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はじめに

登場した時から大成しそうだと思えるクルマは珍しいが、トヨタGRヤリスはそんなレアケースに数えられる。

2020年、個性的なハイエンドモデルはほかにも登場したが、この比較的手頃な価格でロケットのような日本製コンパクトハッチほど、ひとびとの垂涎の的となったものはなかったといえる。

テスト車:トヨタGRヤリス・サーキットパック    LUC LACEY

実際、2019年にGRヤリスの存在が話題になりはじめてから、新たな情報が流れるたびに、この4WDパフォーマンスマシンの登場を見逃すまいとする熱い期待は高まり続けた。

どうしてそうなったか、その理由はわかりやすい。これは事実上、この20年ほどの間にトヨタが独力でゼロから開発したはじめてのパフォーマンスカーだからだ。それも、また本腰を入れるようになったモータースポーツ、そして世界ラリー選手権(WRC)での成功におけるノウハウを用いて造られている。

またこのクルマは、トヨタ・ガズーレーシングのWRCティームが2021年に走らせるラリーカーのホモロゲーションモデルとして開発されたという背景もある。そのため、開発にはトミ・マキネンをはじめ、クリス・ミークやオット・タナック、ヤリ−マティ・ラトバラといった錚々たる面子が重要な役割を果たしているのだ。

残念ながら、パンデミック絡みの混乱のあおりを受け、競技車両の今季の参戦は見送られた。となれば、トヨタとしてはGRヤリスをお蔵入りにすることもできたわけだ。しかし豊田章男社長は、ラリーカー計画が凍結されても、市販車には日の目を見せるという主張を通した。

その決断は、じつに歓迎すべきものだった。というのも、GRヤリスは、昨年の発売から続いている、怒涛の快進撃も驚くことではないと思えるほどの傑作だからだ。

まず、英国での初試乗時のレビューで、われわれは最高点を与えた。その後に開催したお手頃ドライバーズカー決定戦ではライバルたちを打ち倒し、はるかにパワフルで高価なスーパーカーとも対決する英国ベスト・ドライバーズカー選手権に進出。そこでも並み居る強豪を抑え、みごと3位に食い込んだのだ。

そして今回、おそらくは今の世代でもっともエキサイティングなホットハッチが、ロードテストの場で厳密なチェックを受ける。期待値は高いが、はたしてGRヤリスは、これまで獲得してきた数多くの称賛に、満点の栄誉を加えることができるのだろうか。

意匠と技術 ★★★★★★★★★★

これは、メーカーの会計担当が喜ぶようなクルマではない。また、GRスープラや86と違って、開発コストを他社と折半してもいない。驚異的というか、昨今にあってはもはや異常ですらある。

まず、生産設備は、トヨタ元町工場内に専用施設であるGRファクトリーを用意。そして、プラットフォームも専用設計されている。厳密にいえば、トヨタのGA−BとGA−C、ふたつのプラットフォームのハイブリッドだ。

サーキットパックにアップグレードすると、18インチのホイールとタイヤは標準仕様の鋳造+ダンロップではなく、軽量なBBS製鍛造とミシュラン・パイロットスポーツ4Sに。赤いブレーキキャリパーも、サーキットパック専用品だ。    LUC LACEY

この新開発シャシーにより、リアサスペンションを構造的により複雑なダブルウィッシュボーンとし、さらに後輪への動力伝達系を搭載することが可能になった。GR−Fourと銘打った駆動系も専用で、トヨタとしてはおよそ20年ぶりとなる新型4WDシステムだ。

この軽量な電子制御システムは、選択した走行モードにより前後駆動力配分を変更する。通常は60:40だが、トラックモードでは50:50、スポーツモードでは30:70だ。さらに驚くべきことに、サイドブレーキのレバーを引くと、後輪左右ドライブシャフトの接続が自動的に切られる。

1.6Lの直3ガソリンターボエンジンも新型で、WRC2レギュレーションに適合するよう開発された。このことから、将来的にはトヨタがカスタマー向けの競技スペック車両を販売するのではないかと推測される。

わずかながらロングストローク気味で、量産3気筒では最強の262ps/36.8kg−mを発生する。またトヨタによれば、1.6Lターボユニットとしてはもっともコンパクトで最軽量だという。トランスミッションは6速MTだ。

トヨタのWRCティームがとくに力を入れたのが、ボディシェルに関する部分である。スタンダードなヤリスと異なる3ドアとされたのは、ラリー向きのシェイプで、空力パーツの追加がしやすいためだ。ルーフラインは最大で95mm低くされ、ダウンフォースと空力効率を最大限まで高めている。

可能な限りの重量削減もまた、意識して進められている。エンジンフードやドア、テールゲートなど、構造部のアルミ素材の使用範囲は拡大された。ルーフは軽量なフォージドカーボンコンポジット製で、バンパーは強く押せばたわむくらいの厚さだ。

ボディに関するヤリスの標準モデルとの違いはじつに広範囲に渡り、共通部分を探した方が早いくらい。同じパーツを使っているのは、ヘッドライトとテールライト、ドアミラー、シャークフィンアンテナといった程度だ。決して、チョコっと早くシャープに仕立てられたヤリスといった類のクルマではない。

テスト車はオプションのサーキットパック装着車で、さらなる改修が施されている。前後アクスルにはトルセンLSDが備わり、サスペンションのチューンはよりアグレッシブに。電動パワーステアリングはシャープさを増し、18インチの鍛造ホイールに履くタイヤは、標準装着のダンロップからミシュラン・パイロットスポーツ4Sへ変更されている。

内装 ★★★★★★★★☆☆

エクステリアとは異なって、インテリアに通常のヤリスとの大きな差は見出せない。相変わらずやや質素でモノクロなタッチは、トヨタ車の多くに通じるものだ。

パフォーマンスカーらしさを加える要素もちらほら見てとれるが、それもGRのバッジ追加や、アルカンターラ的な素材を張ったシートと内装トリムといった、どちらかといえばコンサバティブなやり方だ。

過度にスポーティな演出はされていないが、エルゴノミクスに優れ操作しやすいコクピット。シートは硬めで座面がやや高いものの、サポート性に優れ快適だ。運転に集中できる環境だと言える。    LUC LACEY

そのシートは硬いが快適で、胴やヒップ、太もものサポートもかなりしっかりしている。着座位置はそこそこ高く、どちらかといえばペダルまでの距離は近いが、ドライビングポジションはおおむね楽なものだというのがテスター陣に共通する意見だ。

唯一、スロットルとブレーキのペダル感覚だけは賛否両論あった。シフトダウン時のヒールアンドトウが、理想より多少やりにくいという声も上がったのだ。ついでに言うなら、ルームミラーが左折時の視界に入り込むのも気になった点だ。

エルゴノミクスの大部分は、理に適ったアプローチが取られている。それはシフトレバーの位置にも表れていて、変速操作がしやすいよう、50mm高く設置された。そのすぐ前には、大ぶりなダイヤル式の走行モードセレクターを配置。モードは3つから選択できる。

そのほかには、センターコンソールに3つの、これも大きめなボタンが見つけられる。トラクションコントロールとアイドリングストップ、そしてMTの回転数マッチング機能のスイッチだ。

キャビンは身体にぴったりくるようなスペースだが、これが路上ではGRヤリスのコンパクト感をより強く感じさせてくれる。とりわけ、主要な操作部との近さが、そうした効果をもたらしている。

見映えは過度にスポーティではないかもしれないが、運転環境はドライビングそのものに焦点を当てて、目的がはっきりした仕立てになっていると言っていいだろう。

いっぽう、実用性は限定的。後席は小さな子ども用といった広さしかなく、荷室容量もたったの174Lしかない。コンパクトカー水準に照らしても、控えめなほうだ。

走り ★★★★★★★★★★

現在の基準からすれば、260ps程度の出力は控えめな数字に思えるかもしれない。それでもGRヤリスの0−97km/h加速は5.2秒と、高性能車に求められる水準に達している。

断っておきたいのは、これがローンチコントロールを備えないうえに、100km/hのはるか手前で2速へのシフトアップが必要なMT車で、しかもテストはガソリン満タン+2名乗車で行ったことだ。

燃料の量や乗車人数によっては、0−97km/hは4秒台も可能だったと思わせる加速は、ローンチコントロールなしのMT車としてはみごと。トランスミッションの操作性も、ペダルフィールも、申し分ないものだった。    LUC LACEY

この好スコアの一因は、燃料満タンでも1283kgと軽いテスト車のウェイトにある。スペックやテスト条件のどれかがひとつでも改善されれば、4秒台も夢ではないだろう。最近のハイパワーモデルでは慣れっこの数字だが、このクルマが叩き出したなら、そのタイムの持つ意味は違うものになってくる。

このクルマの小さな1.6L直3ターボは、そのパワーを苦もなく出しているように感じられる。1万kmほどのインターバルで点検が必要となる点だけは別だが。

過度にブーストが効くような感じはなく、ターボラグは低回転でわずかにみられるものの、3000rpmを超えればまったくない。そのまま、7000rpm辺りまで回りきる。

そのサウンドは、こんなふうに書き留めたテスターがいた。「低回転域では911を半分にしたようで、高回転域ではカズーのようだ」。

カズーというのは、膜を震わせて音を出す笛で、野球場で売られていたりするブーテキの原型みたいなもの。ガズーにかけたダジャレというところもあるだろうが、悪意のある比喩ではない。

こういうことになった理由に、アクティブノイズキャンセレーションとエンジンサウンドエンハンスメントの存在がある。

前者は望ましくないノイズに逆位相の音をぶつけて相殺、後者は好ましいサウンドを強調するもので、どちらもスピーカーから人工音を発するデバイスだ。むろん、音の善悪は、メーカーの判断で分けられている。

これらを抜きにした音も聞いてみたかったところだが、オン/オフの切り替えは不可能だ。どうしてもというなら、アフターマーケットのメーカー非公認パーツを組み込んで制御するしかない。

いまや、このTVゲームのSEみたいな音を演出するアイテムが、すっかり一般的になってしまった。ありがたいことに、6速MTによって、もっとも耳障りのいい回転域を、きわめて簡単に見つけられるのだが。

そのギアボックスは、法定速度内で走るなら、2速と3速でほぼ事足りてしまう。だが、最大トルクの36.8kg−mを3000rpmから発生するエンジンのフレキシビリティと、シフト操作の容易さゆえに、必要とされる以上のシフトチェンジを楽しみたくなる。

ストレートではよりひとつ上のギアに入れたくなるし、ヒールアンドトウを決めてひとつ余計にシフトダウンしたくもなるのだ。テスター陣の中には、スロットルとブレーキのペダルがもう少し近いほうが、楽にシフトできるという意見もあった。しかし、ブレーキペダルはガッチリしてムラのない踏みごたえで、制動力そのものも一線級。耐フェード性にも文句のつけようがなかった。

使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆

インフォテインメント

GRヤリスは、全車とも8.0インチ画面のタッチ2インフォテインメントシステムを標準装備。Bluetoothやデジタルラジオ、USB接続、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応している。

コンビニエンスパックを選ぶと、ナビゲーションシステムとJBL製の8スピーカーオーディオが加わり、運転アシストに機能が追加される。

このクルマのキャラクターを考えれば、ナビやオーディオが充実するコンビニエンスパックは見送りたいが、スマートフォンのミラーリングが使いやすいので、大きな問題はないだろう。    LUC LACEY

ただし、スマートフォンのミラーリングが優秀で、逆にトヨタのインフォテインメントシステムはグラフィックの洗練度が非常に高いとはいえないので、コンビニエンスパックを選ぶかどうかは微妙なところだ。

仮にスマートフォンの連携ができなかったとしても、システム自体の操作性は悪くない。それほどスペシャルなものではないが、画面両脇のショートカットボタンでシンプルな操作が可能になる。ただし、ボタンは小さいのだが。

音量調整は、ディスプレイの下部とステアリングホイールの双方に実体スイッチが備わる。これは歓迎すべき点だ。

燈火類

トヨタ車の苦手分野のひとつに数えられるのがヘッドライト性能だが、今回はまずまず。アップグレードできるオプションは設定されていない。

ステアリングとペダル

脚はやや曲げ気味にペダルを踏むことになる。スロットルとブレーキのペダル間隔は、ホンダ・シビック・タイプRなどと比べるとヒールアンドトウがやりやすいほうだとはいえないものの、すぐに慣れるはずだ。

操舵/安定性 ★★★★★★★★★★

ここではハンドリングとスタビリティの評価を行うわけだが、必ずしもこのふたつが二律背反というわけではない。とはいえ実際には、アジリティに優れるクルマは安定感に劣る場合が多い。しかしながら、その枠に収まらないのがGRヤリスだ。

ウェットでもドライでも、極寒でなければ、テスト車が履くミシュラン・パイロットスポーツ4Sは並外れたグリップを発揮する。これにショートホイールベースとワイドトレッド、軽量さが相まって、方向転換の動きはおみごとというほかない。

GRヤリスは、コーナーの支配者といった趣だ。足取りは確かながら、素早く俊敏。しかも、ガッチリした手応えのステアリング越しには、確かなインフォメーションが伝わってくる。    LUC LACEY

ステアリングはダイレクトで、現代の主流からすればかなり重いが、心からうれしくなるくらいレスポンスがよくリニアだ。トヨタが、古風な油圧アシストのフィールを再現しようとしたようで、中立付近の手応えとソリッドさも十分すぎるほどだ。

いうならば、新型フォルクスワーゲン・ゴルフGTIのステアリングのほうが、GRヤリスよりクイックで軽く、レスポンスよく感じさせるべく演出しているようなフィールに思える。ルノーがメガーヌR.S.に後輪操舵を与えたのも、同じような狙いだろう。

その点、GRヤリスは違う。俊敏に感じさせるのではなく、本当に俊敏なのだ。

だが、その本当のすばらしさは、スタビリティを犠牲にしていないことにある。水が溜まった道を走っても、路面の荒れた直線でないところでブレーキングしても、古い三菱ランサー・エボリューションやルノー・クリオR.S.197にあったようなガタつきは皆無だ。

旧型車を引き合いに出したが、同類といえるだろうクルマということでお許しいただきたい。GRヤリスも含む現在のハッチバックに与えた大きな影響という点においても、多くの価値観を共有している2台だ。

どちらかといえば、このスタビリティのレベルは、GRヤリスに対するわれわれの見方を変えた数少ない要素のうちのひとつといえる。スロットルオンでの安定ぶりとグリップはすさまじいまでにみごとで、デフが噛み合うと、コーナーから飛び出していく。

ところが、駆動力が前輪より後輪へ多く配分されるスポーツモードであってさえ、このクルマはブレーキングで暴れ、走行ラインをスロットルで大幅に矯正するような類のクルマではない。

どんなときでも非常に優秀で、クルマとの対話を大いに楽しめる。限界寸前、もしくは限界に達してのアジャスト性は損なわれいないのに、それでもやはり、このクルマのハンドリングは現代のヒーローと呼ぶにふさわしいものだ。

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

もしもGRヤリスの精神的な先達たち、たとえばランエボやスバル・インプレッサWRXのようなクルマたちの話をするなら、快適性や静粛性についてはお茶を濁すことだろう。

しかし、いかなる四駆のクローズドボディにも負けない運動性や速さを備えていながら、GRヤリスは日常使いにおいてもかなりいい。

騒音低減デバイスと適度なギア比設定により、ストレスのない日常使いができる。ホモロゲーションモデルを想定したクルマとしては、ほかにないほど楽に付き合えるはずだ。    LUC LACEY

ひとつには、アクティブノイズコントロールの存在によるところが大きい。これにより、騒音レベルがほどほどに抑えられているのだ。ハンズフリー通話や同乗者との会話は、より上級のハッチバックやスポーツサルーンほどたやすくはないが、厄介だというには程遠い。

また、平均的なギア比配分のトランスミッションによって、エンジンは113km/h走行時でも3000rpmをわずかに下回る。旧車乗りなら、ガソリン車のじつに標準的なトップギアだと思うはずだ。速度を維持しようと躍起になっても、納得できる燃費を楽に出せる。

だからこそ、モード燃費を稼ぐための過剰にオーバードライブ寄りのギアは用意されていない。CO2排出量を減らしたり、高速道路を走行中に電話を受けたりするのには向いていないが、運転は楽しめる。

購入と維持 ★★★★★★★★★★

ホットなコンパクトカーのプロポーションと、より大型で四輪駆動のメガハッチに匹敵するパワー・ウェイト・レシオを併せ持つGRヤリス。それだけに、価格がそのふたつの中間に位置するのは当然のことだといえる。

もっともベーシックな仕様は2万9995ポンド(約420万円)、コンビニエンスパックが3万2175ポンド(約450万円)、サーキットパックでは3万3495ポンド(約469万円)となる。

フォードやミニの競合モデルに比べ、GRヤリスの残価予想はかなりいい。もっとも、雲泥の差とまでの開きはないのだが。

ふたつのパッケージは個別のグレードのような扱いで、同時選択はできないが、このクルマを買おうというユーザーなら、サーキットパック支持者が多くを占めることだろう。その選択が済めば、あと考えるべき項目はボディカラー程度しかない。

4WDシステムとハイチューンのエンジンを組み合わせているので、Bセグメントの一般的なホットハッチより燃費で劣るのは致し方ないところだ。テスト中の平均燃費は9.6km/L、ツーリング時でも13.9km/Lだった。

先代にあたるヴィッツGRMNと異なり、GRヤリスは限定生産車ではない。トヨタは本来、投入を計画していた2021年シーズンのラリーカーのために、FIAのホモロゲーションをクリアする2万5000台の販売を目論んでいた。しかし、需要があれば、それ以上の生産に応じるつもりはあったようだ。われわれとしては、このクルマの生産を打ち切るべき理由などどこにも見つけられない。

スペック

レイアウト

プラットフォームはトヨタ手持ちのGA−BとGA−Cとの混成だが、実質的には専用設計。軽量な3気筒ターボをフロントに横置きし、6速MTを介して四輪を駆動する。

サーキットパックは前後アクスルともトルセンLSDを備え、サスペンションのチューンはよりアグレッシブに。前後重量配分は、実測60:40だった。

エンジン

実質的に専用設計のプラットフォームとボディに、新開発のエンジンと4WDシステムを搭載したGRヤリス。サーキットパック(日本ではRZハイパフォーマンス)を選ぶと、前後にトルセンLSDが追加される。

駆動方式:ミドシップ横置き四輪駆動
形式:直列3気筒1618ccターボ、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ87.5×89.7mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:262ps/6500rpm
最大トルク:36.8kg−m/3000−4600rpm
エンジン許容回転数:7250rpm
馬力荷重比:205ps/t
トルク荷重比:28.8kg−m/t
エンジン比出力:161ps/L

ボディ/シャシー

全長:3995mm
ホイールベース:2560mm
オーバーハング(前):830mm
オーバーハング(後):605mm

全幅(ミラー含む):2020mm
全幅(両ドア開き):3960mm

全高:1455mm
全高:(テールゲート開き):1930mm

足元長さ(前席):最大1080mm
足元長さ(後席):590mm
座面〜天井(前席):最大960mm
座面〜天井(後席):830mm

積載容量:174〜737L

構造:スティールモノコック
車両重量:1280kg(公称値)/1283kg(実測値)
抗力係数:0.35
ホイール前・後:8.0Jx18
タイヤ前・後:225/40 R18
ミシュラン・パイロットスポーツ4S
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:6速MT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:3.54/8.7 
2速:2.24/13.7 
3速:1.54/19.8 
4速:1.16/26.2 
5速:1.08/33.2 
6速:0.90/39.8 
最終減速比:3.94:1(1〜4速)/3.35:1(5〜6速・後退)

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:9.6km/L
ツーリング:13.9km/L
動力性能計測時:5.6km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):9.8km/L
中速(郊外):12.6km/L
高速(高速道路):13.9km/L
超高速:11.6km/L
混合:12.1km/L

燃料タンク容量:50L
現実的な航続距離:478km
CO2排出量:186g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、スタビライザー

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.0回転
最小回転直径:11.2m

ブレーキ

前:356mm通気冷却式ディスク
後:297mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:手動、センターコンソールにレバー設置

静粛性

アイドリング:48dB
全開時(3速):71dB
48km/h走行時:64dB
80km/h走行時:69dB
113km/h走行時:71dB

安全装備

ABS/BA/VSC/HAC/BSM/トヨタセーフティセンス
Euro N CAP:5つ星(ヤリス・ハイブリッド5ドア)
乗員保護性能:成人86%/子供81%
交通弱者保護性能:78%
安全補助装置性能:85%

発進加速

テスト条件:湿潤路面/気温6℃
0-30マイル/時(48km/h):1.9秒
0-40(64):3.0秒
0-50(80):3.9秒
0-60(97):5.2秒
0-70(113):6.9秒
0-80(129):8.4秒
0-90(145):10.7秒
0-100(161):12.9秒
0-110(177):15.8秒
0-120(193):19.7秒
0-130(209):24.4秒
0-402m発進加速:13.8秒(到達速度:166.6km/h)
0-1000m発進加速:25.0秒(到達速度:212.3km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
フォード・フィエスタST−3(2018年)
テスト条件:乾燥路面/気温20℃
0-30マイル/時(48km/h):2.8秒
0-40(64):3.8秒
0-50(80):4.9秒
0-60(97):6.6秒
0-70(113):8.4秒
0-80(129):10.4秒
0-90(145):13.2秒
0-100(161):16.2秒
0-110(177):20.9秒
0-120(193):25.8秒
0-402m発進加速:15.2秒(到達速度:155.8km/h)
0-1000m発進加速:27.4秒(到達速度:197.6km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):2.0秒(2速)/3.4秒(3速)/5.7秒(4速)

30-50(48-80):1.9秒(2速)/2.6秒(3速)/4.1秒(4速)/6.5秒(5速)

40-60(64-97):2.1秒(2速)/2.4秒(3速)/3.4秒(4速)/5.2秒(5速)/7.8秒(6速)

50-70(80-113):2.5秒(3速)/3.1秒(4速)/4.6秒(5速)/6.5秒(6速)

60-80(97-129):3.0秒(3速)/3.2秒(4速)/4.4秒(5速)/5.8秒(6速)

70-90(113-145):3.6秒(4速)/4.4秒(5速)/5.7秒(6速)

80-100(129-161):4.1秒(4速)/4.7秒(5速)/6.0秒(6速)

90-110(145-177):5.1秒(4速)/5.1秒(5速)/6.3秒(6速)

100-120(161-193):6.1秒(5速)/7.0秒(6速)

110-130(177-209):8.2秒(5速)

制動距離

テスト条件:湿潤路面/気温6℃
30-0マイル/時(48km/h):9.9m
50-0マイル/時(64km/h):27.5m
70-0マイル/時(80km/h):54.5m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.13秒

ライバルの制動距離

フォード・フィエスタST−3(2018年)
テスト条件:乾燥路面/気温20℃
30-0マイル/時(48km/h):8.8m
50-0マイル/時(64km/h):23.1m
70-0マイル/時(80km/h):45.3m

各ギアの最高速

1速:62.8km/h(7250rpm)
2速:99.8km/h(7250rpm)
3速:143.2km/h(7250rpm)
4速:190.0km/h(7250rpm)
5速:230.1km/h(6941rpm)
6速(公称値):230.1km/h(5791rrpm)

6速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):2834rpm/3239rpm

結論 ★★★★★★★★★★

トヨタの豊田章男社長はレーサーの顔も持ち。インタビューでは笑みを浮かべながら語っている。ドライバーズカーの開発においては、ときとして会計担当と違う見方を持つのだと。

しかし、そんなコミットメントを、トヨタの多くのエンジニアたちは共有している。だからこそわれわれは、もはや誰も造ることはないと思われていたようなホットハッチの新チャンピオンと、こうして出会うことができたのだ。

結論:ドライバーズカーとして、トヨタがこれほどのクルマを生み出したことはかつてない。文句なしの満点を進呈する。    LUC LACEY

ハードウェアから製造ラインまでが通常モデルとは異なり、間違いなく多額のコストを要する変更が施されている。そこにパワフルな高回転型エンジンとパッシブサスペンション、そして古き佳きマニュアルトランスミッションが積まれているのだ。今のご時世、新開発されるだけでもありがたいような類のクルマだといえる。

これが許されたのは、トヨタがローエミッションなモデルを十分すぎるほど多く販売しているからにほかならない。それゆえ、メーカーごとのCO2排出量規制を受けてさえ、こうしたスペシャルなクルマをラインナップできる余地があるのだ。

このうえなにを変えたいというのか。全開にすれば驚異的に速いが、低い速度域でもうちょっとだけクルマとの一体感があってもいいかもしれない。とはいえ、これは最高のドライバーズカーで、すばらしく楽しく、それでいて手の届きそうな値付けがされている。

一度は味わってみる価値がある。今後、このようなクルマが登場するという保証はない。

担当テスターのアドバイス

サイモン・デイヴィス

トヨタのブランドイメージが、最近になってどれほどラディカルに変化したかを考えると、じつに驚かされる。おもしろみはないが頑丈で経済的な実用車のメーカーとしか見なされていなかったのは、まるで昨日のことのようだ。それがすっかり変わったのは、86やGRスープラ、そしてGRヤリスの功績だ。

マット・プライアー

レーンキーピングアシスタンスは、ステアリングホイールに設置されたスイッチを長押しするだけでオフにできる。ただし、エンジンをかけるたびに操作する必要があり、メニューから設定することはできない。

オプション追加のアドバイス

走るために生まれてきたようなクルマなので、選ぶべきはサーキットパック。ボディカラーは4色とも見栄えがいいのだが、とくにスマートに見えるのがパール系レッドのスカーレット・フレア。880ポンド(約12.3万円)のオプションだ。

改善してほしいポイント

・英国向けにもシートヒーターのオプションを用意してほしい。
・ルームミラーが視界に入るのを改善してほしい。
・アクティブノイズコントロールは必要なのか。エンジンそのもののサウンドがそれほど悪いとは思えないが。