卒業検定の内容と減点項目リスト

©mapo/stock.adobe.com

車の運転免許を取得する際、避けては通れないイベントとなるのが「卒業検定」です。

卒業検定は、実際の車両を使用した技能検定の「集大成」。自動車学校(自動車教習所)で指導員から学び得てきた教習内容を活かし、敷地内の練習コースだけでなく一般の公道も使用した試験です。

いったいどのような検定内容で、試験の採点基準が決められているのでしょうか。

■卒業検定の内容

卒業検定の内容は以下のとおりです。ただし、自動車学校によって若干の違いがあるため、検定を受ける前に確認するとよいでしょう。

「路上」(公道)および自動車学校の敷地内にある「練習コース」で実施される 助手席に指導員が同乗して、採点を行う 採点は「減点方式」で、検定終了時に70点以上残っていれば合格

路上および自動車学校の敷地内にある練習コースで実施。敷地内の練習コースは全国各地にある自動車学校で大きな差はありませんが、路上のコース設定は周辺の道路環境によって異なるのは注意しましょう。

検定を行う際は、一人きりではなく助手席に自動車学校の指導員が乗り込み、「検定官」として卒業検定の採点を行います。また、別の受講生が車両の後部座席に乗り込み、順番で検定を受けるケースがあるのも頭に入れておきましょう。

採点は「減点方式」で決められており、100点分の「持ち点」から運転ミスにより点数が差し引かれていく方式です。運転ミスがあると度合いによって5点から20点の減点があるほか、状況によっては検定中止・失格となるケースがあります。検定終了時に「70点以上」残っていれば、卒業検定は合格です。

■卒業検定の減点項目リスト

卒業検定の減点項目を、点数の大小および卒業検定が中止となる基準を明確にして取り上げてリスト化してみました。

同じ項目でも、「事の重大さ」が基準となって、大幅な減点が課せられる場面があります。卒業検定の前にあらかじめ目を通しておくのも、緊張感なく自然に、技能教習で学んで頭や身体に染みついた感覚で運転できるでしょう。

出典:「運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準について」(警察庁)

・「5点」の減点項目

「5点」の減点が与えられる試験項目は以下の通りです。

安全措置(「シートベルトを着用せずに発進」を除く) 運転姿勢( 試験中1回のみ減点 ) アクセル( 1回目は適用なし、2回目から1回目も含めて減点 ) 発進手間取り( 1回目適用なし、2回目に1回目も含め減点し指摘 ) 制動操作不良(ブレーキの使用が強過ぎる、など) 合図不履行( ウインカーを正しく使わない ) 安全不確認( 確認はミラーと目視 ) 惰力走行(エンジンブレーキ) 停止位置不適(停止位置) 巻き込み防止措置不適(巻き込み) 右左折方法違反(交差点内) 踏切内変速

項目をチェックしてみると、軽微なミスに対して減点が与えられるのが特徴。

運転操作をする前、もしくはしている際の安全措置、アクセル・ブレーキの使い方が不自然な点が取り上げられて減点対象とされるケースが多いです。

また、「試験中に1回のみ」あるいは「1回目までであればミスをカウントされない」など、点数が軽微であることから基準が緩めとされています。とはいえ、本来は運転で欠かさず取り組まなければならないポイントです。卒業検定でもしっかり取り組みましょう。

・「10点」の減点項目

「10点」の減点が与えられる試験項目は以下の通りです。

安全措置(「シートベルトを着用せずに発進」) エンスト(エンジンストール) 逆走(小規模のミス) 速度維持(加速不良、および通常出し得る速度を維持しないケース) 制動操作不良(ブレーキを使って停車中、クリープ現象で0.3m以上進んだ) 速度速過(安全速度よりも5km/h未満、オーバーした状態で走っている) 脱輪(車輪が縁石などに接触した場合) 路側帯進入(路側帯) 追いつかれ義務違反(追いつかれ) バス等優先通行帯違反(バス等優先) 軌道敷内違反( 軌道敷内 ) 進路変更違反 安全進行違反(安全速度) 課題不履行 泥はね運転 駐車措置違反(駐車措置) 警音器使用制限違反等(警音器) 急ブレーキ禁止違反(急ブレーキ) 車間距離不保持(車間距離) 駐停車方法違反 安全運転意識(安全意識) 駐車違反

5点の減点項目よりも、事の重大さがアップしている場面が対象となっているため注意すべきでしょう。

本来の法定速度よりもスピードが出せない、あるいはわずかな速度超過を起こしているなどが、10点の減点項目に加えられているのが特徴です。

また、道路の路面状態や交通状況を判断して走行していなかったり、車線変更など運転操作が不適切であったりするのも、10点分の減点を受ける可能性があります。

・「20点」の減点項目

「20点」の減点が与えられる試験項目は以下の通りです。

逆走(中規模のミス) 速度速過(安全速度よりも5km/h以上、上回ったスピードで走っている) 切り返し 急ハンドル 側方間隔不保持(側方間隔) 通行帯違反(通行帯) 進路変更禁止違反(変更禁止) 徐行違反 進行方向別通行区分違反(方向別通行) 交差点等進入禁止違反(進入禁止) 優先判断不良(優先判断) 横断者保護違反(横断者保護) 緊急車妨害 合図車妨害 速度超過 駐停車違反

大幅な速度超過や急ハンドル、徐行運転をしないなどの要素が20点分の減点対象に当てはまります。

また、他の車両の走行妨害をするなどでも、20点の減点対象となるため注意しなければなりません。

・一発で卒業検定中止となる項目

卒業検定が一回のミスで中止となる試験項目は以下の通りです。

逆走(大規模のミス) 発進不能 暴走 ふらつき 通過不能 脱輪(車輪が縁石などに乗り上げ、1.5m以上走行した場合。) 接触 右側通行 安全地帯等進入(安全地帯等) 後車妨害 信号無視 進行妨害 指定場所一時不停止(一時不停止) 歩行者保護不停止等(歩行者保護) 安全間隔不保持(安全間隔) 踏切不停止 追越し違反(追越し) 割込み 安全運転義務違反(安全義務) 通行禁止違反等(通行禁止)

逆車線へ完全に入り込んで車両を走行させる、周囲の車両を巻き込んで危険な状況に追い込む事例があると、卒業検定を中止する可能性があります。

ただし、上記で取り上げた試験項目は、普通に卒業検定へ合格して順調に免許を取得したとしても、免許停止や免許取消を受けた事例で見かける機会の多い事例です。教習で学び得たことを活かし、実直に従って卒業検定へ臨めば、途中で中止となるなどのアクシデントには見舞われないでしょう。

■減点項目の基準一例

補足として、卒業検定で減点と扱われる試験項目の判断基準を、より細かくピックアップしてみました。

こちらでは、「安全措置」を例に、「減点数」および「減点の対象となる内容」で示しています。

減点項目の基準一例

乗降用のドアを閉めない、ルームミラーを調節しない、エンジンを始動させる方法に誤りがあるなどが、5点分の減点を受ける対象です。

一方で、「シートベルトを着用せずに発進」は10点分の減点対象に当てはまります。運転操作を安全に行うのに反していることから、減点対象が厳しく取られているようです。

減点対象とならないよう、技能教習で学んだ内容を活かして一つひとつの動作を的確に取り組みましょう。

卒業検定の合格率

それでは、卒業検定の合格率はどれほどの水準でしょうか。

結論から述べると、全国各地にある自動車学校によって合格率が異なります。

■運転免許の合格率は??

運転免許を取得できた人の割合は、警察庁が公表している「運転免許統計」で年度ごとのデータが示されています。

「運転免許統計」による運転免許の合格率 データ

出典:「運転免許統計 令和元年版」(警察庁)

2019年度の運転免許合格率は75.1%。4人のうち3人は合格している割合です。また、仮免許の合格検定は80.4%と、自動車学校の第1段階で受講した学科教習・技能教習の理解率が高いのが見て取れます。

卒業検定に合格する5つのコツ

@maroke/stock.adobe.com

卒業検定に合格するためのコツを5つ解説してみました。

いずれも、運転免許の卒業検定だけに限りませんが、日常生活や仕事、学業と変わらず意識し過ぎないで取り組むのが大切です。

■リラックスして検定に臨む

1つ目は「リラックスして検定に臨む」です。

卒業検定に落ちてしまう原因で挙げられやすいのが、「心理的な緊張」です。

今まで取り組んできた教習では問題なく運転操作ができていた項目が、検定となるとプレッシャーがかかってミスを引き起こしてしまうケースがあります。

卒業検定で採点される項目は、技能教習で取り組んできた内容そのものが当てはまるため、リラックスして検定に臨むのが大切でしょう。

■教習中に苦手な点を洗い出しておく

2つ目は「教習中に苦手な点を洗い出しておく」です。

技能教習の時間内で、苦手だと感じたポイントがあれば積極的に教官へ質問をして解消させるのがおすすめです。確認を済ませておけば、不安なく卒業検定に臨めます。

苦手を作らない」という点に意識を傾けて、一つひとつの技能教習を大切に取り組んでみましょう。

■検定員の指示に従う

3つ目は「検定員の指示に従う」です。

卒業検定ではコースが指定されますが、万が一走行コースを間違えてしまった場面では減点の対象ではありません。検定員に順路を確認して走行するのは問題ではないため、コースを覚えるのは不要。検定前は、乗り降りの手順や運転操作を再確認するのに意識を向けましょう。

コースを間違えてしまうと気持ちが焦りがちになって、より運転操作のミスを生む結果につながります。焦らず、一つひとつの手順をこなすのも忘れずに取り組みましょう。

■路上では自動車学校内の練習コースよりも視野を広げる

4つ目は「路上では自動車学校内の練習コースよりも視野を広げる」です。

自動車学校の敷地内にある練習コースと違い、路上では歩行者や自転車の存在にもより意識を向けなければなりません。検定を受ける際の順路で、交差点などを曲がるシチュエーションがありますが、前後左右をしっかりと確認しましょう。

目の前しか見えていないと、横断歩道を渡ろうとする歩行者や自転車に気付けず、大きな原点、あるいは検定中止につながるミスをしてしまう可能性があります。

■車間距離を広くとる

5つ目は「車間距離を広くとる」です。

特に、トラックやバスなど背が高い車の後ろを走る際はより警戒しなければなりません。

適切な車間距離で走行していても車の陰に隠れた赤信号を見落とし、検定員から操作ミスと判断されれば、検定中止となる可能性があります。

安全な車間距離を保つだけでなく、前方の信号などがしっかりと確認できるようにしましょう。

卒業検定で不合格となった場合

@koumaru/stock.adobe.com

卒業検定で不合格となったらどうなるのでしょうか。

結論から述べると、追加で一時限分の技能教習を申し込んで「補習」を受けてから再度検定を受ける流れです。

いま一度運転操作で苦手な箇所を指導員に見てもらい、確認ができてから改めて卒業検定となれば、運転免許を取得できたのちの安全運転につながるでしょう。

苦手な箇所を克服してから、免許取得のため卒業検定に再チャレンジしてみてください。

ただし、補習で教習を受ける際、以下の要素に注意しなければなりません。

追加教習のスケジュール 追加の費用がかかる

■追加教習のスケジュール

追加教習を申し込むスケジュールは気を付けたいポイントです。

少なくとも1時限以上の補習教習を受ける必要があるため、自動車学校の受付窓口などで再度スケジュール申し込みをすることとなります。

加えて、自動車学校次第ですが、卒業検定を実施する曜日が決められている可能性があるため、追加教習とともに再度卒業検定を受けられるのがどのタイミングとなるか確認しましょう。

また、合宿免許で教習を受けているケースでは、本来の終了スケジュールより日程が延長される扱いとなります。余裕をもったスケジュールで受けられるように、入校時には綿密にスケジュール設定を確認しましょう。

■追加費用がかかる

卒業検定に落ちてしまい、追加の技能教習から再度卒業検定を受ける流れでは、以下の費用が追加でかかる可能性があります。

追加教習の申し込み費用 卒業検定の再受験料

追加教習を受けると車両の使用などが絡んで費用がプラスされるほか、卒業検定でも再受験料がかかる点は加味しましょう。

また、合宿免許で受講しているケースでは、別途宿泊代などの費用も請求される可能性が高いのも把握しておきたいポイントです。