特徴的なのは、年収が高くなるほど、「セダン」「持っていない」の率が高まる点だ。一方、年収が低くなるほど、「2台以上所有」の率は高まる。「SUV」を所有する世帯は、年収にかかわらず4〜6%と一定している。

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マンションより一戸建て。軽自動車よりSUV。洋服を買うならファストファッションよりデパートで……。高年収世帯が冒しがちなムダ遣い、見栄消費を総点検。本当に満足度の高いお金の使い方、教えます。

自動車を購入する際にも、ムダがつきまとうものだ。自動車評論家の竹岡圭氏は、年収700万円以上の人が冒しがちな車選びとして「自分のライフスタイルに見合わないハイスペックな車を買ってしまう」点を指摘する。

例えばハイブリッド車の場合、高速走行や重い荷物を積んだ場合など、燃費性能を発揮できないことがある。

「週末にゴルフに出かけるときにしか使わない人などは、かえってガソリン車より燃費が悪くなることもあります」

心当たりがある人も多いだろう。「車好きも満足できる、コスパの高い車の選び方」はないだろうか。

【ポイント1】乗り方によって燃費は変動する。カタログ上の燃費だけでコスパを考えるのは不十分。
【ポイント2】自分の職業やライフスタイルにおいて、車が持つ意味を考えよう。他の支出と並べて、車の優先順位はどれくらいかを考えてみること。身の丈に合った車を選ぶことを、一番大切にしたい。
【ポイント3】エコカー減税などの適応なども考慮すべし。

関東圏では、ここ数年SUVの人気が高まっており、都心で目にすることも増えた。どれくらいの頻度でアウトドアに出かければ元が取れるかを聞いたところ、「そもそもキャンプ場のすぐ近くまで高速道路で行ける日本の道路事情に、本格的な四駆が必要なシーンはほとんどない。燃費も悪い」と断言。

「最近は、アウトドアユースを理由にSUVを選ぶ人は少なくなっていると思う。ランドクルーザーなどの本格派四駆と比較すると、ボディサイズも中身もダウンサイジングされたSUVが増えてきた。高速安定性やゲリラ豪雨など悪天候の際は、四駆が威力を発揮してくれるのは確かだが、電子デバイスの発達で二駆でもかなりの悪路にも適した仕様になっているものが多い。オシャレなカテゴリーのひとつとして選ぶなら、そういった選択もアリだと思う」ということだ。

FPの山口京子氏は、SUVについて、「活躍の場が少ないのに、SUV所有にこだわることは、ある意味『不幸』ともいえます」としながらも、「車には実用性を超えた『男の美学』がつきまとう」と、理解を示す。

「たとえば外国製のSUVの場合、燃費が悪い。そのうえ利用頻度も低いとあれば、第三者から見れば『ムダ』と家計診断をしたくもなります。ただし『かっこいい』と本人が満足しているのであれば、それは有意義なお金の使い方になります。たとえ他の支出を切り詰めてでも、心の豊かさを担保できるのであれば『好きな車に乗る』という生き方は素敵なことでしょう」

その一方で山口氏は「見えないルール」が、SUVや外車などの高級車所有に走らせることもあることを指摘する。

「社宅などの場合、『皆さんと同じ車しか買えない』という雰囲気がありますし、地域によっては『それなりの車に乗っていないとつらい』というエリアが存在することは否めません。このように、実用性だけでなく、見栄や外聞といったほかの条件を満たしながら選ぶものが、車なのです」

単純にコスパを追求すればいいわけではないところが、つらいところだ。

■隣の出費診断!
[A家]SUV vs [B家]軽自動車 vs [C家]レンタカー

[A家]中古で平均300万円台。外車ばかり5台目

……夫34歳/妻34歳/長女10歳/年収約1000万円(妻200万円)

フリーカメラマンAさんの“外車遍歴”は華やかだ。SUV「エクスプローラー」(フォード)を年式違いで2台。その後スポーツカー「マスタング」(同)を挟んで、SUV「レンジローバー」(ランドローバー)。現在は「ビートル」の旧式車(フォルクスワーゲン)だという。いずれも中古車を購入し、価格は現在の「ビートル」が約50万円、それ以外は平均購入価格が300万円台。乗り換えの都度、妻から口を挟まれるが「黙って買ってくる」という姿勢を貫く。Aさんはあくまで車を「仕事のためのツール」と断言する。自営業者にとっては、車も「顔」といえるのかもしれない。

[B家]通勤に利用。ガソリンの減りが2倍違う!

……夫44歳/妻37歳/長男10歳/長女6歳/年収約1100万円

ここ2年、車で約40分の距離にある職場まで軽自動車で通勤している。理由は「燃費が2倍違うから」。自宅は、多摩モノレールの駅の近くだが「運賃が高いから乗らない」と明かす。軽自動車遍歴は「ミニカ」(三菱)を経て、約8年前から「ライフ」(ホンダ)。購入価格は約140万円、年間維持費は約20万円である。若い頃は高級車や、スポーツカーに乗っていたBさん。「かっこいい車で通勤を」と思わなくもないが、ガソリン価格の事情を見るにつけ、軽が手放せないという。「都心までわざわざ出かけない」というBさんのライフスタイルに、軽はフィットしているようだ。

[C家]1時間かけて長男と自転車でスカイツリーへ

……夫39歳/妻38歳/長男7歳/長女5歳年収約600万円(妻100万円)

Cさん宅には自転車が5台ある。家族全員、通勤も買い物も“自転車派”だ。車好きだったCさんだが、愛車の「MPV」(マツダ)は5年で走行距離が1万km。ガソリン価格の高騰もあり、3年前に手放した。今はレンタカーを利用しているが、頻度は田舎への帰省時など年1〜2回(約2万円)。週末は、片道約1時間かけて長男と東京スカイツリーへ“遠征”することも。「あと10年は車を持たないはず。今が貯め時です」と話す。教育に関しては、「中学受験」を見すえた妻に委ねている。「車は手放して正解。自転車通勤のおかげで、血圧や中性脂肪の値が改善、体重も5kg減です」と微笑む。

■FP山口京子さんの結論●車にこだわるなら教育・住宅は引き締めて

コストパフォーマンスで言うと、レンタカーや軽自動車の利用がトクであるのは、誰もが納得できることです。しかしすべての方に、“脱マイカー”や、軽自動車の利用をすすめるわけではありません。

Aさんの場合、華麗なる外車遍歴に苦言を呈したいところですが、自営業者であるなら、よい車に乗るのは仕事のうち。

Bさんの場合、ラッキーなのは「軽自動車に堂々と乗れる」という点でしょう。エリアによっては、そうはいかないケースもよく見聞きします。

Cさんの場合、車から自転車に切り替えたおかげで健康になるなど、素晴らしいことずくめですが、雨天時の不便さなどのデメリットもあります。

家計を圧迫しない範囲で、心豊かなカーライフを楽しむ人が増えればいいと思います。ただ、世帯年収が1000万円あっても、外車に乗り、家を買い、子どもがお受験すれば、家計は破綻します。ほかにはこだわらずに、いい車に乗るのであれば問題ないでしょう。重要なのは、優先順位をつけることです。

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ファイナンシャルプランナー 山口京子(やまぐち・きょうこ)
名古屋市生まれ。フリーアナウンサーから上京を機にFPに転身。テレビ、ラジオ、雑誌などで活躍。著書に『5ステップで貯まらん人を脱出 FP山口京子式 家計簿いらずの貯まるお財布メソッド』『「そろそろお金のこと真剣に考えなきゃ」と思ったら読む本』など。

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(山守麻衣=文・構成 向井渉=撮影)