最上義光の像

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 初代山形藩主・最上義光(よしあき)(1546〜1614年)を主人公に据えたNHK大河ドラマの誘致を目指し、吉村・山形県知事が15日、東京のNHKを訪れ要望を行った。

 「東北から魅力を発信したい」。知事らは要望書を提出し、東日本大震災から20年の節目となる2030年、31年のドラマ化に向けて強力にアピールした。(田山千紘)

 「義光の果たした役割は極めて過小評価されてきた。その生き方は今を生きる私たちに様々な示唆を与える」。NHK放送センターを訪れた吉村知事と「最上義光を大河ドラマにする会」の代表を務める松尾剛次・山形大名誉教授らは、義光の功績を訴える要望書を、同局の藤沢浩一コンテンツ制作局長に手渡した。

 義光は57万石の大大名として、庄内地方の水田や最上川水運を整備するなど、山形の基礎を築いた。だが、義光のおいにあたる伊達政宗を主人公にした1987年の大河ドラマ「独眼竜政宗」では、残忍な悪役として描かれた。

 一方、近年の研究で、武芸に秀で、連歌をたしなむ文化人で、住民に寄り添った人情味あふれる名君だったとわかってきたという。

 要望後の懇談では、NHK側から、戦国大名の最上、上杉、伊達という構図のわかりやすさや、多彩なエピソードといった魅力にも話が及び、「とても面白い題材。実際にテーマの一つとして議論をしている」との説明があったという。

 終了後、吉村知事は報道陣の取材に、「前向きに受け止めてもらったと感じた。地元の基礎を築いた大大名が悪役のままでは浮かばれない。今後も県を挙げて誘致活動をしていきたい」と手応えを語った。

 昨年8月に発足した同会によるNHKへの要望は、同年11月に続き2回目。前回は佐藤孝弘山形市長が同行したが、今回は県を挙げての熱い思いを伝えるため、吉村知事が「直談判」に乗り込んだ格好だ。

 同会は今後、歴史学者による講演会などのイベントを計画し、運動の幅をさらに広げたい考え。松尾名誉教授は「震災20年に東北全体の魅力を大河ドラマで伝えたいと思っている。ライバルは多いが、ぜひ実現させたい」と意気込んだ。

大河誘致合戦、全国で

 NHK大河ドラマを巡っては、全国各地で誘致合戦が繰り広げられている。

 2028年放送予定の「ジョン万」は、高知県土佐清水市などで作る実行委員会が10年以上にわたって誘致活動を行い、ドラマ化にこぎつけたという。

 最上義光にとって、東北でライバルとなりそうなのは伊達政宗だ。震災から25年となる36年に、「独眼竜政宗」に続く2度目のドラマ化を目指し、署名活動やパネルディスカッションなどを展開する。県内では上杉鷹山(米沢市)や清河八郎(庄内町)などの誘致を目指す動きもある。

 誘致運動が熱を帯びるのは経済効果の大きさもある。09年の「天地人」の舞台の一つとなった米沢市は、波及効果71億4000万円、約43万人の観光客増といった試算も出している。