【ロシアと日本の領土問題】「北方領土問題」に日本はどう向き合うべきか?<寺島実郎氏の見解>
─ この問題には、どう向き合うべきでしょうか。
寺島 経済人としてよく知見を高めなければいけないのは、金融をジャブジャブにして経済を水ぶくれさせるような方向性、残念ながら、ロシアに過剰な秋波を送ってプーチンを増長させてしまったロシア外交を含めて、日本のこれまでの10年というものに対する深い反省と、それに対する問題意識なしには、今後の展望は生まれてこないということです。
現実をよく考えれば、今のままでいいというわけにはいかない。つまり、パラダイムを変える必要がある。世界が大きな構造転換に差しかかっている中で、日本の国民生活を守るための構想力が問われているということです。どういう産業基盤で、国民の安定、安全を図っていくかというシナリオが問われているわけです。
─ 金融、財政政策に頼るのではなく、実体経済を強くしていかなければいけない。
寺島 そうです。
そのためには「食と農」、あるいは経済のファンダメンタルズとして国民の安全・安定を担保するための医療・防災産業、それから日本人の視野が狭くなる中で文化・教育産業などに本気で取り組まなければいけないと思います。
てらしま・じつろう
1947年北海道生まれ。73年早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。同年三井物産入社。米国三井物産ワシントン事務所所長や三井物産業務部総合情報室長などを歴任し、99年三井物産戦略研究所所長。2003年三井物産執行役員、06年常務執行役員、09年三井物産戦略研究所会長。10年早稲田大学名誉博士学位。現在は多摩大学学長(09年~)、一般社団法人寺島文庫代表理事(14年~)、一般財団法人日本総合研究所会長(16年~)などを務める。
