魂の130球で吹き飛ばした“懐疑論” 前代未聞の連投指示を呑んだ山本由伸に米球界で止まぬ賛辞「地球上で最高の投手だ」

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勝利の瞬間、マウンド上で山本は吠えた(C)Getty Images

「ブルペンに行くまでは投げられるか自信はなかった。できることは全部できました」

 まさに全身全霊を尽くしての快投だった。

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 現地時間11月1日に敵地で行われたブルージェイズとのワールドシリーズ第7戦でドジャースは5-4で勝利。前日の第6戦に先発していた山本由伸が9回からマウンドに立って無失点投球を披露し、殊勲者となった。

 21世紀に入ってから史上初となる“世界連覇”だ。そんな文字通り歴史的な勝利に歓喜したドジャースナインから「神だ」(デーブ・ロバーツ監督談)と称えられ、祝福を受けたのは、他でもない山本だった。

 決して万全ではない状況での緊急登板だった。8回からブルペンに入って肩を作り始めていた山本は4-4で迎えた9回、ブレーク・スネルが一死一、二塁とピンチを招いたところで登板。“超”が付くほど異例の中0日での起用に応えた。

 先頭のアレハンドロ・カークに死球を与えて一死満塁とした9回のピンチを、味方のミゲル・ロハスの好守もあって無失点で切り抜けた右腕は、続投となった延長10回も三者凡退でしのぐ。そして女房役ウィル・スミスのソロホームランでドジャースが1点を勝ち越した延長11回には、一死一、三塁の一発出れば、サヨナラ負けとなるピンチを招いたが、ふたたび対峙したカークを遊撃手への併殺打に打ち取って快哉を叫んだ。

 2日間で計130球を投げ込んだ山本。何よりも選手の消耗を懸念する近年のメジャーリーグにおける前代未聞のリリーフ登板は、米球界で衝撃とドラマを生んだ。

 今ポストシーズンで6試合に登板(5先発)し、防御率1.45、WHIP0.78、被打率.174の圧倒的な支配力を発揮した山本。ワールドシリーズMVPともなった右腕の怪物的な投球は、米記者の間で早くも「伝説」として語られている。

 米専門メディア『Dodgers Nation』のノア・カムラス記者は、今ワールドシリーズにおける山本の投球成績をふまえた上で「史上最も勇猛なピッチングだ」と絶賛。「ヤマモトがワールドシリーズのMVPであることに異論はない。間違いなく地球上で最高の投手だ」と伝えた。

 2023年12月にドジャースと12年総額3億2500万ドル(約495億円=当時のレート)の超巨額契約にサイン。当初はメジャー未登板の日本人との投手史上最高となるメガディールに懐疑論が噴出。山本に対する批判も小さくなかった。

 そこからわずか2年で27歳の右腕は全ての逆風を吹き飛ばした。ワールドシリーズ連覇がドジャース史上初の快挙という事実もふまえても、山本の神がかった活躍は、3億2500万ドル以上の価値があると言えるのではないだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]