バイエルン戦の67分に途中出場した香川だが、インパクトを残すことはできなかった。 (C) Getty Images

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 ドルトムント対バイエルンという近年のドイツサッカーを牽引するチーム同士の注目の一戦は、レヴァンドフスキのゴールを守り切った王者バイエルンが1-0の勝利を収めた。最大の難敵を退けたバイエルンは、リーグ3連覇をより確実なものにした。一方、ドルトムントはこの敗戦により6位以内であれば確実なヨーロッパリーグの出場権獲得も厳しい状況になってきた。
 
 ベンチスタートだった香川は67分に交代出場すると、パス6本を成功させ、クロスボールのこぼれ球を拾いシュートも放った。しかしバイエルンの堅い守備の前に、効果的と言えるプレーは見せられなかった。香川は試合後、「ボールを上手く受けられれば良かったけど、相手も最後のところで激しく来ていて、そこでボールを受けられなかった」と悔やんだ。
 
 ドルトムントは序盤からブロックを下げて対応するバイエルンの守備に手を焼き、ほとんどチャンスらしいチャンスを作れずにいた。珍しく慎重な入りを見せたバイエルンは、36分に先制できたことでより守備重視にシフト。3枚のCBを並べてゴール前の厚みを出し、その前にはシャビ・アロンソ、ラーム、シュバインシュタイガーがブロックを築いてドルトムントの中央突破を阻む。
 
 両ウイングが中央に入ろうとするドルトムントは、中央で待ち構えるバイエルンに真正面から突っ込むばかりで、自らゴールを奪う確率を下げてしまった。とはいえサイドからクロスを送ろうにも、ドルトムント攻撃陣には高さがなく、有効な攻撃手段にはなっていなかった。
 
 香川はそんな閉塞感の打開を託された。
 
 投入直後の数分間はバイタルエリア付近で可能性を感じさせるプレーを見せた。だが試合終了が近づくにつれてパワープレーが増えると、次第に存在感が薄れていく。どちらかといえば、香川と同時にピッチに入ったラモスのほうが、空中戦で競り勝ってチャンスを作り出すなど、得点に絡みそうな予感があった。
 
 もちろん香川が機能しなかったのは、本人だけの問題ではない。残り10分でギュンドアンがベンチに退くと、ボールの配球役がいなくなり、チーム全体の攻撃が停滞してしまった。
 
「最後のところで、どれだけ前を向けるか。誰かが無理をしないといけない。みんなが(ボールを)待とうとしている状況が多いと感じた」と、ペナルティエリア付近でボールを引き出そうとした香川だが、パスをもらえずに苦しんだ。バイエルンに先制される前にプレーできていれば、状況は違っていたが……。
 そもそもなぜこの大一番で、香川は先発できなかったのか。前半戦の対戦時にはスタメン出場し、前節には1ゴール・1アシストの活躍を見せていた。それにもかかわらず、だ。
 
 とはいえ、香川のベンチスタートを予想する地元メディアは少なくなかっただけに、このクロップ監督の采配は決して“サプライズ”だったわけではない。
 
 リーグ戦では次第に出場機会を増やしてきたが、CLのユベントス戦では2試合とも出番を与えられず、このバイエルンとの大一番でも先発を外れた。今回、香川の代わりに先発したのは、今冬のマーケットでザルツブルクから獲得したカンプルだった。前節香川がプレーしたトップ下にロイスが入り、左サイドにカンプルが入ったのだ。
 
 前半戦の対戦時、クロップ監督は香川をCF気味に配置した3トップを採用し、バイエルンの3バックのビルドアップを封じようとした。だが今回は基本布陣の4-2-3-1で臨んだのだ。しっかりパスをつないで組み立てるバイエルンに対し、よりハードワークできる選手を並べて「我慢比べ」に持ち込む。力のある相手へのクロップ監督の対抗策だ。
 
 つまり、香川はこの「我慢比べ」に耐えうる選手だと見なされなかったのだ。今後、ドルトムントはボルシアMG、ヴォルフスブルク、さらにドイツカップ準々決勝のホッフェンハイムと、重要な試合を残している。香川が先発の座を掴むためには、タフな試合でも戦えることを証明する必要がある。