ビッグデータでリアルタイムに企業変化を捉える、「グローバルDX関連株式ファンド」に見るデータ活用法
――投資判断にビッグデータを用いるというのは?
藤波 ビッグデータ分析の活用によって、市場に織り込まれていないインサイト(洞察)をいち早くキャッチして投資判断に使っています。クレジットカード・口座情報、オンライン決済情報、求人情報、企業経営陣の発言内容、ウェブコンテンツや検索情報などの多様なビッグデータを分析し、これまで投資分析で使ってきた株価やマクロ経済、企業の決算情報では得られない変化を捉えるように努めています。
――ニューバーガー・バーマンのビッグデータ活用の特徴とは?
藤波 当社では、独立した社内株式リサーチ部門の中に、ビッグデータ・チームを内包しています。運用会社によってはビッグデータ分析チームを調査部の外に独立して持っていたりしますが、当社ではリサーチ部門の中に置くことで、アナリストがチームの分析結果を図書館で必要なデータを取り出すように、気軽に取り出して投資判断のサポートに使っています。
ビッグデータ・チームを率いるマイケル・レッキは、脳科学博士であり、かつ、コンピュータ・サイエンティストというユニークな学術的バックグラウンドを持っています。(7つの特許取得、20の特許を申請中であり、50以上の学術論文、2013年トーマスエジソン特許賞を受賞など)シンガポール政府投資公社のデータ・サイエンティストとしてビッグデータ・チームを統括するなど、ビッグデータを投資に活かすことに長年携わってきました。当社には2017年4月に入社し、レッキの入社とともにビッグデータ・チームを組織し、現在は9名のデータサイエンティスト・アナリストがいます。
従来は、企業の決算データから知り得たような情報も、ビッグデータを分析することで、リアルタイムでより精緻に変化を読み解くことができるようになりました。DX関連企業は、デジタル化された市場で事業を展開していますので、ビッグデータで解析しやすいデータが豊富にあり、DX関連企業を把握するには非常に有効な手法になっています。
――具体的にはビッグデータ分析をどのようにして投資判断に活用するのですか?
藤波 たとえば、在宅フィットネス向けの器具とアプリを提供するペロトン・インタラクティブ(米国)は、「The DX」の代表的な組入銘柄の1つですが、同社を評価するために、クレジットカード利用データをもとに同社のデジタル・メンバーシップの登録者数を分析しました。その結果、今年2月−3月の新型コロナウイルス感染拡大下でトライアルに登録したユーザーが90日間のトライアル期間を経て課金対象メンバーに移行して課金ユーザーが大幅に増加していることが分かりました。トライアル期間を経て、課金サービスに移行するということは、そのサービスへの満足度が高いということができます。こうしたデータを常時モニタリングすることで、同社サービスへの根強い需要が確認できます。11月に株価が20%下落したタイミングで買い増しに動いた背景には、同社サービスに対する投資チームの確信度の高さが反映されています。
また、オンライン診療サービスのテラドック・ヘルス(米国)は、クレジットカードの利用データを分析し、1カ月以内に複数回利用したユーザーの比率の変化を調べました。これによって、顧客の定着率を測ったのですが、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、同社ユーザーのリピート率が大幅に上昇し、同社への顧客ロイヤリティが高まっていることがわかりました。オンライン診療サービスについては、日本のエムスリー、中国のピンアン・ヘルスケア&テクノロジーなど米国外でもプレイヤーが存在します。日本ではデジタル庁の創設などデジタル化の流れが加速していますので、オンライン診療には普及・拡大の期待が強いと考えています。
