2016年のドル/円の相場見通しが割れている。4年間続いたドル高・円安相場に転機となるのか? 外為どっとコム総研の取締役調査部長兼上席研究員、神田卓也氏(写真)は、「2015年の高値1ドル=125円を突破し、131円をめざすドル高相場」と見通している。

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 2016年のドル/円の相場見通しが割れている。4年間続いたドル高・円安相場に転機となるのか? 外為どっとコム総研の取締役調査部長兼上席研究員、神田卓也氏(写真)は、「2015年の高値1ドル=125円を突破し、131円をめざすドル高相場」と見通している。また、歴史的な安値圏にあるトルコリラ/円について、スワップポイント狙いの長期投資のチャンスが巡ってきていると語った。

――2016年のドル/円の見通しは?

 2015年のドル/円相場を振り返ると、年初に1ドル=119.78円で始まって、年末を120円台前半で迎えました。ほぼ横ばいだったのです。年間の高値が125円、安値が115円と、120円を挟んで上下に5円の値幅に収まっています。もみ合い相場で方向感が出ない1年間でした。

 年足で見ると、4年連続で円安になったことになりますが、2015年は総じて踊り場を形成した1年間だったといえると思います。2016年は、このもみ合いを離れて、どちらに抜けるかという相場になります。そして、どちらかと言えば、ドル高の方向に抜ける可能性が高いだろうと考えています。

 1年間のレンジは、1ドル=119円〜131円と、2015年の高値を抜けて一段高に進む場面があるだろうとみます。

 この背景は、日米の金融政策の差が一段とはっきりしていることです。米国は1年間に4回の利上げというペースで緩やかに利上げを行う姿勢を表明していますが、現在、マーケットで折り込んでいるのは2回の利上げまでです。年4回の利上げが実施されることになるのであれば、ドルが一段と買い進まれる余地があります。

 一方、日銀は12月の政策決定会合の後で、現在の量的・質的緩和策を補完する新たな措置を導入しました。市場には素直に受け入れられませんでしたが、現在の金融緩和姿勢を維持・強化する姿勢を示したことは明確です。この日米の金融政策の姿勢の違いから、ドル高・円安圧力がかかりやすいでしょう。

 また、需給関係を考えても、日本の企業の旺盛な対外投資姿勢、そして、機関投資家や個人投資家の外貨建て資産への投資意欲などが、経常黒字による円買いを跳ね返すと考えられます。

 したがって、ドル/円はドル高に振れやすく、現在は市場では3月の利上げについても明確に織り込んではいないため、1-3月に想定以上に強い米国の経済指標が続いて出てくるようであれば、一気に125円を抜けるような動きも期待できます。実際に、原油安によって米国の個人消費が押し上げられる効果が年末商戦で確認されました。日米の金利差に加えて、景況感の差も重なってくれば、ドル高に弾みがつくでしょう。

 ただし、年後半には米国の大統領選挙を控えてやや動きにくい展開になってくると考えます。2017年に向けて、新大統領の経済政策などを見極めたいとのムードが広がりやすく、株式や債券も含めて市場は動きにくくなるでしょう。また、日本でも7月に参院選が行われる予定であり、場合によっては衆参同時選になる可能性もあると報じられています。2016年後半は日米の政治動向が不確定要素として意識される事になるかもしれません。

――ユーロについての見方は? ユーロ/ドルは米利上げで弱含んでいますが、ドル/円と同様にドル高・ユーロ安が続くのでしょうか?

 ユーロについても、ドル高の方向にあるのですが、ユーロは円ほどドルに対して弱くなることはないだろうとみています。ユーロには、大きな貿易黒字や経常黒字があって、ユーロ買い圧力となるからです。しかも、大きなユーロのショートポジションも溜まってきているため、何かのきっかけがあれば、ユーロ買戻しの動きにつながります。