、都市部では7万円から15万円ほどかかるケースも珍しくありません。
図表1

費目 月平均額 消費支出全体 17万3042円 食料 4万9321円 住居 2万1667円 光熱・水道 1万3333円 家具・家事用品 6120円 被服及び履物 4908円 保健医療 8754円 交通・通信 1万9334円 教育 37円 教養娯楽 2万1173円 その他の消費支出 2万8396円

総務省 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要より筆者作成

手取り21万円・家賃7万円・奨学金返済中で試算してみる

30代で手取り21万円、家賃7万円の賃貸に1人暮らしをしているケースで収支を試算してみます。家計調査の消費支出17万3042円から住居費の平均2万1667円を差し引くと、住居費以外の生活費は月15万1375円です。家賃7万円を加えると、月の支出合計は22万1375円となります。
手取り21万円に対して支出22万1375円となるため、家計は1万円程度の赤字です。奨学金の返済が毎月加われば、赤字幅はさらに広がるでしょう。日本学生支援機構の第二種奨学金大学生の場合、月2万円から12万円まで1万円刻みで貸与を受けられますが、卒業後に返済が必要です。
返済を抱えた状態で、兄のように数百万円を用立てるのは現実的には難しいと考えられます。
図表2

項目 金額 手取り収入 21万円 住居費以外の生活費(家計調査平均) 15万1375円 家賃 7万円 支出合計 22万1375円 収支 マイナス1万1375円

総務省 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要をもとに筆者作成

援助できないのは親不孝なのか?

自分は援助できないのに兄が500万円を出したと聞くと、自分を責めたり親不孝だと感じたりする人もいるかもしれません。ただし、金銭的な援助の大小だけで親孝行の度合いを決めるのは、必ずしも適切とは言えないでしょう。
きょうだいそれぞれの収入や家族構成は異なります。自分の生活基盤を整えながら奨学金を返済することは、親に経済的な負担をかけないためにも大切です。無理に援助した結果、生活に困窮したりお金を借りたりしていては、かえって親を悲しませてしまうでしょう。
まずは生活防衛費を確保し、家計を安定させることを優先したいところです。
親孝行の方法は、金銭の援助に限りません。定期的な連絡や帰省、親の困りごとのサポートなど、多様な関わり方があります。兄と比べて引け目を感じるより、自分にできる範囲のことから続けていく姿勢が望ましいといえます。

まとめ

手取り21万円で奨学金返済中の30代が家賃7万円で試算すると、家計は赤字に傾くケースが想定されます。兄のように数百万円を同じタイミングで援助するのは、現実的には難しい状況といえるでしょう。
金銭援助の大小だけで親孝行を測る必要はありません。自分の生活を守りながらできる範囲でサポートすることも、立派な選択肢の1つです。
 

出典

総務省 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要
日本学生支援機構 第二種奨学金の貸与月額
執筆者 : 金子賢
CFP