初出場の芦屋学園、“芦学魂”を植え付けて全国切符獲得 「全員がエース」のチーム力で初勝利を
本格強化が始まったのは、許監督就任3年目の2014年。芦屋大の監督である金相煥(キム・サンファン)氏が構築したプレーの原理・原則を「サンファン・メソッド」として附属の芦屋学園高、中学年代の下部組織「芦屋学園FC」で共有し、“チーム芦学”として強化を進めてきた。同時に、メンタル面も“芦学魂”として強く意識させてきたのも大きなポイント。「ハツラツと戦う時の芦学は強い。逆境になった時の芦学は強い。チームのために戦う芦学は強い。これが10年の伝統としてある」。許監督がそう口にする通り、ひた向きにゴールと勝利を目指す姿勢はどのチームにも負けていない。
力はありながら、なかなか全国への切符が掴めない芦屋学園の転機となったのは、ベスト16で敗れたインターハイ予選。試合後にはメンタルトレーナーが「どういう感情だった?」と尋ねると、選手たちは「勝ちたい気持ちが強かった」と声を揃えた。それに対してトレーナーは、「みんな(勝ちたいという)感情に支配されていたよね。プロでも勝つためにやるべきことがあり、そこに意識を向けられるか大事なんだ」と語りかけたという。
迎えた選手権予選は「勝利にこだわり過ぎていない」(許監督)ことが、芦屋学園の強みになった。勝利を最優先に考えるのではなく、選手一人ひとりがチームのためにやるべきことをやった結果が、勝ち上がりに繋がった。準決勝後に監督が「優しすぎて勝負弱かったけど、悔しい想いが多すぎて鍛えられた」と笑ったように、これまで積み重ねた想いも選手の力になったのは間違いない。また、全員がやるべきことをやれるため、誰が試合に出ても力が落ちないチームに成長したのも特筆すべき点だ。出口頼みの印象が強かった昨年までとは違い、今年は「全員がエース」(許監督)という精神がチームに根付いており、日替わりヒーローの登場が初出場の原動力になった。
初戦で対戦するのは、同じ初出場の日体大柏。激戦区である千葉県を勝ち上がったチームとあり、簡単には勝てないのは理解しているが、負けるつもりは毛頭ない。「初出場らしく、思い切って自分たちらしく戦おうと思っている。力の差はあると予想していますが、サッカーは何が起こるか分からない」(許監督)。予選同様、芦学魂でやるべきことをやれば、結果がついてくるはずだ。
取材・文=森田将義
