山田裕貴 土方歳三役で本人の墓参りに 「ちるらん」キャスト陣が語る「新撰組」との向き合い方
俳優・山田裕貴主演のTBSスペシャルドラマ「ちるらん 新撰組鎮魂歌」が3月26日、27日に2夜連続で放送される。同作は、作画担当の橋本エイジ氏と梅村真也氏による同名漫画が原作で、幕末の京都を舞台に最強のサムライ集団・新撰組の志士たちの荒々しくも熱い生き様を、史実に基づきながらも大胆な解釈で描いた“ジャパニーズ・ソード・アクション”。TBS、U―NEXT、THE SEVENの3社がタッグを組んだ大型プロジェクトとなっている。山田裕貴(土方歳三)、鈴木伸之(近藤勇)、細田佳央太(沖田総司)、上杉柊平(永倉新八)、藤原季節(斉藤一)、胗俊太郎(原田左之助)、宮粼秋人(藤堂平助)、岩永ひひお(井上源三郎)の主要キャスト陣が、このほどスポニチアネックスの取材に応じ、作品にかける思いや役作りをする上でのこだわり、そして白熱のアクションシーンの撮影秘話を語った。(井上 侑香)
――新撰組を題材にした映像作品はこれまでも多く制作されています。本作「ちるらん」におけるキャストの皆さんの役作りをする上でのこだわりや工夫点を教えてください。
藤原「新撰組を演じるということに気負いがありました。なので、たくさん勉強しなければと思ってたくさん勉強しすぎて、夢に出てくるようになってしまって(笑)。浅田次郎さんの壬生義士伝も読み込みました。壬生義士伝は映画化もされていて、佐藤浩市さんが斉藤一を演じているんです。それがすごくかっこよくて、そのスピリットは参考にさせていただきました」
上杉「子供の頃に見た香取慎吾さん主演の大河ドラマ『新選組!』をすごく覚えているんですけど、大河では永倉新八を山口智充さんが演じていました。山口さんの永倉は『男の永倉」という感じなんですけど、今回は原作や台本を読んだ上で、かつ共演者も把握した上で『試衛館のお母さんでいよう』という意識でいました。それでも、自分もやっぱり武士だし、死に対する覚悟もあるという部分は物語の終盤にかけて見せられたらいいなと思っていました。ただ、前半部分はお母さんみたいに、という役作りを意識していた部分があります」
細田「僕は逆に新撰組が題材の作品をほとんど見たことがないんです。新撰組を題材とした作品はたくさんあるので『この役といえばこの人だよね』というのはあると思うんですけど、原作を実写化するにあたって、漫画そのままの沖田を演じればいいのかというと、そうじゃない気もしていました。近藤さんへの思いは大切にしましたけど、基本的には落ち着いた沖田にしたかった。その中でも大事にしたかった沖田の愛嬌みたいなものは、共演者、スタッフの皆さんに引き出していただいたので、特に大きな決め事もせず臨んだ沖田役ではありました」
鈴木「近藤さんのお墓参りをしたんですが、演じる人物の墓参りをしたのは初めてで、役に対してリスペクトを持ってやろうと思える出来事でした。いざお墓に行ってみると、そこに何十冊もノートが置いてあって、多くの人が新撰組に対する熱い思いを書いていたんですね。近藤さんのお墓も苔が生えていて、墓石が削れているんですけど、今でも大切にされてる存在なんだ、という思いに触れたことによって、すごく自分の中にインスパイアされたものがありました。それが役に対する一番最初の思いでしたね」
山田「イメージが固まってしまうのがもったいないと思っていて、過去の新撰組を題材にした作品は見ていません。『ちるらん』で描かれている新撰組がどういうものなのかを掘り下げる作業をしました。クランクイン前に土方のお墓参りをして、墓前で手合わせて思いを伝えたり、壬生寺に行ったり、そういったことを1つ1つ経て、『新撰組はここにいたんだな』と感じましたね。芹澤鴨が暗殺された場所(八木邸)にも行ったんですけど、案内の方が『いつかまた新撰組の作品などあるかもしれませんね』とおっしゃったので、頑張りますと思いながら。資料館で土方が使っていたかもしれないという刀も見ましたし、原作と現実で感じたものをミックスして、演技に反映できればいいなと思っていました」
宮粼「新撰組を題材とした作品が多くある中で、様々な解釈、色々なイメージがあると思いますが、そうした中で芝居をすると、自分の場合、誰かのイメージした藤堂になってしまいがちで。だからこそ周りに頼っていた部分はありました。藤堂は目的や集団の中での立ち位置がすごく明確なので、わかりやすさが出すぎないようにしないと、ペラッとした人物になりかねないという思いはありました。なので、そこはすごく気をつけて演じていました」
胗「小学校の修学旅行先が会津若松だったんです。新撰組のツアーにも参加して、そういった意味ではなんとなく幼少期から新撰組というものには触れていました。今回、原田左之助を演じるにあたっていろいろ調べたんですけど、諸説はありながらも妻を大切にしていたこととか、動物が大好きとか、そういったストーリーを知って、なるほどなと。あまり口数の多い役じゃないですし、現場で起こることを俯瞰して見て、いざという時に出るかっこよさを持った人間だと思ったので、その感覚を大事にしようとしていました。原作では死神として扱われているけど、もう少し人間味が欲しいなとか、そういったことは現場でしか生まれない感覚だろうなと思って、現場での反応を楽しむスタンスでしたね」
岩永「原作での井上源三郎は登場回数もそこまで多い訳ではないので、原作に寄せながらも僕の中で『存在感』をテーマに決めていて、存在感をどう出すかというのを意識していました。そのためには井上源三郎を掘り下げる必要があって、作品を通した井上ではなく、史実を掘り下げる作業をしました。武田家旧臣の流れを汲む八王子千人同心の家系出身なので、武士の血を持っていると解釈して、座っている所作でも背筋を伸ばしたり、あぐらの組み方を意識したり。そういった立ち振る舞いは原作にはない部分ですけど、僕なりの井上を意識することが存在感というテーマにつながると思って演じていました」
――今作の大きな見どころの1つが派手なアクションシーンだと思います。今だから言える撮影時の苦労話などがあれば教えてください。
岩永「僕は目を瞑っている状態でアクションをするので、動きを正確に捉えて、体に入れていないと相手を怪我させてしまう。練習は目を開けた状態でやって体で覚えて、その後に目を閉じて反芻しました。ドライ(リハーサル)の時は、目は開けさせてもらってやって、本番はしっかり目を瞑っていました。相手を信じてやれたので、大変でしたけど難しくはなかったです。そこは面白かったですね」
胗「武器(槍)がめちゃくちゃ大きいんですよ。アクション部のスタッフさんが練習で使ってたんですけど、スタッフさんの手を見たら皮がめくれていて。これは覚悟しないといけないな、と思いました。ケアをしながら武器を扱いましたが、そこは大変でしたね。自宅近くで洗濯棒みたいなものを持って練習したんですけど、撮影で使用した槍はそれ以上に重さと大きさがあるので、慣れるまでは苦労しました」
宮粼「僕は舞台でアクションを多くやってきたので、どんな手(動き)がついてもやれるだろうと思ってはいましたが、園村さん(アクション監督・園村健介氏)の手が想像以上に速くて。加えて映像でのアクションだと、刀の軌道が本当に(相手が)避けてくれないと当たるというぐらいギリギリのところを通さないといけないので、そこまで相手を信じて全力で刀を振るのが、なかなか最初はできなかったですね。近藤との出会いのシーンが僕のクランクインの日だったんですが、アクションシーンの時、『ノブ(鈴木)、お願いだから避けてください』と思いながら振ってました」
山田「刀のアクションシーンがほぼ初めてだったんですよ。大河(どうする家康で本多忠勝を演じた)の時は槍だったので。でも初めてでよかったんです。最初は刀の振り方が分からないバラガキから始まって、バラガキから武士に成長するということを見せるのが大事なので、その変化には気をつけました。大変といえば、数ですかね。アクションシーンが10パートくらいあったので、2、3カ月前にした練習をその場で復習して。でも、見えてくるんですよ、『次に刀をここに出せばいい』という感覚が。本当の戦いでは、こうやって刀をかわしていたんだなと感じました」
鈴木「(近藤の武器が丸太の木刀で)極太ですね。原作を読んで、これを使うんだろうなっていうのは分かっていたんですが、実際は丸太が太くて長くて重かったですね。なおかつクランクイン初日から、土方との戦いのシーンの撮影だったので、(山田に)怪我させたくないというのがありました。後は、近藤がその木刀で素振りを1万回している設定だったので、それを嘘に見せたくないなという思いもあって。いろんな思いが詰まった極太でしたね」
細田「アクションに慣れていなくて、現場に入るまでがすごく大変でした。ずっとアクション部さんに謝っていて、『俺、どうしよう』と思いながら家に帰ったのが1回だけあって。そこから2ケ月くらい間隔が空いてアクションの練習をやった時になんとなく体に馴染み、そこからは楽しくやることができました。あまりにも普段しない動きだったので、沖田のアクションが体に馴染むまで時間がかかりました」
上杉「当日入れの動き手が、僕はすごく苦手で。(メインシーンの)後ろで戦っている動き手が4、5手あったりすると、なかなかそこに苦戦しました。1日寝ると覚えてたりすることがあるんですけど、当日に入れるものはかなり苦戦しましたね」
藤原「僕もアクションができなくてへこんでましたね。練習するんですけど、ページをめくると白紙なんです。次の手が全く出てこない。一度、細田くんのアクションシーンを見学したんですけど、『すごいな』と食らってしまって。それで裕貴くんと細田くんに相談したら『大丈夫だよ』と。細田くんが「僕もアクションできなくて、すいません、すいませんと謝り続けてましたよ」と言われて。え、あんなにすごいアクションやってたのにって驚きました。『最初は僕もできなかったから、大丈夫ですよ』って言ってくれて。僕の精神的な支えでした」
山田「僕も言ったはずなんだけどな」
藤原「裕貴くんもめっちゃ励ましてくれたんですけど、アドバイスがより(細田の方が)具体的だった(笑)。裕貴くんは『もう気合いだから。お前は絶対大丈夫だ』って。でも、それも信頼ありきですから。お2人にアクションのことを相談して、精神的にもかなり支えられました」
上杉「みんなのアクションシーンを見る度に追い込まれてたのはあるかも。『やべえ、すごい、かっこいい』って。いいプレッシャーなんですけどね」。
一同「わかる!みんな本当にすごかったよね」
