肉眼では見えないQRコード。A4用紙に2TBのデータを保存
ちょっと理解が追いつかない…。
QRコード。LINEの交換でも、スーパーのレジでも、スマートフォン連携でも読め読めと言われるQRコード。ウィーン工科大学の科学者によると、近未来の世界では、スマホでは読み取れないスーパーミニサイズのQRコードが大活躍するかもしれないみたいですよ。
肉眼で見えないQRコード、爆誕
研究チームは、一般的な細菌よりも小さいのに安定して機能するQRコードについて報告しています。そのQRコードは、グリッドセルの幅が約50nm(ナノメートル)しかありませんが、ちゃんと機能する世界最小のコードとしてギネス記録を保持しているのだとか。従来より37%も小さくしちゃったそうです。
ところで、肉眼で見えないQRコードのニーズってどこにあるんでしょうか?その答えはめっちゃシンプル。膨大なデータを保存するためです。
A4用紙に2TB保存できる!
極小QRコードを安定した媒体に刻み込むことができれば、A4用紙1枚分の物理的なスペースに、約2テラバイトのデータを保存できるそうです。京間の畳だったら1畳あたり60TBか…。
そして、この記録媒体には、維持にもアクセスにもエネルギーは必要ありません。唯一のハードルは、手元に電子顕微鏡が必要ってことくらいです…って、高すぎるハードルなのでは?
「なんでアーカイブデータをQRコードに保存すんの?」と疑問に思われるかもしれません。私も頭の周りにクエスチョンマークが飛び回りました。
このフォーマットの内部構造はとても興味深くて、特に4種類の異なるエンコード形式(数値データ、英数字データ、バイトサイズのバイナリデータ、そしてビックリの漢字!)をサポートしている点が注目に値します。が、たとえばUTF-8(コンピュータで文字を扱うための国際規格)と比べて特に優れているわけではありません。
でも、QRコードにはさまざまなエラーを訂正する機能が組み込まれているといいます(QRコードのステッカーに変な落書きをされてもコードが機能し続けるのはこのため)。
アーカイブ保存の目的は、磁気式や電子式の保存形式の寿命をはるかに超えて、何十年、何百年にわたってデータを保存することにあるので、QRコードが持つ特性は、とても魅力的なのだそう。
原子スケールへの挑戦
QRコードをどこまで小型化できるかは不明ですが、基本的に1と0のグリッドに過ぎないので、理論上は個々の原子の有無で1と0をエンコードすればQRコードを作れる可能性はあるみたいです。
一般的に使用されている最小のQRコード形式はバージョン1で、21×21のマス目になっています。ほとんどの原子は半径が0.1から0.2nm程度なのを考慮すると、原子スケールにおける21×21のQRコードは、理論上の1辺の長さが2.1から4.2nmの間におさまりそうです。
しかし、理論上は可能でも、実現できるかどうかはまた別の話で。研究チームの一員であり、ウィーン工科大学の材料科学技術研究所で教授を務めるPaul Mayhrofer氏は、原子スケールのQRコードを作るのは可能ではあるものの、実用性は低いと指摘しています。
同氏は、個々の原子は配置した場所にとどまる性質に乏しいため、原子スケールのQRコードは、情報を保存する手段としては根本的に信頼性が低いと説明しています。ネコに「ずっとそこでじっとしてて」って言うようなものか…。
研究チームが作ったコードは、ちゃんともっと現実的な、少なくとも1ケタ大きいサイズ。各グリッドセルの幅は49nmあります。そして、電子顕微鏡が手元にあれば確実に機能します(可視光線の波長は約380から750nmなので、個々のピクセルが小さすぎて光学顕微鏡では解像できないのです)。
そんなわけで、肉眼で見えないくらい小さなQRコードというアイデアは、非現実的な印象を受けるかもしれません。でも、何百年も貴重なデータを保存してくれるなら、今あるQRコードよりも有意義な使い方かもしれないですね。
QRコードといえば、パンデミックの時に、職場に入るのにスマホでQRコードを読み込んで、どうでもよさそうな質問に答えてフォームを送信しなきゃなのに、当時持っていたスマホがQRコードをスキャンする機能がなくて困った記憶しか浮かんできません。どこに行っちまったんだ、Essential Phone…。

