インタビュー:坂本美雨「何回恋愛しても『HATSUKOI』」
――今回のジャケットとアーティスト写真は、音から受けていたイメージと違ったので驚きました。
坂本美雨(以降、坂本):これをイメージされる方は、いないですよね(笑)。全員を裏切り…。ずっと組んでるアートディレクターの森本千絵の斬新なアイディアなんです。アルバムの音が出来る度、千絵に一緒に聴いてもらっていて。彼女の中でシュワッ!とする炭酸飲料の爽快なイメージがあったみたいで、初恋のキュンという響きが合うんじゃないか?という所から、急に「黒髪ショートヘアだ!」と言い出して(笑)。「HATSUKOI」という言葉は、ずっとどこかで使いたいなと思っていたんですけど、アーティストの新譜ではなく、架空の「HATSUKOI」という炭酸飲料水があったとして、その広告という設定のジャケットにしたら面白いんじゃないか?というコンセプトで。実際に売れれば良いんですけどね(笑)。――ショートヘアは、地毛ではなく?
坂本:ウィッグです。自分で切る気も無かったんですけど、ずっと一緒に組んでる冨沢ノボルさんというヘアメイクアーティストの方がカットしてくれて。ヘアメイクやアートディレクターだったり、色んなアーティストが私を使って想像力を膨らませて新しいイメージを作ってくれるのはすごく嬉しいことなので、生まれて初めてのショートで「どうなるのかな?」という不安はすごくあったんですけど、「お願いします、任せます」って。自分で見ると、未だに「これ誰だろう?」って思うんですけど、その日はみんな「カッコイイ」と言ってくれたり、その気になってましたね(笑)。――ミュージックビデオの撮影は、如何でしたか?
坂本:同じ日に撮ったんですけど、ジャケットのイメージと繋がるような、すごく爽やかな感じで。1番の見所は、背景が全部花火なんですけど、ものすごくスローなムービーで、2000倍とかのスピードで花火を上げて、それが星のようにチラチラ舞っていて、すごく綺麗で。あと、ソーダ水のコマーシャルのような、「イエスッ!」みたいなカットが急に入ってきたり、結構笑えると思います(笑)。また「PHANTOM girl」と同じメンバーで、児玉裕一監督と一緒に作ることができました。――前作の「PHANTOM girl」では内から外へと、それ以前の内省的な内容から、外に向けてメッセージを発信するような変化がありましたが、「HATSUKOI」の制作に際して、どのようなイメージがあったんですか?
坂本:プロデューサーのデイブ・リアンと「PHANTOM girl」を作る内に「次はこんなことがやりたい」とか「こんな曲も作ってみたいね」という具体的なアイディアが結構出てきていたので、まず全体のイメージを決めるというよりは、具体的にやりたい曲を一緒に作っていった感じなんです。「PHANTOM girl」のパーン!と自分から飛び出していくような瞬間が詰まった音を作れた人とまた一緒に次回作もやるということは、内省的に向かうというよりは「もっと先に行きたい」という気持ちが2人共あって。「PHANTOM girl」のPHANTOMちゃんという生き物は多分、自分から出てきて、バーンと好きな人の所に向かったんですけど、次はどこに行くんだろう?とか、何に変身するんだろう?というワクワク感をずっと持ってましたね(笑)。――前作の制作を踏まえて、何か変わったことはありますか?
坂本:前は手探りだった部分が省略されて、2人の気持ちいい部分も分かってきたので、「ここからこっちは完全に任せるよ」とか「この辺は美雨がやっといて」みたいな信頼関係がすごくあって、音作りがすごくスムーズでしたね。プリプロも1週間毎日スタジオに入って、本当に2人だけで1対1で基盤を作って。それをデイブがNYに持ち帰って、また1人で作業して。私はその間に歌詞を書いて、歌入れの時にまた日本で合流して、みたいな。