――最後10曲目の「ふたりのゆくえ」は、くるりの岸田さん作詞・作曲ですが、昨年9月には、くるりのシングル「さよならリグレット」にゲスト参加されたり、「京都音博」でもコーラスとして一緒にステージに立たれてましたね。くるりとは以前から親交があったんですか?

土岐:去年からですね。「さよならリグレット」は去年の5月か。お会いしたことは無かったんですけど、岸田くんが私の前のアルバムをたまたま聴いてくれていて、「ピッタリだと思うので、次の自分のシングルで一緒に歌ってくれませんか?」というお話を頂いて。そのレコーディングが縁で、ライブでコーラスもさせてもらいました。その京都のイベントのセットリストに、「真昼の人魚」という曲があって、結構フォーキーな感じの曲なんですけど、「こういうの、いいんじゃない?」と言われて。今まで私のオリジナル作品の中では全然無かったものなので、私も歌っていて新鮮だったし、岸田くんも「こういう、ちょっとブルージーだったり、土臭い感じの音楽も意外と合うかもよ」と言ってくれて。「そうなんだ。じゃあ、お願いします」とか言って(笑)。

――他のアーティストのカバー曲もそうなんですけど、この曲を土岐さんが歌ったらどうなるんだろう?みたいにワクワクする感じがありますね。

土岐:本当に今回は皆さん個性的で…とか、他人ごとみたいに言って(笑)。前回もそうだったんですけれども、今回は特にそれが面白くて。自分であまり気に入った曲が書けないので、作曲は他の人にお願いするんですけど。ほとんどプライベートでも交流があって、会話の中で「今度、何か一緒にやろう」とか、岸田くんみたいに「一曲作るよ」と言ってくれたり、そういう人にお願いしているんですよね。

――でも、「今度何か一緒にやろうよ」とかって結構、社交辞令で終わってしまいがちじゃないですか。

土岐:私はもう真に受けますからね(笑)。

――今回のジャケットは、どのようにして決まったんですか?

土岐:実は、その時にはタイトル候補が「TOUCH」ともう1つあったんですけど、どっちもいいタイトルだから全然決まらなくて。そのままデザイン打ち合わせに行って、デザイナーさんがその2つのタイトルからそれぞれ4パターンずつぐらいラフ・デザインを提案してくれて、その中からデザインで選んだ感じなんですよね(笑)。ジャケットのデザインが1番タイトルとマッチしてて、良かったんですよ。だから、デザイン次第ではもう1個のタイトルになってたかもしれない(笑)。

――「TOUCH」というタイトルを最初に思い付いたのは?

土岐:今回、作る姿勢として、「どういう風に聴いてくれるかな?」って、本当に聴き手のことを考えながら作っていったんですね。今までは「自分がリスナーだったら」という所でしか作ってなかったような所が大きかったんですけど、今回は自分も含めつつも、もっとお茶の間を意識した作り方でした。例えばCMソングの「How Beautiful」だったら、お茶の間の人がふと耳にして、テレビを見てしまうような感じにするにはどうしたらいいか?とか、そういう言葉は何だろう?とか考えながら、アレンジも歌詞も全部作っていったので。「届く」というか「触れたい」という気持ちが強くて、歌詞の内容も「現実を受け止めていこう!」というメッセージの曲が多くて。

 私なりの想いなんですけど、日々「諦める」じゃなくて「受け止める」にしたら、ちょっと変わってくるんじゃないだろうか?と思っていて、そういう気持ちもちょっと関係してるというか。例えば誰かの心に触れるとか、自分の気持ちに触れるとか、社会に触れてみるとか。一歩踏み出して何かに触れるって、すごく現実に直面することだと思って。現実を見るということは結構、勇気のいることだと思うし、ちょっと躊躇してしまうようなことだったりもすると思うんですけど。そういうことを敢えてやっていこう、外に出てみようって歌いたくて。