中国新聞社は21日、「長城(万里の長城)が観光客でにぎわったと報じた。場所は江西省南昌市郊外。北方民族の侵入を防ぐための長城が、なぜか中国南部にある。言うまでもない。最近になって作られた「パクリの長城」だ。(写真は中国新聞網21日付報道の画面キャプチャ)

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 中国では旧暦9月9日が「重陽節」と呼ばれ、高い場所に登る習慣がある(解説参照)。今年(2015年)の「重陽節」は10月21日だった。中国新聞社は「長城(万里の長城)が観光客でにぎわったと報じた。場所は江西省南昌市郊外。北方民族の侵入を防ぐための長城が、なぜか中国南部にある。言うまでもない。最近になって作られた「パクリの長城」だ。

 オープンは今年4月下旬。全長4キロメートルの予定だが、現在のところは2キロメートルほどの部分を遊覧できる。高低のある城壁上を歩くのは、長城の観光スポットとして最も有名な北京市郊外の八達嶺と似ていなくてもない。「坂を上る」ということで、重陽節にも観光客が集まった。

 「パクリの長城」は江西省北西部の新建県にある南昌怪石嶺生態公園内に作られた。八達嶺と比べれば、中国南部だけあって緑が濃厚だ。しかし、写真を撮ってメールで知人に「今、長城にいます」と送信すれば、たいていの人がだまされるだろう。実際、そうやって遊ぶ人もいるという。

 中国新聞社によると、公園関係者は「長城を真似をする目的で作ったのはなく、遠くまで行かなくても皆さんがよい運動ができるということなんですよ」と説明。ならば、これだけ似た建造物を作る必要はないと突っ込みたくもなるが、現在利用可能な2キロメートル部分は高低差が400メートル以上あり、往復すればかなりしっかりした運動になることは間違いない。

 建設にあたっては周囲の自然への影響を配慮して、重機は用いずラクダを使ってレンガなど建材を運んだという。

 「パクリの長城」だが、だれもが本物ではないと知って利用する点や、自然の中を歩く機会をもたらしてくれることを考えれば、大量生産され市場に流通する「パクリ商品」よりも罪はないと言えるだろう。ただ、「未来の考古学者」が「パクリの長城」を掘り当てた場合、学説が大混乱しないかと、やや心配になる。

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◆解説◆
 古い中国人は奇数を「陽」、偶数を「陰」と考えた。奇数は二分しようとしても「中に1つ余る」ことになり、偶数は「左右2つに分かれる」ので、それぞれ「男」と「女」に見立てたとされる。

 漢数字として最も大きな奇数は「九」だ。そのため、「重九の日(九が重なる日)」である9月9日は「陽が極まる」日とみなした。そして、「陽が極まったからには、この日から陰に転じる」ことも考慮せねばならないと考えた。

 高い場所に登ることには、邪気を払う意味があるとされる。また「九(ヂゥ)」の発音は「久」と同様であるため、長寿を願ったり高齢者に敬いを示す日ともされる。中国の多くの地域では、「重陽節」を過ぎると寒さが増すことから、屋外の行楽にはあまり向かなくなる。(編集担当:如月隼人)(写真は中国新聞網21日付報道の画面キャプチャ)