巨大化する三菱ケミカルHD 難題は国内石化事業の再構築
三菱ケミカルホールディングス(HD)が、三菱レイヨンとの買収交渉を進めている。交渉が成立すれば、中核事業会社である三菱化学をベースに、旧田辺製薬をグループに取り込むなど拡張を続けてきた“大三菱化学”がさらに巨大化する。
買収報道を受けて、三菱レイヨンの株価は2割前後上昇し300円台前半になったが、それでも3年前の3分の1程度にすぎない。しかも、三菱レイヨンは今年5月に約16億ドル(約1500億円)で、アクリル樹脂原料に強い英ルーサイトインターナショナルを買収している。加えて、アクリル樹脂の原料となるMMAや炭素繊維など、将来有望な高付加価値事業を抱えていることを考慮すれば、2000億円前後と見られる買収額はそう高くはない。
攻勢を続ける三菱ケミカルHDにとって、最大の課題は国内石化事業の再構築にある。競争力低下による採算悪化で、縮小路線を選択したものの、他社と連携、パイプで結合されたプラントを停止するにはさまざまな調整が必要で、一朝一夕には進まない。さりとて中途半端に終われば収益性が改善せず、巨大化ではなく“肥大化”に終わるリスクもある。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 佐藤寛久)
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