米倉涼子主演のドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)が、視聴率20%超えと絶好調だ。勤務医や開業医ではなく、あえてフリーとして活動する敏腕女医は、現実に増えているという。あまりお目にかかれない「フリー女医」。彼女たちはなぜフリーを選び、どんな形態で働いているのだろうか。

9年間、大学病院に勤務し、フリーになって3年目の國井優衣子医師(41)はこう言う。

「私が長らく所属した産婦人科は、かなり過酷な業務で、休日はほとんどありませんでした。夜間や祝日などに勤務する当直は、月12回以上。土日に当直すると、月曜もフルに働いて帰るので72時間勤務になります」

大学病院時代は、寝られたらラッキー、さらに周囲は男性ばかりで完全な体育会系だった。

「できれば続けたい思いもありましたが、産婦人科は医療訴訟が最も多い科です。体力が追いつかなくなって、事故が起こってはまずいと思い、フリーになることを決意しました」

開業医ではないため、資金は必要なし。現在、曜日ごとに3カ所のクリニックに勤務しているが、時間的な自由度は以前と比べものにならないという。

「実働7時間勤務で、土日は休みをいただいています。フリーだと、人の顔色を窺ってズルズルと病院にいることもなくなりますね(笑)」

代わりに金銭面を犠牲にしたのかと思いきや、勤務医時代より増加しているそうだ。

「じつは大学病院の給与はそんなに高くないです。倍以上は稼げていると思います。私はしていませんが、当直は1回で7万〜8万円、土日なら15万〜20万円ほどです。夜間にひとつお産があると、いくら増えるという出来高制を取っている病院も増えています。産婦人科では当直をしない医者も多いため、『産科当直』という分娩だけに対応するフリーの方もおり、それだけで生活を成り立たせている人もいらっしゃいます」

もちろん、メリットがあればデメリットも。

「フリーは日給制や時給制のため、休むとお金が入ってきません。病気になると、所得ゼロですよね」

人気バラエティ『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ系)に出演中の森智恵子医師(47)は、専業主夫の夫を持ち、猛烈に働くという珍しいフリー女医だ。

「私は独立したときから、1日も休んだことがありません。でも、嫌だと思って仕事をしたことは一度もないんです。嫌なことは一切せずに、やりたいことだけやるという姿勢で取り組んできました。そして、気がついたら、現在のようになっていました」

産婦人科・美容皮膚科・精神科・麻酔科と4カ所の病院を掛け持ちし、エリアは東京・神奈川・福岡と列島を横断。そのうえ、週2泊以上の当直もこなすという超過密スケジュールだ。

「35歳のとき、サラリーマンだった夫が会社を辞めて専業主夫になり、娘も生まれました。そのとき、“一家の大黒柱”という使命感が芽生えたんです。医師は労働基準法が適用されないので、いくらでも働けます。最近、娘から『これ以上、分野を広げないで絞りなさい』とアドバイスされますね(笑)」

医療関係者によると「需要の高い麻酔科は1日10万円前後。当直は15万〜20万円。勤務医時代の2〜3倍の年収になるケースが多い」そうだ。医師全体の平均年収は1141万円。だが、激務のフリー麻酔医の場合、30代で年収2000万円を超える医師もいるという。

(週刊FLASH11月19日)