「人気宿」評判の裏で...女性客らに「欲情」し10人に性的暴行などの罪に問われるオーナーの男(49)「犯行を覚えていない」【岡山・里庄町】
猫背気味に証言台に立った男「目の前の黒い影から命令を受けた」
自身が経営するゲストハウスで、泊まりに来た女性客に対して「薬物を混ぜた飲み物」を摂取させ、性的暴行を加えたなどの罪に問われている49歳のオーナーの男。
【写真を見る】送検時に親指を立てる被告(49)・経営していたゲストハウス
送検の際には、テレビカメラを見つけると【画像①】のように「親指を立てる」ポーズを見せていました。
その男は、岡山地裁での初公判のこの日は短髪で、無表情。グレーのパーカーにジャージ・マスク姿で、猫背気味に肩をすぼませながら証言台にやってきました。
裁判官から認否を問われた男は、手元のメモを確認しながら、はっきりとこう答えました。
「繰り返し現れていた目の前の黒い影から命令を受けた。命令に従わなければ殺される」
「向精神薬とアルコールの同時摂取により、覚えていない」
罪状を全て否認しました。
「薬物を混入し摂取させたら、抵抗されずに性交できる」男は20年前に知った
この事件は、【画像②】のような岡山県南西部の静かな町、里庄町で起きました。
起訴状などによりますと、2018年から2022年にかけ里庄町内のゲストハウス(【画像③】)の経営者の男(49)が、女性客や知人女性らあわせて10人に対して、飲食物に「睡眠作用のある薬物」を混ぜて摂取させ、抵抗できなくした上で、性的暴行やわいせつな行為を行ったなどとされています。
男が問われている罪は「準強制性交等」「準強制わいせつ」「準強制わいせつ未遂」。また、風呂場の脱衣場で盗撮も行ったとして「岡山県迷惑行為防止条例違反」にも問われています。
男が犯行に至った経緯について、その一端が検察側の冒頭陳述で触れられていました。
それによりますと、男は約20年前に知人から「睡眠作用のある薬物を酒に混入し女性に摂取させたら、抵抗されることなく性交ができる」という方法を聞いたのだといいます。
最初は自宅に知人女性を招き...女性は性的暴行に気付かず帰宅
男が最初に犯行に及んだのは、2018年9月。自宅で花火大会を鑑賞することを提案し、知人4人を自宅に招くと、そのうちの1人のカクテルにひそかに薬物を混入させ、摂取させます。
この女性は睡眠状態に陥り、ほかの知人3人は女性を残して帰宅。男はその睡眠状態に陥った女性に対し、性的暴行を加えたといいます。
しかし。。。翌朝目が覚めた女性は、薬の作用でカクテルを飲んだ後の記憶を失っていて、被害に遭ったことにも気づかないまま帰宅しました。
翌年ゲストハウスをオープン「人気宿」となる一方で...
その犯行が発覚しないまま、翌年4月。男は岡山県里庄町にゲストハウス(【画像④】)を開設します。そのゲストハウスは週末にカフェも営業。隣町の笠岡市の名物「笠岡ラーメン」が話題となり、雑誌などでも取り上げられるほどの人気の宿になりました。
その評判を得る一方で、男は女性客を狙い犯行に及ぶようになったのです。
さらにその年の8月。男は、一人旅をしていた女性に「欲情」(冒頭陳述メモより)。宿の食堂で薬物を混入した酒を提供し、睡眠状態に陥った女性を和室に運んで、性的暴行を加えたといいます。
それだけではなく、持っていた携帯電話でその様子を撮影し、データを自らのハードディスクに保存したといいます。
この女性も最初の被害者と同様、翌朝目覚めた際に酒を摂取した後の記憶がなく、どのように和室まで来て寝たのかなど、分からない状況でした。そしてまたもや、薬の作用により被害にあったことに気づかないまま、宿を去ったといいます。
さらに「用意周到」になっていく手口
その後も同様の犯行を繰り返し続けた男。その手口はさらに狡猾になっています。
2020年5月。男が使用した薬物は、酒に混入すると「鮮やかな青色」に変色するといいます。そのため男は、変色に気づかれにくくするために「深緑色の抹茶カクテル」を用意。薬物を混入し、女性客に飲ませたといいます。
さらに2021年10月には、女性客に缶酎ハイを提供した際に、薬物を缶酎ハイに混入しようと企てます。しかし缶酎ハイに薬物を入れると泡が出ることを把握していたため、男は泡があふれ出ないよう、女性客がある程度飲んだところを見計らい、混入していました。
男は、このような犯行を合わせて10人に対して繰り返し行っていたのです。
犯行は性的暴行だけでなく...
さらに男は、ゲストハウスの風呂の脱衣場に「小型カメラ」を設置します。入浴客に気づかれないよう、消臭剤の箱に入れた上、レンズの部分には小さな穴を開け、エアコンの上に置いていたといいます。カメラには、入浴するために服を脱ぐ女性の姿が映されていました。
しかし、このカメラについても、男は「防犯や事故発生防止のため」また「入浴の順番管理を行い、食事提供の準備を行うため」と説明。「設置には正当な理由がある」として無罪を主張しました。
「毎日生きるのが辛い、殺されるように辛い」被害女性の悲痛な思い
被害に遭ったのは、ほとんどが一人旅の女性です。検察側が事前に行った、被害者への聴き取りでは悲痛な思いが聞かれました。
「一人旅が好きで、ゲストハウスでの地元の人との交流が好きだった。しかしもうニ度とできない。厳しい処罰を求めます」
「私たちがどれほど辛い思いをしたか、言葉にしたところで分かりっこない。毎日生きるのが辛い。殺されるように辛い」
「精神科に通院している。PTSDの症状も出ている。毎日生きるのがギリギリの精神状態」
「今すぐに地獄に落ちてほしい」
公判中、手を震わせ「犯行を覚えていない」弁護側は「心神喪失状態にあった」
男は「犯行を覚えていない」と主張する一方、「証拠上、確認される被害者に対しては大変申し訳なく思っております。申し訳ありませんでした」と、淡々と話しました。
男は公判の間、資料を持つ手が細かく震えていました。弁護側は「犯行時、男は心神喪失状態にあった」として、無罪を主張しました。
男に責任能力はあったのでしょうか。今後の裁判では、責任能力の有無が争点となります。
