Image: RSLab, University of Trento

金星の秘密の地下洞窟の存在が初めて証明されました。

イタリアのトレント大学の研究チームは、金星の地下の溶岩チューブと思われる構造を発見。これは、この火山だらけの惑星で初めて確認された地下構造です。2026年2月、Nature誌で発表された研究結果では、この新発見により金星の火山活動、そしてどのように惑星の地形ができたのか、長年の理論を裏付けることができる可能性があると記されています。

トレント大学の教授であり本論文の共著者であるロレンツォ・ブルツォーネ(Lorenzo Bruzzone)氏は、声明の中で、以下のように述べています。

我々の金星に関する知識は、いまだに限られています。そして、地球の双子の惑星の地下で起きているプロセスを直接観測する機会は今までありませんでした。

火山性の洞窟が特定されたことは非常に重要です。長年その存在が仮説として語られてきた理論を実証することが可能になるためです。

金星に秘密の洞窟

今回の研究で、チームは1990年から1992年に行なわれた「マゼラン探査ミッション」で収集されたレーダーデータを徹底的に調査しました。宇宙探査機マゼランは合成開口レーダーを用い、金星の厚い雲を突き抜けて、地表の詳細な地図を描きました。また、地表の崩落の兆候を探るためにレーダーの画像を分析し、金星のヌクス・モンス火山の近くで、地下に空洞がある溶岩チューブとおぼしき構造を発見しました。

溶岩チューブとは、火山活動によって形成される地下トンネルのこと。通常は玄武岩質溶岩の流出に伴って生じる副産物として形成されます。粘性の低い溶岩が、固まりつつある表層の溶岩の下を流れ続けることで生まれるものです。

今回発見された溶岩チューブの幅はおよそ約1キロで、地球や火星で発見されているものより大きいサイズになっています。天井部分の厚さは約150メートルで、少なくとも約375メートルの高さを持つ空洞が存在しているといいます。

金星は太陽系の中でもいちばん火山活動が活発な惑星です。そのため、ずっと激しい火山活動によって地表の姿が形成されてきました。

科学者たちの間でも、長年にわたり、金星の火山活動の積み重ねで大規模な地下の溶岩チューブ網を生み出した可能性があるという説が有力だったものの、金星の濃密な大気のためこれまでその存在を検出するのは困難でした。今回のレーダーデータからの研究はその説を大きく裏付けるものになります。

地下トンネルはまだまだ続いている?

ブルッツォーネ氏は論文内で「金星で初めて溶岩チューブが検出されたことで、地下には、さらに多くの構造が潜んでいる可能性を示唆している」と述べています。

今回の発見は、金星の進化プロセスへの理解を深めると同時に、この惑星の研究に新たな視点をもたらすことができます。

研究チームによれば、金星にさらに多くの溶岩チューブが存在するかどうかさらに調査するためには、地表を透過できるレーダーシステムによって取得できる、より高解像度の画像やデータが必要とのこと。

2031年に打ち上げが予定されている、NASAのVERITASや、European Space AgencyのEnVisionといった今後の探査ミッションは、金星の火山の歴史が刻んだ古代のトンネルを探す力になるかもしれません。

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