ウクライナの覚悟、ロシアの孤立【私の雑記帳】
ウクライナでは避難途中の小さな子どもたちや民間人が無残にも殺されてしまう。都市には、容赦なく遠距離砲が打ち込まれる。
男性の大半は、「国を守るため」として、家族を隣国のポーランドなどへ脱出させた後、自らは侵略して来るロシアと「戦う」と覚悟を決める。
現地から流れてくる映像に、1人で歩く年配の女性が、「世界の人たちよ、助けてください」と悲痛な声をあげる。観ているほうも心が痛む。
日・米・欧の自由主義諸国はロシアへの経済制裁で動いているが、軍事的には対応できずにいる。
米国も加わって、欧州には相互に安全保障で協力し合うNATO(北大西洋条約機構、加盟国30カ国)があるが、ウクライナはNATOには未加盟。
NATOは加盟国の中の1カ国が侵攻を受ければ、加盟国全体で反撃するわけだが、そうではないので、NATOとして参戦できないというのが米・欧のスタンス。
もし、米国が参戦すれば、ロシアとの間で核戦争にまで発展しかねない。そういう懸念から、欧米諸国は参戦できずにいる。
一定の兵器類や防衛関連用品が西側からもウクライナ支援として提供されているようだが、西側の本格的な軍事介入はなさそうだ。
となると、ウクライナは単独で対ロシア戦を戦わねばならない。
戦力的に圧倒的に優位なロシア軍だが、侵攻から約2週間経った3月9日現在、首都キエフは陥落していない。
ゼレンスキー大統領をはじめ、同国のリーダーたちは戦う覚悟を示し、最後まで諦めない姿勢を世界に発信。世界の大半がウクライナを支援し、ロシアのプーチン大統領は孤立感を深める。〝プーチンの誤算〟と言われるユエンだ。
兼原信克さんの分析 それにしても、わたしたちの感覚からすれば、〝狂気の沙汰〟としか思えない侵攻。プーチン氏はなぜ実行するに及んだのか?
1989年に『ベルリンの壁』が崩れ、1991年に旧ソ連が崩壊した段階で、わたしたちは、旧社会主義陣営は資本主義・自由主義陣営に敗れたという認識を持っていた。
しかし、プーチン氏の認識は違うようだ。東西対立の冷戦はそのまま続いており、「冷戦に負けたとは考えていないのです」と言うのは、外交官出身で国家安全保障局次長(2013―2019)を務めた兼原信克さん。
そのプーチン氏の心理について、兼原氏は、「自分たちの子分だと思っていた東欧の国々が西側に寝返っていくのですから、ロシアにとっては全然面白くないわけです」と語る。
異民族との戦い、侵略を経験してきたユーラシア大陸、欧州の歴史をひも解きながら、兼原さんにはウクライナ戦争の背景、勃発理由、そして国際秩序はどう動くのかを都合3回にわたって語ってもらうことにした。
東西2地域に分かれて… それにしても、ウクライナの人たちの覚悟の強さである。戦力的にはロシア優位だが、侵攻2週間経っても首都キエフは落ちない。
世界は、ロシアはウクライナ東南部の2州を含むドンバス地方を奪取すれば、そこで侵略を終えると見ていた。しかし、侵攻間もなく、ウクライナ北方のベラルーシ側から首都キエフへの侵攻も開始。
この侵攻について、「おそらく緻密な作戦の無いままにキエフへとなだれ込んだのでしょう。侵攻したロシア軍が、道路で立ち往生している姿は不様ですね」と兼原さんは語る。
仮にロシアが首都キエフを陥落させたとしても、ウクライナの統治に手こずることは間違いない。
