たまごかけごはん、卵は常温? 醤油はいつかける?
■Q:卵は常温? 冷たいまま?
繊細な温度管理が求められる料理では、素材の温度も味を決める重要な要素だ。そこで「冷蔵庫から出してすぐ」「常温」「熱湯1分」「熱湯2分」と温度の違う卵で比較してみた。
全員から支持を得たのが熱湯で2分の加熱。「味、香り、食感と卵のいい部分が出ている」(マッキー牧元)、「黄身の味は、熱湯1分も遜色ないけど、白身の香りは断然こちら」(小石原はるか)と圧勝した。
一方、厳しい審判が下ったのが、冷蔵庫の卵。「冷たい卵と、熱いご飯の温度が違いすぎて、卵の味が抜けている。真ん中の温度になるわけではなく、中途半端で一体感がなくなる」(宮崎千尋)。
せめて常温、できればサッと熱湯で加熱したいとテイスターの意見は一致。
かくも素材の温度は重要である。たまごかけごはんも立派な料理なのだ。
【冷蔵】
▼卵の味が抜ける
冷蔵庫から出したてでは卵の味が引き出されない。
【熱湯2分】
▼香り上等、卵感もアップ!
2分ゆでた卵を茶碗に落とし、殻の内側で固まっている白身もこそいで落とす。
A:「熱湯2分」が最高評価!
■Q:ご飯と卵は軽く混ぜるか? 泡立つまで混ぜるか?
茶碗の中で出会った卵とご飯をどのくらいまでなじませるか。
味わいを茶碗の中でコントロールできるのも、たまごかけごはんの魅力だ。
しっかり混ぜるとふんわりとした泡が、まろやかで軽い味わいを演出する。
一方、軽く混ぜる程度だと一口ごとにさまざまな階調が楽しめる。
混ぜないほど卵の味が強くなり、混ぜるほどに口当たりが軽くなる。小さな茶碗の中で楽しめる、無限の味わい──。ぜひお試しあれ。
【軽く混ぜる】
▼バランスのいい適度な調和
10回程度までの混ぜで味の階調が楽しめる。
【しっかり混ぜる】
▼泡が卵の底力を上げ、まろやかに
泡が立つほど混ぜる。まろやかに軽くなる。
A:よく混ぜるほど味が軽くなる
■Q:醤油はいつかけるべきか?
卵をといてからご飯にかける「前どき派」にも醤油の入れ時はいくつかある。そしてそのタイミング次第で味に違いが出ることが判明した。
先にご飯に醤油をかけ、その後卵を加える「醤油先がけ式」は「米に醤油の塩味が先にしみ込んで、卵の味が立ちすぎ……」(小石原)など超不評。
先に卵と醤油を混ぜる「同時撹拌式」は「卵の甘味が際立つ。卵好きにはお薦め」(牧元)と、バランスよく調和するようだ。
卵をご飯にかけ、そこに醤油を垂らす「仕上げ醤油式」は、「醤油の香りや塩味が立つ。いい醤油のときや節約したい人にもいい(笑)」(宮崎)。
卵の味重視なら卵液に醤油、醤油の味重視なら、最後に垂らす。たったそれだけのことで、味は大きく変化する。
【ご飯に醤油】
▼全体の味がぼやける
ご飯に醤油が吸われていろいろもったいない。
【最後の仕上げに醤油】
▼醤油の味わいが生きる
醤油がダイレクトに伝わるメリハリの利いた味に。
A:遅く入れるほど醤油の味が立つ
■Q:贅沢王はどれか?
外食ではできない、家ならではの贅沢がある。そこで「贅沢王決定 罰当たり選手権」を開催。圧倒的な強さを見せたのが、銘品として名高いカルピスバターだった。
「おおお! おいしーい!」(小石原)、「カルピスバターは、異次元の旨さだね。魚卵は単体で入れると生臭さが先に立つ。ウニも量を入れるとキツイけど、控え目なら旨い」(牧元)
その贅沢、吉と出るか凶と出るか。たまごかけごはんは、味の増幅装置だ。
【カルピスバター→◎】
▼本能には逆らえない旨さ!
ご飯&醤油と抜群の相性を見せる最高峰の芳香。
【イクラ→▲】
▼卵×卵で際立つ生臭さ
魚卵×白ワインにも似た生臭さ。
【ウニ→▲〜○】
▼ウニの味が茶碗全体を支配する
少しの入れすぎが、茶碗をウニ味に染めていく。
【明太子→○】
▼辛さが卵の生臭さをカバー
辛味が生×生のマイナスを消す。焼きもありか?
A:カルピスバターが大暴れ!
■Q:海苔のNo.1はどれか?
今回のアンケートでは「海苔」が大人気。では各テイスターはどう食べるのか。
「ベストはシンプルな焼き海苔。できれば炙りたてをサッと巻いて口に運んで、パリッと言わせたい」(牧元)
炙りたての海苔から旨味とともに、卵ご飯が口内に広がる。至福だ……。対抗勢力の一番手はもみ海苔。
「形がまちまちだからこそ、食感や味わいの違いが楽しめる」(宮崎)
「巻く」か「撒く」か。海苔との組み合わせにもまた、たまごかけごはんの無限の可能性が秘められている。
A:焼き海苔! ハジける!
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広大な食の平野を闊歩するタベアルキスト。気分に応じて、数パターンの混ぜ方で食べ分ける、たまごかけごはん自在派。
フードライター 小石原はるかさん
ホルモン、発酵、粉ものなどよろず編愛家。本実験の最後には「米に酔った……」と言い残して撃沈。全卵を泡立つまで混ぜる派。
「ソラノイロ」店主 宮崎千尋さん
伝統を踏まえながら、新機軸を次々に世に送り出す麹町のラーメン店「ソラノイロ」店主。麺もメシも大好物。全卵をしっかり混ぜる派。
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(文・松浦達也 撮影・岡山寛司)

