OECDの基準では「ニート」と分類されることもある専業主婦は、「後ろめたさ」を感じる必要があるでしょうか。8月15日にキャリコネニュースに掲載された「専業主婦の4割『うしろめたさ感じる』」との記事に、ネット上では大きな反響がありました。

記事では、カラダノートの意識調査の結果を紹介。専業主婦であることについて、周囲から否定的なことを言われた経験がある人(19.7%)は、

「子育てがひと段落したら働いたら?皆働いてるし」(夫)
「いつまでも働かないわけにいかないんだから、考えないとね」(義母)
「家にいてすることあるの?」(友人)

などと身近な人から言われたそうです。つまり「働け」という圧力です。(文:篠原みつき)

「家のことは全て私がやっている。 だから後ろめたさは感じません」

この記事にガールズちゃんねるでは6000近くものコメントがつき物議を醸しました。まず上がったのが

「別にいいじゃん 家守るのも大切な仕事でしょうに」
「もうこういうのいいから。 乳児育ててるから誇り持って専業してるよ」

など、「後ろめたさなど感じる必要は無い」と、話題自体にウンザリし反論する声でした。

夫や子どもの車送迎なども含め、「家のことは全て私がやっている。 だから後ろめたさは感じませんけど」など、家族のために働いているのだから専業主婦でなにが悪い?という怒りが言葉の端々に表れています。

一方で、「うん、働きたい。自分で稼いだお金で自由に買いたい」「職歴ないからシングルになったときが地獄」など、自分自身の収入が無く、仕事のスキルもないことへの不満や不安も多数上がりました。

高度経済成長期に増加し「当たり前」となった専業主婦ですが、終身雇用制や年功序列が崩れ、男性にも非正規雇用が増えるなど雇用の安定が揺らぐ今。良し悪しや後ろめたさを感じる・感じないに拘わらず、健康な主婦なら「働くほうが当たり前」になっているようです。

「貧困ながらも専業主婦でいる子育て女性」は全国で55万6000人

しかし夫が高収入の場合は別として、夫の病気・リストラ、離婚などのリスクに目をつぶってでも、専業主婦なのは何故でしょう。コメントに多かったのは、「本当は働きたいけれど働けない、働かない」という人たちです。

自身の病気や介護のほか、「子どもが小さいうちは手元で育てたい」とか、「子どもの預け先が無い」という理由もあるでしょう。しかし多くのコメントからうかがえるのは、彼女たちの「働くことへの失望感」です。

「私が頑張って働いたところで保育料とトントンなのよね」
「それでも専業でやっていきます。雇ってくれる会社ありませんから」
「私28。 将来年金ほぼもらえないのに、正社員で働いても税金ばっかり取られてアホくさいから専業です」

といった言葉が、それを表しています。

仕事と家事と育児の両立は、周囲の協力なくしては叶いませんが、まだまだ女性の負担が大きく、正社員を辞める人は少なくないのが現状です。少し古いデータですが、労働政策研究・研修機構の調査(2012年)によれば、「貧困ながらも専業主婦でいる子育て女性」は全国で55万6000人に上ると推計されています。要因として働いても低賃金の非正規雇用しかなく、家事育児を外注(保育所など)する費用の負担が重いため、割りが合わないという「合理的判断」と分析されています。

トピックを見ていても、低賃金の重労働と家事育児で疲弊するより、節約しながら夫の扶養下で保険料が免除される第3号被保険者でいい、と考える人が少なくないようでした。就労は個人の選択ですが、社会構造も大いに関係があります。他人がどうこう言える問題ではなく、後ろめたさなど感じる必要はないでしょう。