WALK-MATE

 旅人ITライター中山。旅をするには体力が必要ですが、若い頃と比べると動きが鈍くなってきました。幸い今のところ大きな問題はありませんが、歳を取ったり事故でカラダの自由がきかなくなる可能性も。そうなると旅をするのも大変です。

ANAグループと東京工業大学が2021年12月に行った実証実験は、そんな体力が衰えてきた人でも健康に旅先で歩けるように、歩行支援ロボットを利用するというもの。実証実験は四国八十八箇所のお遍路になっている、霊場第72番札所 曼荼羅寺から第73番札所 出釈迦寺へ約500mのルート。このルートは坂道になっており、その歩行支援にロボットが使われています。

▲ANAグループと東京工業大学が歩行支援ロボットを使った実証実験を行った

実験に使われたロボットは、東工大発ベンチャー企業のWALK-MATE LABが開発した「WALK-MATE」。すでに製品化もされており、医療施設などで使われていますが、こういった旅行などに使われるのは初めてとのこと。

▲実験に使われたWALK-MATE。第75番札所 総本山善通寺法主の菅智潤大僧正により「同行二人」と命名された

「WALK-MATE」は、背中にコンピューターとバッテリーを背負い、手足の支援を行うモーターを制御するという構成。モーターは、強制的に手足を動かすわけではなく、歩くタイミングをアシストする仕組み。開発を担当した東京工業大学 三宅美博研究室の三宅美博教授によると、人間が歩行する際に、手足をリズム良く動かすと歩きやすくなるので、その動きを補助することで、本来の人が歩く力を引き出せるとのこと。

▲WALK-MATEを装着した状態

▲制御装置とバッテリーの入ったバックバック部

▲足の動きをサポートするモーター部

また強制的に手足を動かすのではないため、モーターの出力も強くなく、それによってバッテリーの消費も抑えられているそうです。

実証実験には50歳台以上のシニア層8名が参加。実際にWALK-MATEを使って歩行していましたが、いずれの人たちも「普通に歩くよりラクに歩けた」という感想でした。また全体で6kgほどありますが、背負っているバックパック自体はそこまで重さを感じなかったそうです。

▲歩行中はANAの客室乗務員が付き添いをして実験が行われた

▲普通に歩いてもかなりキツイ坂でしたが、それを感じずに歩けたとのこと

もともとWALK-MATEは医療施設など平面での使用を前提としており、今回のような坂道での運用は初めて。それでもしっかりとアシスト効果が出ており、三宅教授は「次のステップに移る原点になる取り組み」と今後の展開に期待できるでしょう。

▲どのくらいのアシストが行われているかなど、WALK-MATEの動作状況はスマートフォンでモニタリングできるようになっている

ANAグループとして今回の実証実験を担当しているANA総合研究所 主席研究員の森孝司氏は「WALK-MATEなどの技術によって多くの方が元気に歩けるようになれば、人の流動が生まれ地域が活性化にも繋がる」と今回の実証実験の目的について説明。今後もこういった実証実験を続けていきたいとのことです。