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 阪神戦のワンシーンを深掘りする企画「球影」。チームはリーグ連覇を目指し、開幕から好調をキープしている。延長10回、木浪の決勝2ランで決着がついた4日の広島戦(マツダ)。同点に追いついた9回、後の劇的勝利につながる好走塁があった。本紙評論家の亀山つとむ氏が、新たにできたチームの決まり事に注目し、解説した。(取材・構成 畑野 理之)

 4日の広島戦。9回2死二、三塁から中野が左前打し、二塁から福島が同点の生還を果たした。

 左翼手のファビアンが捕手・石原にノーバウンド送球。際どいタイミングだったが、少し一塁側にそれたため福島のヘッドスライディングがまさった。

 阪神は今年から左翼への打球限定で、三塁ベースを蹴る際、小回りして三本間のライン沿いを走る。昨年までは三塁ベースを蹴ってから大きく膨らんでもいいと本人任せだった。しかし今年はチームの決め事とし、2月の沖縄・宜野座キャンプ第1クールから走塁練習で徹底させている。多少大回りしてもスピードを落とさない方がいいのか、それとも多少減速しても最短距離を走った方がいいのか。亀山氏が解説する。

 「日本ハムの新庄監督が昨年も言っていたが、今年のキャンプ時でも、外野手が投げづらいんだから左翼への打球の時はライン上を走った方がセーフになる確率は高いと繰り返していた。送球が走者に当たってもセーフ。それに今はコリジョンのルールもあるから、確かに有効だと思う」

 福島は三塁ベース前で少し膨らみ、小さく回ろうとしたが勢い余ってアンツーカー付近まで2メートルほど膨らんでしまい、すぐにラインまで戻っていた。「捕手の動きを見て右(バックネット)が空いたのでまた右に寄って左手を伸ばしました」

 ちなみに中野は以前こう話している。「これまでは、プロ入り前も、まず三塁に早く到達するように走っていました。そこから膨らんで回っていました。でも今年はチームの方針なので、もちろん小回りします」

 走塁の決まり事に限らず、今年は飛球を追う際のかけ声に、メジャー式の「I got it(自分が捕る)!」を略した「ガリ!」で統一している。ファビアンの送球が左にそれたのは偶然で、走者を気にして投げづらかったのかどうかは本人にしか分からない。ただ、福島の間一髪の生還とチームの決め事は、決して無関係ではないだろう。